NSC
くそっ。
なんだよ。
なんだよこれ!
「なんなんだよお前!」
『何だとはなんだよ。 せっかく名乗ってやったのにー。 つかさー。 端末に色々入れすぎだろ?』
「うっせーよ! んな事言われる筋合いは無ぇ!」
『筋合いあるだろ! こっちはこっちで確認がてら、いろいろ見なきゃいけねぇんだからよ!』
「見なきゃいいだろ! 接続しても取捨選択できる立場にあるのはどっちだ!」
『取捨選択出来るから気になるんだろが! 何でGLAPeのセカンドアルバム入れてるのに、ファーストアルバム入れてねぇんだよ!』
「いいだろーが! 二曲目の『DEAD END』って曲が気に入ってんだ!」
『だったらファーストの『BONE』入れろよ! 対になってんだから!』
「いや別に今更聞く気無いし、つか今の状況じゃダウンロードもできないじゃん」
『・・・あーまぁねぇ。 ある意味申し訳ねぇ。 でだな』
「?」
『ただちにどっか掴まれ。 怪我するから』
言うが早いか、コロナが揺れる。
揺れてはいるけど、農業プラントの時のようなガゴンって感じじゃなくて、ぐおって感じで一回大きく動いてじわじわと身体が重くなって・・・。
人工重力?
と、窓が近づいてきた。
立てるよ。
窓を下にして立っちゃった。
えー。
『あ、わりーね。 もういいよ。 重力感じられるようになってると思うけどどう?』
「立ててるよ。 何やったんだよ?」
『あー、これな。 コロナを乗っ取った』
「え?」
『コロナをな、乗っ取ったんだってば』
なんかサラッとトンデモナイこと言われたような。
「何で?」
聞いてみる。
『欲しかったからだよ。 コロナが。 だから色々準備してきたさ。 してきたのにねー、あんたも含めてイレギュラーばっかりだよ』
「イレギュラー?」
『言っとくけどな、コロナをぶっ壊したのは俺たちじゃねぇぞ。 多分アレ別口のやつだ。 俺たちはコロナを丸ごと欲しかったんだからな』
「何でコロナを欲しがってんだ? つかぶっ壊す? 誰が?」
『疑問形ばっかりだな。 あー、さっき名乗ったNSCってのの正式名称調べた?』
「アプリの通知の中にであったな。 ニュースペースシチズンて。 日本語だと新宇宙市民か? ファンタジックな名前のアプリだとは思ったけど」
『言ってしまえばその名前の通りでなぁ。 文字通り宇宙で生活する、新しい市民になろうってのが俺たちだ。 だけどそんな俺たちと敵対するわけじゃないけれど、邪魔になってるやつらがいる。 多分そいつらがコロナをぶっ壊そうと強硬手段に出たんだと思う。 運用セレモニーを狙ってパフォーマンスに出たか?』
をい。
「するってーと何か? 俺はお前らやそいつの巻き添えになって、宇宙で漂流する羽目になったのか!」