はぁ、まったく
『まぁ色々あるとは思うが、とりあえず協力して助かろう。 そういうことでいいな?』
あぁ、いいだろう。
いいだろうけどな。
「しつこいようだけど、確認するぞ。 今、このコロナにはお前らと俺と、宇宙慈愛の協会とかいうやつらがいる。 で、宇宙慈愛の協会とかいうやつらがこのコロナを奪い取ろうとしている、だな?」
『そうそう』
「ただし、お前らもコロナを占拠したいと思っているんだよな」
『そこはそれ。 あいつらとは目的が違うんで』
「どう違うかは聞いてないよな?」
『具体的に説明すると長いよ。 まぁ、まずはこのコロナをこれ以上破壊されないようにするのが、今の最優先事項。 そこは同意してもらっていいかな?』
生き延びるのに必要とあれば、協力もするさ。
「で、何をさせようって? テロリスト倒せってんならお門違いだぞ。 ただの作業員に出来ることはねぇぞ」
『いやー、そんな映画の主人公みたいなこと、出来るもんじゃ無いでしょ。 単にいくつかのポイントを重機で塞いで欲しいんだって』
「重機で?」
どう重機を使う気だ?
『んー、そこから近い幾つかのポイントと、出来れば電源ケーブルをロックして欲しい。 下手に動かされると、色々と面倒なことになるから』
「作業はそれだけ?」
『今のところは。 状況によっちゃ、追加で何か必要になろことはあるだろうけど、今はまずやれることからやっていく。 くどいけど、生き残れるようにしていかないことには、どうしようもないんで』
・・・納得していいかは分からないけど、一応は協力しておこう。
最初の事故が起きた時のことを考えると、話し相手がいるってだけでも落ち着く。
『じゃぁ、そっちの端末に作業手順と地図を送っておくから』
「・・・あ、そうだ。 そろそろ端末のコントロール返せよ。 MOMOがねぇと色々不便なんだから」
『えー? MOMO要るの? 無くてもいいじゃん』
「無かったら色々困るってば。 変なとことか触って、ポリスドローンに捕まりたくないし」
色々禁止事項の指摘をしてくれるからありがたいけど、そのせいで向こうのコロナの農業プラントからは、何にも持ってこれなかったわけだけど。
『あー、まぁわからないでもないけど、とりあえずしばらくは大丈夫にこっちで弄っておくから』
「なんかするのか?」
『管理者コードを一部開放しておく。 そっちの端末に権限委譲しておくから、幾つかの場所も入りやすくなる』
おお。
・・・あ、なら。
『だけど、使えるのは一部だけだよ。 スライダーは使えないから、今すぐ出て行こうっても無理だよ。 まぁ、デブリが散乱してるから出て行っても、新しいデブリになるだけだけど』
ちっ。
「そうまでして人に作業させようってことは、よっぽど自分たちで作業できない理由がありそうだな。 誰こっちに来て手伝えないのか?」
『それは無理な相談でね。 とにかく、人手を見つけたらこうやって声をかけて言っている状況でね。 さて、そろそろ端末に管理者コードを送れたはずだから、作業をしていくよ。 作業用の宇宙服の準備して』
言い終わると、ドローンも動き出す。
なんか言いなりになっているのが癪だけど、作業をするために動こうか。
「あ、そだ。 MOMO返せ」