うかつに触るのもな
国防軍のものと思われる通路を通って、工業区に来た。
エレベーターを通って国防軍の詰め所らしいところに出たら、どうもこの区画は真空だったらしくエレベーターから吸い出された。
そして死体とご対面。
災害時身元確認手順に従って、遺体のIDをスキャンしてデータ送信。
しようとしたけど出来なかった。
『え? こっちは何にもしてないけど』
じゃ、何でデータ送信が出来ないんだ?
『妨害・・・かな?』
誰が、ってこの場合は宇宙慈愛の協会とかいう奴らか。
「なんだってこんな妨害してんだろうな?」
『さぁー。 まぁ色々考えられるけど、悪いことするにあたって、証拠を残したくないとか』
「お前が言うか? そっちはそっちで何かやってんだろ?」
『やっててもこういう妨害はしてないよ。 いや、したところでメリットがない』
・・・ほかの可能性とかあるかな?
例えばIDデータを死んだ人とすり替えておく。
そうして生きて地球に戻った時に、この死んだ人に成り代わって国防軍で何かするとか。
「なぁ、エル。 そっちで死んだ人のIDの確認とか出来るか?」
『いや無理。 こっちは制御系を中心にやってるけど、データの分類とかは勝手が違ってて出来ねぇ』
ぬぅ。
このネタは確認できねぇのか?
「MOMOに確認。 ID送信を邪魔しているプログラムが無いか、ネットワークをスキャン」
『プログラム検索、精査に関わる管理者権限がありません。 プログラム管理者を通して実行するか、上位の管理者からアクセス許諾を受けなければ実行できません』
あ、やっぱり。
実際無理だとは思ってたけど。
んじゃまぁどうするかな。
調べられないのは何かヤな気分だけど、調べる手段がないんじゃどうしようもない。
もしかしたら、エルが嘘をついている可能性だってある。
本当は調べる手段があるのに、何か目的があるから黙ってるとか。
何が目的で黙っているかは本人が言うとも限らないし、ずっと黙ってるってこともあるだろ。
ただそれを問い詰めたって、相手が気を抜いたりしなきゃ漏らすことも無いだろうから、結局情報が送信できない状況を保留したまま次にやることを考えないとって感じだ。
『おーい、だまりこくってるけど、大丈夫か―?』
あぁそんなに黙ってたか。
「いや考え事。 この遺体をどうしよとか」
『今はどうにも出来ないなー。 埋葬手段もだけど、今遠心重力のかかっている状態じゃ、動かすのも一苦労だと思うよ』
だよな。
それに、動かした跡どこで埋葬するかもわからん。
宇宙葬にするにも確か専用のカプセルか何かがいるはずだし、そのまま放り出してもデブリになるだけだ。
どうにも手を付けられないから後回しだな。
「この遺体は手を付けずに置いておくとして、この後どうする? ここから先は何かあるのか?」
『あ、この工業区の中から使えるものを取りに行こう。 出来ればキチンと閉鎖しておきたいけど、それは状況を見て。 まずは国防軍の詰め所周辺から見て回ろう』
「ん、解った」
じゃ、中見て回ろう。




