おっさんヤバい
「誰か何とかしろぉぉ!!」
おっさんがわめくが、その口をまず閉じろよ。
わめいて暴れたら酸素が無駄に消費されるだろ。
見かねたのか動きの良いのが近づく。
おっさんの方はいいにしても、コンテナはどうにも。
ゆるく回転をしてるけど、元に戻せない。
一人でコンテナの中にいたなら何とかできたかもしれないけど、複数の人間のいる中でうまく回せるか・・・。
いや、うまく回すのは無理だな。
あのおっさんがネックだ。
さっき支えてもらって一度は体勢が安定したけど、またへんに暴れて壁にぶつかってる。
ああ、ぐるぐる回り出し・・・。
「ぅ」
あ。
あれヤバい。
近寄るのもヤバい。
「・・・ぅる」
ぅあ・・・。
離れろ来るな。
いやいやいや。
とりあえず吐くな。
吐くな。
吐くんじゃない。
色々ヤバい。
本人もこっちもヤバい。
ゲロで窒息する。
ゲロが飛んで二次被害が出る。
あるいはもらいゲロで被害が拡大する。
・・・来るな。
・・・・・・吐くな。
・・・おっさん耐えろ。
「ぅぉぉほ」
ををを。
―――ゴ
を?
んのぉ!
重力!?
じゃなくて外からなんか当たった!
全員が飛ばされる。
壁の端っこに押し付けられる感じでぶつかった。
痛ぅ。
前からなんで受け身は取れたが、おっさんが吐いた。
幸いゲロは浴びなかった。
コンテナの扉が開いたと同時に空気がかき混ぜられて、宇宙レスキューが到着したのを後から理解できた。
いやもう、おっさんのゲロを避けたりなんだかでしっちゃかめっちゃかで、周りに気を配れないし一気に色々起こったから。
助けられたみたいだし、安心していいよね?




