確認作業
「バッテリーチェック」
「オッケー」
「推進剤」
「予備タンクも含めて設置完了」
「タンクの中身は?」
「全部満タン」
「よし、じゃぁスライダーの準備はこれでいいな。 宇宙服と持ち物の確認しておこう」
言われるまでもない。
さっき集めた着替えに食べ物飲み物。
あとは携帯端末。
ただし電源は入れてない。
端末は持ってこれたけど使わないように言い含められている。
「電源は入れてないよな?」
手の中で端末をいじっているのを見て岩居さんがくぎを刺してくる。
・・・。
落ち着かない。
いつも使っていたアプリも含めて、端末が使えないってのがどうにも・・・。
電源入れてぇ・・・。
端末持ってんのに触れないってのがどうにももどかしくて仕方ない。
「エルに何か変なプログラム入れられてるかもしれないしな。 触るにしてもどこか別のとこについてからな。 移動中は特に絶対触るなよ」
「でもそんな風にアプリも何にも使わないでどうやってデブリの中を移動したり、ほかのどこかこういった寝起きのできるスペースを探すんです?」
「気合と根性」
「どこの化石人間か! 今の世の中そんなこと言う人がいるとは思わなかった!」
「先人を見習え! 大昔の人はほとんど目視だけで船外作業してたんだぞ!」
「俺たちがそれマネする必要ないよね!? 安全に行ける手段があるなら惜しまず使おうよ!」
「だーいじょうぶだって。 そんな遠くに離れるようなことはしないから」
「不安だ。 不安しかない」
こんなんでいいのか?
何かもっとこう、いい解決法とかなんかあったんじゃないだろうか?
岩居さんにしてもエルにしても、それぞれどういう目的で行動してんのか、もういっぺん確認しておいた方がいいか?
「通信機の確認しとけよ。 電源入れて三番のやつで通信するようにするから」
こっちの気も知らないでどんどん進めてくな。
いやま、流されるままになってる自分も悪いか。
思い通りの行動したかったらこっちも自分から動かないとって誰が言ってた言葉だったかな。
「電源入れたけどどう? 岩居さんの方は聞こえる?」
『うんオッケーだ。 これで外に出ても大丈夫だな』
「作業用のハードタイプの宇宙服でないあたり、不安と心配がいや増すんですけど」
『気合と根性でどうにかしよう』
「だからそれさっきも言ったし!」
あー、ホント大丈夫だろうか。