荷物持ち
ヤギのいる広場を横目に小屋というか倉庫の中の奥の方へ入っていく。
この奥に別の区画に行く通路なり扉があるのか?
「ちょっと待っててねー」
銀色の扉の前で待たされる。
扉だけど・・・。
うん、これはたぶん目的の扉じゃない。
「これとこれと持ってねー」
冷凍肉の塊がごろごろと。
袋ごと両手に持たされてんだけど結構重い。
「じゃぁ次行くよ」
言われるままについていって、今度は卵を何パックか出してきた。
あと鶏肉。
「んーとこれくらいあればいいかな。 それ持って付いてきて」
どこに連れてかれるのか。
と思ったら最初にここに入ってくるときに使った出入り口のところに来た。
扉を出て宇宙空間から回り込んで別の区画に持っていくのか?
「ん」
あ、なんかパネル?
隠しパネルか何か弄ってる?
ゴ・・・。
扉が出てきた。
エルのところで見たような造りの階段とかだな。
?
奥から音が・・・。
足音?
「待たせたか?」
男が降りてきた。
「そんなに待ってないよ。 今日はちょっと多いから気を付けてね」
「ん。 で、そっちがアレか。 エルの所から回ってきたっていう」
上から下までじっくり見られる。
こっちも相手を見てるけど。
結構筋肉質でガッチリしてる。
顔立ちは中華系?
「ホンだ。 日本語で言う本田じゃなくて洪水の洪の字を使ってそう読む。 色々話とかしてみたいが、まずはその荷物を預かろう。 ダイアナはそのままこいつを連れて戻ってくれ」
「あいよー。 じゃあ、みんなによろしくね。 あんまりそっちに行けないけどさ」
「こっちこそなかなか来れずにすまん。 これを配って回ったら少しは時間を作れると思う」
「無理しなくていいよ、じゃ後でまた」
あらまキスして別れた。
「えっと、あの人は?」
「あたしの旦那。 いい男でしょ。 コロナの中のあちこちを回ってるから、何か必要なものとかあったら届けてもらうよ」
そういうことを聞きたかったんじゃないんだけどな。
もう階段のところ閉められたし。