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おっさん回復

「ぁ~、うめぇ。 五臓六腑に染み渡るたぁ、このことかねぇ」


 ガッツリ食うなぁ、このおっさん。


「はー。 落ち着いた。 ありがとなホント」


 カップ麺を二つ一気に食べてから、胡坐をかいたまま頭を下げるこのおっさんは、岩居努さん四十五歳だそうな。


 宇宙港で荷下ろし後の空コンテナの破損の有無を確認していた時に、コロナ分裂の騒動に巻き込まれたとのこと。


 聞けばほぼ二日間、宇宙服内部に入ってるボトルの水分、一リットルだけしか口に出来ていなかったとか。


 よく生きてたな。


 しかも生き残ろうとするために、宇宙服の電源を省電力モードに切り替えたうえでヒーターをカット。


 そのまま凍え死にしなかったのが不思議なくらいだ。


 とはいうものの体力的にも長時間冷たい環境にい続けたのはきつかったみたいで、助け出した直後はほとんど動けなかった。


 白湯と栄養剤とを飲んでしばらく回復に努めた後に、冒頭の食事風景と相成ったわけだ。


 ちなみにおっさんが体力回復のために休んでいる間に、もう一度宇宙港を見て回ってきたけれども、生存者は見つけられなかった。


 SOSを発信している端末は一個だけ見つけたけれど、肝心の持ち主の姿は無かったんだよな。


 意外なことに死体とかもなかった。


 国防軍の施設にあったあの人以外に誰もいないってのが、どーにも変な気がしてならない。


 ・・・テロリストが何かしてんのかな。


 回復した岩居さんに尋ねてみると。


「あー、作業中に何か通信か何かあったみたいだけど、コンテナの中でうまく受信できなかった感じでな。 んでなんか揺れたかなって思った矢先に大きな衝撃が来てな。 コンテナに閉じ込められた形であん中にいたって訳よ」


 完全に巻き込まれたっぽいな。


 エルはどう見てんだろ。


 宇宙港を見に行った時に確認してもらったけど、港湾作業員の方にあった名簿できちんと名前があったそうだ。


 ってことは、岩居のおっさんは一応テロリストでは無いってことかな?


 その確認をした後、エルは疲れたから休むと言って、最低でも十時間は連絡するなと言ってオフラインにしてしまった。


 考えて見りゃ、もう結構な時間活動してるんだよな。


 宇宙港でおっさんが入ったコンテナ見つけたのが三時過ぎ?


 で、スライダーのとこまでコンテナ持って行ったり、なんだかんだしてたからもう六時近くか。


 エルが何時から活動してたかしれないけど、さすがに疲れるだろうし眠くもなるだろうな。


 こっちも疲れてきた。


 寝る準備とかしとかないと。


 あと明日以降の食い物か。


 あのおっさん、スライダー待機室の食料、結構なペースで喰いそうだしな。


 いくらかは工業区のコンビニから調達するにしても、出来るだけ多めに食い物確保しとかないと、これからが大変かもしれない。


 あぁ、卵かけご飯くいてー。


 エルのやつ、いつ食わせてくれるんだか。


 いやそもそもどうやって卵調達してるんだろ?


 農業ブロックはもう一つのコロナの方だし、そもそも動物とかいたっけ?


「ところでな、大島クンよ」


「はい?」


 考え事してたらおっさんが声かけてきた。


「彼女とかいんの?」


 体力回復したらそれかい!


 彼女なんていねぇよド畜生!

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