どこが破損したのか
『とりあえずアレ、どうしようかねぇ』
「・・・」
言わないぞ。
言えば何か仕事が増えそうな気がする。
『何とかしときたいけど、どっかに道具とかないかな・・・』
「いや、その前に工業区の空気をどうにかしないといけないだろ。 このまんまじゃ色々作業がしずらい」
これは言っとかないとな。
空気の充填は難しい問題だけど、このままって訳にもいかない。
ここで脱出用の資材を確保するにしても、当面の生存手段の確保のためにも色んな道具とかが必要になってくる。
ハンマーやドライバーなんかの手持ち出来る範囲でのものならまだしも、身長を超えるサイズのものとか場合によっては何らかの物質を化学反応させたり、溶接とか接着なんかの作業の中には真空中では出来ないものがある。
そんなのを、工業区以外でどうやれってんだ。
ここの空気を再充填するか、小さくても空気が漏れない作業エリアを確保するでもしないと、この後が大変になると思う。
「とにかく、一通り回ってみてどこから空気が流失しているか確認しよう。 そのついでにそっちのリクエストする作業もすればいいだろ」
『んー、ぁあそうするかー。 しょうがないかー・・・』
なんか気落ちしてるっぽいが、歩きながら空気の漏れてるところを探そう。
とはいっても工業区のどの辺から空気が漏れてんだか。
ありそうな可能性としては、コロナが割れた衝撃で壁面にヒビが入った。
でも今のところ目に見える範囲で、外壁にそうした亀裂は見られない。
いや、どこか建物に隣接したところに穴とかあるかもしれないけど。
次の可能性としては、外との搬入口が壊れてそこから空気が流失した場合。
この場合は二層になっている工業区の外皮側、足元にあるはずの空間を探らないといけないけど、どんな感じになっているやら。
もしかしたら両方の可能性もある。
どっちにしても工業区を歩き回らないといけないのは確定かな。
中央から壁面に近いところを見て回ろう。
しかし本当にどこから空気漏れたんだか。
コロナの分裂した時の衝撃とかせいだろうけど、いろんなものが散乱しててぐちゃぐちゃだし。
どこかに穴が開いただけなら、そこに向かってものが集まるから破損個所が分かりやすいけど、これじゃあね。
案外穴の開いたところは一か所だけじゃないのかも?
だったら何がいるかな。
セメントで穴を塗り固めるなら水がいるよな。
いや外とつながってるんならただ水をまくだけで、凍って穴を塞げる・・・。
の前にどうやって水をもっていこう?
相当デカい穴だったら・・・。
うーん。
あ、ここ端っこか?
目視した限りだと、どうもなってない感じだな。
天井に当たるコロナとの継ぎ目のあたりも大丈夫っぽい。
なら別のところか。
地味だけど、時間かかりそうだなこれ。