開いた口をふさげません
落ち着け。
落ち着くんだ。
こういうときにはまず、素数を数えよう。
1、2、3、5、7、11、13、17、19、23、27・・・っと、27は三で割れる。
よし、落ち着いた。
たぶん落ち着いた。
窓から月が見えない理由を考えてみよう。
まずはコロナからみて、月が蝕の位置にある。
宇宙だと光の加減によっては、闇に同化して五センチ先にあるものが、まったく見えなくなるなんてこともあるから、まあありえる。
だけど、三分に一回くらいの速度で自転するコロナからなら、どこかでその影か都市の光くらいみえるはず。
ていうか時間で言うなら夜にはなっていないはずなのに、窓の外に月が見えない。
コロナの自転軸がズレた?
だとしたらヤバイかも。
いろんなもんが使えなくなる。
もう一回、外を見る。
マグロ、発電パネル、なんかの棒、ネジ、氷。
・・・ああ、やっぱりというか見つけちまった。
緊急避難用の明るいオレンジのシェルターが、デブリの向こうに見えた。
ここから見えたのは一基だけだけど、そういうのが使われている時点で、重大な事故が起きている。
そして相変わらず、月が見えない。
どうしたもんか、なにかないか・・・。
あ。
アプリ。
『対話型コンシェルジュアプリ、MOMO。 起動しました。 前回の起動から三日目です。 ご機嫌いかがですか、天馬さん?』
「機嫌は良くないし、状況も良くない。 現在最優先で繋がる電話、SNS、メールを検索して」
『検索を開始します。 ・・・現在電波状況がよろしくありません。 電波状況の良いところに移動するか、優先接続できる環境で、再度接続設定を行ってください』
やっぱりか。
デスクにあるパソコンと繋いだらいけるかな?
コードを。
『接続が確認されました。 再度回線の検索を行います。 ・・・二件の接続が確認できました。 メールとSNS、どちらの回線を使用しますか?』
電話は使えないのか・・・。
「あ、ネットやニュースで、現在のコロナの状況が確認できるもの、あるいは時系列が確認できるものは何かない?」
『再度検索をします。 情報が確認できました。 表示します』
・・・。
をいナンダコレ。