打ち合わせ
「何にしても人手は多いにこしたことは無いからね。 農業や畜産は手間がかかるから、何人いてもいいくらいだからね」
「だとしても何でわざわざコロナでこんな施設を? それにヤギ意外は育てていないの?」
畜産するなら牛や豚がいてもいいはずだけど。
「それについてはね、牛や豚を連れてきたかったけどできなかったっていうことになるんだ」
できなかった?
「単純に考えてみてね。 牛みたいな大きな生き物をどうやって宇宙に打ち上げる?」
あー。
「豚は候補には上がったけど、肉以外のことを考えて候補からは外された。 他の畜産では羊をどうかと提案されたけど、あれは群れで飼う必要があるからね。 他に毛を採れる動物で探したときに、選ばれたのがヤギだったって訳さ」
毛を採るためにか。
「あとは鶏もいるね。 卵あると便利だし薬の材料にもなるしね」
あ。
「鶏がいるってんなら卵かけご飯は!?」
「だいじょうぶだよ、食べれるよ。 ただし食べたいってんならここででも一定の労働はしてもらうよ。 時間はあるしね」
ん?
時間あるって?
「時間があるってどういう?」
「なんだと思う? いやさ、考えて考えて考えるとわかることなんだけどねぇ」
笑顔なんだけど、なんか怖い。
なんだ、何か地雷踏んだか?
「時間、じかん・・・」
「キミは今、どんな状況にあるのかな? で、解決するにはどうするのがいいか考えてる?」
!
「地球に戻るにも月に行くにも装備も宇宙船もないから何にも出来ない!」
ヤベー、そうだよ。
「あっちの子たちもそれほど深く考えてなかったか、あるいは詳しい指示をもらってなかったか両方かな? とにかく次の行動しようにも何も出来ないからヤギとかの世話するしかなくて途方にくれたてよ」
すんごくいい笑顔で笑ってるけど他人事じゃねぇ。
俺もその頭数のなかに入ってるってことだろ。
あー。
「頭抱えたくなるのもわかるけどねー。 よくよく考えてみたらいいよ。 でもそれほど悪い話じゃないと思うね」
言葉がでねぇ・・・。
酷いとかどうとかじゃなくて、選択肢が無いんだ。
MOMOの出した計算だと、コロナが月に行くまでおよそ十一年。
こっちから月へ行くには、装備も宇宙船もないからどうしても足止めされる。
その間の生活というか生存に必要なものはNSCが持ってるけど、緊急事態だからって無制限に使わせてくれる訳じゃ無さそうだ。
むしろ残った人達全員がちゃんと生きていけるように、無駄に使わないように節制してくかも。
どこかから助けが来るにしたって一日や二日で来れるもんじゃ無いだろうし、デブリやあるいは宇宙慈愛の協会の他のメンバーとかが妨害活動とかしてたら、それこそいつまでたってもこの状態が改善されないってことだろ。
自分の生命維持のためにも、ここで作業しなきゃいけないってことか・・・。