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ジャージ  作者:
7/7

七ページ

待つこと数分。

ビッグニュースが気になった俺は、女子バスケ部員達に混じって扉の前で木山を待っていた。


「先生遅いわ…」

「木山先生亀だから!」

「「そもそも先輩が走っちゃうからですよ!」」

「むぅ…」

「どこかで倒れてはいないだろうか?」


職員室から体育館までは確かにそこそこ遠いが、歩いてもこんなには掛からない。

心配する晴明を見て、暗い嫉妬心が俺の心に表れる。

そこで俺は提案をした。


「フリースローゲームやろうぜ」

「いいーねー!」

「吠えずらかいてはいけないよ、高凪くん」


晴明と廣瀬がすぐに乗ってきた。

廣瀬は完全に木山の事など忘れただろうが、晴明は心配を押し込めての事だろう。

俺は満足げに頷いた。

そこへ他の三人が乗ってくる。


「「チームワークなら負けないです!」」

「勿論シュートが入ったトータル数を競うのよね?」

「ワタクシ、今なら調子が良いのだよ」

「ちょっと待て!」


俺が提案したのはフリースローゲームと言って、フリースローラインからシュートを打ち入った人から抜けていくゲームである。

だが、こいつらの言っているのは、一人なん本か打って一番多く入れば勝ち。

しかも俺対他。


「高凪が打っていいのは一本だよ!」

「はぁ!?」


どんどん俺が勝てない状況に追いやられた。

意義を唱える間もなく、晴明は楽しそうに笑うとシュートを打った。

いや、打とうとした。


「じゃあ一番晴明めぐみ打ちまーす!せー…きゃぁぁああああ!!」


ビュン!

「グハッ」


しかし、打とうとした晴明がいきなり叫んだ。

そしてボールを、ゴールではなく扉に向かって全力で投げた。

扉の向こうに消えていったボールは、ゴス、と何かに当たったようだった。

しかし、俺はボールではなく晴明に駆け寄った。

俺に続いて他の女子部員も駆け寄ってくる。


「大丈夫か!?」

「て、」

「て?」

「扉に真っ白の手が、ガッて掛かったの…」


片手で目を隠しながら、晴明は震える指を扉に向けた。

つられて俺達も扉を見た。

そこにいたのは。


「「「あ"…」」」


俺と後輩たちが真っ先に音を発した。

一拍遅れて廣瀬が立ち上がって叫ぶ。


「木山先生!?」

「え!?」

「あらぁ」


廣瀬の叫びで晴明もバッと顔をあげた。

そして扉付近でうずくまる人影を認めて顔を青ざめさせた。


「先生!ごめんなさい!!」

「あぁ、ありがとう…。大丈夫だよ」


光の速さで木山の元へ駆け寄った晴明は、何度も頭を下げながら木山を助け起こした。


「お化けかと思って、それでびっくりしちゃって、それで私、あの…」

「大丈夫大丈夫、ほんと大したことないから!」


木山はそう言って笑ったが、誰が見ても無理して笑っていた。

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