企み
なんでこんな放送流した?
「これからコロナの軌道を変更する。 そしてNSCの本当の目的を果たすために、全員の覚悟を試させてもらう。 異論のあるものや、やはり残ることのできないというものはあらかじめ言ってあったように、持ち場を引き上げる準備を始めるように。 以上が代表の言葉である。 代読、エルより」
身内向けの放送のようだけど、当初の目的?
覚悟を試すって何する気だ?
ダイアナさんは・・・。
「・・・やるのかぁ」
だるそうに天井を見上げてる。
「そりゃまぁ、やるよな」
何をやるんだ。
「・・・アンタたちにはチャンスかもね。 でも、どうしたもんかね」
?
何がチャンスだ?
「タバコが欲しいってのはこんな気分なのかね。 ま、葉っぱの一枚だってここにはありゃしないんだけどね」
なんかだるそうというか、めんどくさそうな。
「・・・話の続きをしようか? 爆発があってどうしたかってところからだったっけ?」
「あ、うん。 爆発の話。 こっちは北極の坑道で爆発にあった。 でもそっちだとデブリがユニットにぶつかったってことに」
「そこはね、アタシもおかしいと思っている。 きちんと確かめずに言っちまったか、もしかしたら誰かがワザと言っちゃったか。 にしても・・・」
また表情が曇る。
何か言いにくい事情とかがある?
「さっきも言ったけど、アンタたちにはチャンスになるかもしれない。 今の放送がそうだけど、これからアタシたちは決断しなきゃならなくなる。 今すぐにってわけじゃ無いけど、数日中には準備をしないとコロナから離れられずに、月にも地球にも行けなくなる。 アンタが帰りたいと思っているならなおさらだね」
「―、なんだよその言い口。 なんか起きるような言いぶりじゃないか」
なんか怖い顔になってるよダイアナさん。
「起きる。 ていうか起こす。 そこにいる宇宙慈愛の協会の連中のやったことも比べ物にならないようなことを、これから私たちがやらかす」
身を乗り出すようにしてこっちに訴えるように言ってくる。
なんなんだよ、何する気なんだよ。
「NSCって宇宙に暮らそうって集団だって言ったよな。 そんな奴らが何をしようっていうんだよ」
「その言葉通りさ。 アタシたちは宇宙で暮すんだよ。 もっと、しっかりと」
―。
目が座ってる。
「何を、する気だ?」
「コロナをね。 占拠して手を出させないようにするのさ」
「まさか、あいつらみたいに地球に・・・」
そんなことしたら、人類どころか地球が滅ぶ!
「そんな風にみんな殺してあげるほど親切じゃないよアタシたちは。 やらかすって言ってももうちょっと大掛かりに穏やかにね」