おさらい中
紅茶のお代わりをもらいながら話を聞く。
「もともとコロナ、というか隕石なりを宇宙コロニーとして使う計画はずっと昔からあってね。 計画が立ち上がった時から外殻に居住区を張り付けるか、内部に掘り進んで作るかは議論されるのよ。 で、コロナに関しては折衷案、両方やっちゃえってことになってね。 でも結局のところ外殻に張り付けるほうがコストと製作期間が短縮できることが解ってね。 外殻に色々張り付けつつその裏でこそこそ内部に区画を作っていったって訳ね」
北極の鉱区でやってたのもその一環だったのかな?
仕事内容はコロナ内部の地質調査と氷の含有量の調査採掘ってなってたけど。
「でもまぁ結局今回の事件でずっと言われてた脆弱性も表に出たしね」
「脆弱性?」
「外からのデブリ対策が十分じゃないってね。 外からのデブリが居住区だかにぶつかってそこから連鎖反応的に全部の区画がパージされたんだろ。 そのついでにそこにいる阿呆たちが便乗したせいで騒ぎがでっかくなったってね」
デブリが当たってパージ?
内部からの水の爆発だったんじゃ?
「・・・それって、誰から?」
「ん? いや館内放送」
「俺、事故のあった時に北極の鉱区で作業してたけど、何かがぶつかったというよりも中から水蒸気爆発が起きた感じだったんだけど」
「水蒸気爆発? そんな事ぜんぜん聞いてないけど。 でもそれのせいでコロナが真っ二つになったんだとしても、爆発の規模が大きくない?」
「うん、それは思った。 で、その辺のことを聞こうと思ったんだけど」
「あー」
お互いに目配せしてから八田と堀田の二人を見る。
「失敗した・・・なんでこんなところにいるんだろ」
「うまくいかない。 何でうまくいかない・・・」
いまだにブツブツ言っている。
「あれじゃ聞き出すの無理かな」
「・・・まぁやりすぎたよ。 アタシもだけど旦那もね」
「何やったんすか」
「そんなにひどいことしてないわよ。 ちょっとしつこくOHANASIしただけだからね」
「いやその字面は十分にひどいことしてるって」
やっぱりなんかとんでもねーんじゃねぇのかダイアナたちとNSCの連中って。
「暴力に訴えてないだけまだマシよ。 世の中うるさくなっちまったせいで、下手な接触一つで裁判沙汰だしね」
「昔のドラマや映画なんかだとバンバン殴ってますけどね」
「それでも慈愛の協会の連中みたいにテロを起こすわけじゃ無いから、その点はマシだから」
「そういうことを言ってるんじゃないってば」
・・・ゴン
「!? なに?」
「今の音ってどこから? 上?」
「中心の方で何かあった? 爆発の時の影響が今頃出た?」
何だろう。
また宇宙に放り出されたりしないよな。
「・・・あ、あ。 コロナの全員に報告する」
この声はエル?
「これから言う内容はよく聞いてほしい。 これからのことに関わることだ」