尋問じゃなく聞き取りです。
「大島クルス天馬。 鉱区作業員として登録。 資格はフォークリフト、作業用フレームジャケット、宇宙用小型作業艇操作、普通自動車、中型自動車・・・結構資格持ってるんだね」
二人のレスキュー隊員が端末から吸い出した情報を見ながら色々聞いてくる。
個人情報保護とかいいのか?
いやま本人確認とか色々あるんだろうけど。
「それで、コロナで事故が発生した時はどこに?」
「北極の鉱区で作業を。 で、水蒸気が噴出したのか坑道の奥の方からブシューってきて、勢いに押されながらも休憩所に戻っていっぺん気を失って」
頷きながら何か書き込んでる。
「その時何か感じたことは無い?」
んー。
思い出してみるけど、何かあったか?
「いや、その時は特に何も」
「ふむ」
また書き込み。
「その時はまだ、鉱区に近い北半球の方にいたんだね」
「はい」
うなずいておく。
なんかまた操作してる。
最初の方にMOMOで記録していたデータ見てるのかな。
多分そうだと思うけど。
・・・変な何か撮ってなかったよな。
ドライブレコーダーじゃないけど、変な歌うたったり痛いダンスはやってない。
やってなかった。
やってないはず。
・・・独り言とかは言ってたかもしんない。
「で、生存に必要なものを探そうと、休憩室を出て・・・農業区? そっちに行ったのか」
「そうです」
けっきょくそこでは何にも持ってこれなかったんだけどね。
「はー、ワイヤー巻き上げてカタパルトにしたのか。 おお、飛んだ」
北半球のコロナから南半球の塊に移動するあたりか。
「おおお、おー危ない」
デブリが飛んできてるところを見てるのかな。
「あ、あ、あ。 あー、こりゃひどい。 よく生きてたな」
デブリがぶつかってた場面見てるらしい。
実際あのデブリの勢いがもっと強かったら、絶対死んでた。
「・・・これはあれか? 国防軍のか?」
例のスライダー倉庫のとこか。
「あー、これなら・・・」
なんかアイデアがあるような口ぶりだけど後の言葉を飲み込んだ?
「そうするとこうか・・・」
レスキューの人、何考えてるんだろ?




