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重機が・・・

『バイタルに異常がみられます。 心拍数、呼吸数ともに増大。 安全な場所へ移動し、安静にすることをお勧めします。 バイタルに―』


「できるかぁ!」


 くそ!


 落ち着け、落ち着くんだ。


 こういう時は三の倍数を数えるんだ。


 三一が三、三二が六、三三が九ってなんで掛け算してんだ俺は!


 そんなことを頭の中で突っ込んでいても、状況は一向に変わらず今もぐるぐると目が回りかけている最中だ。


 原因はさっきの衝撃だろう。


 スラスターが壊れたのか、回転が止まらない。


 重機のパラメーターを確認するものの、姿勢が安定しないせいで、ヘルメットの向こうの景色が邪魔になって画面が見にくいっったら!


 星だかデブリだかよくわかんないものだかが、どんどん視界を横切っていく。


 姿勢安定のためにスラスターを・・・って、スラスターが効かない!


 ・・・。


 赤ランプついてやがるし。


 右スラスター破損。


 左と上下のは生きてるかもしれないけど、右側の破損部分からガスが流失し続けているせいで、上下左のどのスラスターを操作しても、回転の勢いが収まらない。


 あと、今もそうだけど、さっきの衝撃でスラスターの向きがおかしくなっている感じだ。


 左側のスラスターのほうをいじってみると、右のスラスターのモーメントを打ち消すんじゃなく、斜め方向へのベクトル変換がかかってる。


 ・・・。


 脱ぐか。


 重機のハーネスを外す。


 変な方向に吹き飛ばされないよう、ゆっくりと慎重に。


 ロックを外しきる前に、重機に振り回されないように両手のグリップ位置を確認して、すぐに保持できるように準備。


 姿勢制御に使うために持ってきていたスプレーの位置も、両方の腰のホルダーにあるのを確認済み。


 ・・・。


 ヘアスプレーなのはツッコむな。


 なんでもいいんだ。


 噴射できるものであれば。


 今のところ、使った時に凍らないかだけが心配なだけだ。


 スラスターのガスが切れたようで、手に伝わる振動が緩やかになってきている。


 左手で重機を支えて、右手でスプレーを噴射。


 三回ほどやってみて、少しだけ回転がゆるくなった気がする。


 今のうちに、どう壊れたか確認しとこう。


 ロックを全部外して、三点保持で重機の後ろを確認しに移動すると、見事につぶれたコンテナが目に入る。


 くそ。


 背中側にデブリか何かがあたって、減速した時にぶつかったんだな。


 コンテナがあったから助かったとはいえ、中に入れてた水は、ボトルごとダメになってる。


 小さな氷がキラキラしてきれいだけど、デブリの破片も混ざってそうで、飲むにもほかの用途にも使えない。


 重機のスラスターも明後日の方向を向いてるしダメだ。


 このまま使っても、いつ配管が破れてガス漏れ起こすか。


 捨てるしかないな。


 でも、ただ捨てるわけにはいかない。



 もうちょっとだけ、利用してからだ。

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