なんとかできないか・・・。
『救難信号はモールス信号で、SOSと繰り返し発信されています。 発信源はコンテナ内部。 専用の機械ではなく携帯端末のアプリなどの手持ち出来る機器のみで、SOSを発信しているものと思われ――』
MOMOが何か言っているけれど、全然耳に入ってこない。
コンテナの中でSOSが発信されている。
誰かがこの中にいる。
何人いる?
事故直後からなら、すでに一日以上がたっているはず。
反応・・・。
「MOMOに確認。 相手の端末に向けて連絡とれるか?」
『不特定の端末への連絡はできません。 災害時の不特定多数への強制的な情報発信は、公官庁及び国防軍、警察、消防等による正式な――』
くそっ!
手持ちのアプリとかじゃ無理か。
何とか中の人と連絡とる方法・・・。
「エル聞いてる? 生存者がいたっぽい! 工業区隣接の宇宙港! 何とか中の人と連絡取れないか?」
・・・?
「エル? 聞こえてるのか?」
『・・・聞こえてるよ。 そこの様子は宇宙服のカメラを通して見てる。 見てるよ・・・』
何か声が弱々しい?
『何ができるかはこっちも考えてる。 が、はっきり言っていいアイデアが思いつかない。 コンテナだって人力じゃ動かないだろ。 だからフレームジャケットなりフォークリフトなり・・・探せ』
くそ。
何とかなんないのか。
「重機が無くてもコロナの回転を止めて、遠心重力を無くせばうまく動かせるんじゃ・・・」
『無理だ。 というよりそれはやっちゃいけない。 各所で固定しなおしたものが壊れる。 自転を止めれば今の座標からさらにおかしなところにコロナが飛んでいきかねない。 今は止めるべきじゃない』
「でもコンテナの中にいる人が・・・」
『そこ以外にこっちで匿っている中で、六人の重症患者がいるんだ。 その人たちに新たな負担をかけたくない』
いまなんつった?
生存者がそんなに?
「重傷者って・・・え? それって、事故の時から・・・?」
『そっちに言ってどうなるもんじゃ無し。 医師スキルを持ってないなら、重傷者の相手をどうにか出来るもんじゃないだろ。 おまえのスキルが建築系なら、それに見合った仕事をしてもらいたいってそんだけだ』
・・・確かに。
自分のスキルじゃ、重傷者がいても何もできないか。
「くそ。 じゃぁなおさらどうにもできないってのかよ。 コンテナの人、どうすりゃいいんだ」
『言っただろ。 フレームジャケットか重機を探せって。 助けるにしてもそのほかの作業するにしても必要だ』
ふぅ。
落ち着こう。
いちにいさんしいごおろくななはちくうじゅう。
はぁ。
探そう、重機を。
それから。
それからだ。