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「じゃぁ、命に感謝していただこうか」


 夕飯のメニューはヤギ肉のソテーとパンとシチュー。


 感動だ。


 非常用のレーションとか、昔のパック詰めのレンジで温めるような飯じゃないんだぜ。


 キッチンでダイアナが調理して振る舞ってくれた料理だ。


「口を半開きにしたあいつがだらりとしたまままだ温かくて・・・」


「血・・・血。 ぽたぽたと垂れて・・・」


 うつむいて青い顔をしてるのが二人。


 何でもこの人工牧場を占拠しようと侵入してきたはいいが、たい肥や獣臭さにえづいて動けなくなったところを締め上げられて働かせられていたと。


 なんか覚えのあるシチュエーションだけど、そこからさらにヤギの解体までさせられたそうな。


 うん、同情はするがあんまり親身にはなれない。


 放っておいて食べよう。


「それで、エルからはどれだけ話を聞いたのかな?」


 うーん、エルとの会話・・・。


「NSCに協力してほしいってことは言われたよ。 で、色々作業をしたんだけど何か倉庫とか部屋みたいな空間のいっぱいあるところに行ったらVRドロイドで追いかけられたんで逃げてきた」


「ぁはー。 エルらしいっちゃぁエルらしいけど、その分じゃあんまり詳しいこととか聞きたいこととかは聞けてないのかもしれないねぇ」


 シチューをさらいながら会話を続ける。


「NSCってのはさ、要は宇宙で暮していこうっていうもの好きの集団なんだよ」


 新宇宙市民と言ってる由来はそれか。


「設立っていうか今みたいな感じで組織化したのはだいぶ前でね、エルのところで見てたかもしれないけど国防軍とかにも幾つかつながりがあってね」


 あー、それで国防軍のある施設に出入りできるところがあったのか。


 ってーと。


「じゃぁここみたいにコロナの表面から中に入ったところに生活できる空間がいくつかあるってこと?」


「おおよそ四つくらいだね。 NSCが関わってるとは言っても元々はコロナの生活施設の拡張のために作られた施設とかだから、まだまだ拡張されていく予定はあったはずだけど今のところはそれだけ。 で、いくらか資材をためてコロナ自体に恒常的な生活環境を作り上げて、コロナを独立した都市国家のようにしていくのが目的だったんだけどね、そこにいる馬鹿どもの集団のせいで計画変更を迫られたって訳」


 話題にされている二人だけど、シチューをスプーンでつつきながらまだブツブツ言ってる。


「なまじ地に足のついてない生活をして頭でっかちな理想ばっかり掲げて先鋭化してくと、他人の事なんかどうでもいいからって押しつけがましい性格になるのかね?」


「そう分析してる割にはあの二人には何て言うかとげとげしさが感じられないんだけど、もしかして何かした?」


「うーん? ここに来てからボロの掃除とコロナ分裂の衝撃で殺さざるを得なくなったヤギの解体をやらせたくらいだけど」


 ぜってーそれだろ。


 現代っ子がいきなり生き物の解体やらされりゃショックも受けるって。

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