かっけぇ!・・・?
『あーもうホントむかつくな! あんたもおっさんもそうだけどさ! 人の話聞かなすぎだろ!』
んがくそこの・・・網が。
『おっさんもおっさんで悪あがきしてばかりでよ!』
ひっかかってこの。
『何とか言えよコラ!』
「うるせー! いまそれどころじゃねぇ!!」
絡まって取れないし引っかかって取れないし。
「んがー!」
『ダメだよ取れないよ。 ネット弾てのはもともとが暴徒とかの捕獲用の弾なんだから、そう簡単に抜けられるもんじゃないって』
だろな。
多少動いたところでぜんぜんほどけない。
下手に動いたら今より絡まる。
『しかしこんな風にうろつかれるんじゃ後のことがな・・・。 とりあえずどっかでおとなしくしててもらおーか』
くぁー。
どうするつもりなんだか。
どうにかしようにも網から出れないしどうにも・・・
「すきあり!」
『なんだ! モニターが!』
目の前でドロイドが布を被ってもがいてる。
「これで・・・こう、おりゃ!」
ガシャンと音を立ててドロイドが倒れる。
「待たせたな! ちょっと待ってろ今何とかすっから」
岩居さんだ。
エルの口ぶりから捕まってたみたいだけど、こっちに助けに来てくれたんだ。
オムツ一丁のおっさんがこれほど頼もしく見えたことはない。
「てか何か服! 見てる方が寒いって」
「しょうがねーだろ。 宇宙服を脱ぐときに出来る隙間を使って網切ったはいいけど、結局宇宙服と網がくっついたままで持ってこれなかったんだから」
言いつつこっちの網にもカッターを入れていくけど、粘着剤でもついてるのか所々張り付いたままになってる。
わきの下のボタンを押して宇宙服を脱ぐ。
こっちもシャツとオムツだけになっちまった。
「うし、こいつはここに閉じ込めておこう」
まだもがいてるドロイドを会議室に転がしておく。
カメラに被せてるのこれ、岩居さんが着てたシャツか?
ご丁寧に腕の部分には、網か何かの切れ端を引っ掛けて動けないようにしてある。
岩居さんは扉を閉めて取っ手に部分にも網の一部を引っ掛けて、ちょっとやそっとで開かないようにしちまった。
「よし、寝床に戻ろう。 この辺りをもう少し調べたりしたかったけど、別のドロイドとか持ってこられたら厄介だからな」
確かに。
ドロイドが一体だけだとは限らないし、別の何かでこっちに何かしてくるかも。
「あと新しい着替えとか、宇宙服も調達しないとな。 いまんとこ予備があるのが解ってんのが、あのスライダー待機室の中しかないからな」
確かに。
奥の方とか探してみたら他にも予備はあるかもしれないけど、今のところスライダー待機室の場所以外で宇宙服とか見つけてない。
「あとやりたいこともあるしな」
・・・オムツ一丁でかっこつけられても。