さて始めよう
宇宙服を着なおす。
通路には空気があったが、いろんな作業をするにあたっての危険を考えると、この提案は妥当なものだろう。
『ぴろーん。 クルスは労働者の鎧を装備した』
「なんだそのナレーションは」
『ふんいきが出るかとおもってさー。 さー行こうぜ』
何か調子狂う。
ペースを握られっぱなしのせいか?
着替え終わったので、通路に向かう。
遠心重力が外側にかかってるせいで、感覚的にはスライダー待機室からベッドのある部屋を通って、通路のあるところまでを上へ登っていく感覚になってる。
部屋の中のとっかかりや、折り畳み梯子を伝って登っていく。
くそぅ。
重いんだぞ重力かかると宇宙服って。
流石に改良されてるから、一世紀も前の宇宙開拓時代の頃の宇宙服に比べりゃ、格段に軽くはなっている。
ただし今着てるような、作業用宇宙服を除いた場合な。
プロテクターっつか防護板のついた宇宙服ってのは、比喩じゃなくてほんとに労働者の鎧って感じだから。
加えてエアのタンクが重い。
何でもそうだけど、エアのタンクはどうやっても軽く出来ないからな。
ふぅ、ちょっと休憩。
『おーいぃ。 もうちょっとだよー、通路までもうちょっとだよー』
「うるせーや。 宇宙服重いんだから休ませろ」
およそ二十キロから三十キロあるんだし。
今すぐEAVするわけじゃ無いにしても、この重さを身に着けて動くのは、なかなかにしんどい。
ふぅー。
「いいぞ。 行こう」
息も整った。
ベッドの枠を足掛かりに通路へと昇る。
ドローンも付いてくる。
番号入力して通路に。
よっと。
「で、どっちだ?」
『そのまま今向いてる方向に。 しばらく行ったら工業区に接続できる扉があるから、そこまで行ってちょうだい』
「工業区は残っているんだ。 なら何か使えるものがあるかもな」
『重機なんかもあるはずだよ。 こっちにゃ今使える人間がいないからな。 ロックかけて扉開けられるのは時間の問題かもだしなー』
「で、そこをどうにかさせようってわけだ」
『色々暴れまわられたら厄介だからね。 動きは追ってるけど、止めるにはこっちの手が少ない』
そっか・・・。
「だとしたら、向こうもそんな事色々考えているんじゃないのか?」
『だろうね。 別のメンバーも対策してるけど。 せめて電気関係は抑えとかんとねー』
頭が痛くなってくるなー。
鉢合わせしたらやだな。
「いきなり爆発とかやんねぇよな?」
『それはどうだろうな。 向こうに聞かなきゃわかんないけど、利用するのが目的なんだから、いきなり何もかもぶっ壊そうとはしないだろうよ』
「追い詰められたら?」
『・・・』
「おい!」
いろんな意味で大丈夫か?