表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/167

事故発生

 さてどうしよう。


 残ったのはどうやら俺だけらしい。


 今の時点でもすべき事は山ほどあるんだが、なにぶん解っていることの方が少ない。


 酸素の残量を確かめながら、手近にあるものの確認から始めていった。




 西暦2222年2月22日。


 覚えめでたく2の字がずらりと並んだこの日こそが、世界初の都市型宇宙ステーション「コロナ」の記念すべき稼働初日になるはずだった。


 事故が起こったせいで実際にはそうならなかったけど、本格稼働する前に事故が起きて、大きな被害が出なかったことだけが不幸中の幸いかな。


 最も俺自身はガッツリ事故に巻き込まれてますが。


 どうしてこうなったかなんて事は、一労働者たる自分には解らないが、気がついたときには周りに誰もいなかったとそういうわけだ。


 いやまぁ、この状況に至るまでの過程に心当たりが無いわけでもない。


 事故があったと思われる時間帯に、俺は同僚数人と中央坑道で鉱石の採掘調査を行っていた。


 この宇宙ステーションの中央にある、でっかい隕石な。


 重力のない狭いところで重機を使用してると上下左右、昼夜も含めて感覚がおかしくなって来る。


 だからまぁ、二三時間ごとに交代するんだけど、その日は多分運が悪かったんだろうな。


 誰かがなんかのはずみで、掘り当てちゃったんだろう。



 氷を。



 ショックを与えたせいでいっちゃったんだろうな、ブシューっと。


 そっからは、速かったのなんの。


 宇宙服越しにも鳴り響くけたたましいアラートのせいで、誰が何を言っているのかわかりゃしない。


 氷塊かなにかがどこかにぶつかって、どうやらとんでもないことになりかけているのはなんとか聞き取れた。


 そんな事が起こっているにもかかわらず、自分は何もできなかった。


 なんせ坑道の中が暴風雨状態。


 何人か宇宙に投げ出されたらしいが、目で追うことも出来なかった。


 水蒸気が吹き出す端から纏わり付いて、すぐさま凍っていくんだもん。


 なんとか氷の塊の中に組み込まれる前に坑道から脱出したものの、休憩室に戻る以外何もできなかったね。


 回ってんだもん世界が。


 きっとあれだわ、さっきからの水蒸気の噴出が引き金になって、中央の隕石ごと宇宙ステーションが回ってるんだわ。


 こうなったらどうしようもない。


 こっちも下手に動けない以上は、嵐がおさまるのを待つしかない。


 そう思って、休憩室で避難していたら宇宙に一人取り残されてました。




 大島クルス天馬。


 二十二歳独身。


 辛すぎる童貞ロビンソンクルーソー、宇宙漂流記の始まりですバカヤロー!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ