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ジャージ  作者:
6/7

六ページ

そして晴明もまた、恋愛が絡むとゲンキンなのだった。


「木山に優勝トロフィー渡してやるんだろ」

「うん!恩返し恩返し!!」


晴明の好きな国語教師、木山は実は女子バスケ部の顧問なのだ。

しかし、運動が出来なさそうな見た目通り運動音痴だ。

それでも木山は出来る範囲勉強してサポートしてきたのか、部員たちは非常に木山に恩を感じている。

晴明に至っては恩だけじゃないが。


「さー!もう一本いきますか!」

「急に元気になったな」

「高凪君の秘められしパワー!」

「ハハッ!なんだそりゃ」


再びボールを持った晴明は、俺をビシッと指差したあとにっこり笑った。


「高凪君のおかげってこと。ありがとう!」


それは花が咲いたような笑顔だった。

俺がそういう風に例えるのは変な気がするが、正しくその表現が似合っていた。

明るく綺麗な晴明に、俺は直視できず顔をそらした。

おう、とだけ答えた俺の小さな返事が、二人っきりの体育館にいやに響いた。


どれくらい経っただろう。

あれ以降晴明の打率は目に見えて上がっていた。

俺が居る側とは反対の壁を見れば、時計はホームルームから一時間近くを指していた。


「遅くな」

「お待たせー!」


俺が、他の部員遅くないか?と言おうとした瞬間、足元の体育館の扉が勢いよくバタン!と開いた。


「遅くなってごめんね、めぐみん!」

「ごめんなさい!!」

「申し訳ない!」

「「すいません…!!」」


ドタドタとなだれ込むように体育館に入ってきたのは、賑やかな女子バスケ部員。

ろくにシューズも履かず晴明に抱きついていく。

晴明は困ったように、いいよいいよ、と言っていた。


「高凪っちに変なことされてない!?」

「おい、こら」

「大丈夫だよ。高凪氏は紳士だから」

「男はみんな狼だから、油断は禁物!!」

「狼はむしろ廣瀬だろ!」


俺の事を好き放題に言うショートカットの女、廣瀬はこの部の副部長で俺の幼馴染みだ。

マイペース極まりすぎて俺や教師では手におえない上に、運動神経と頭が良いからタチが悪い。


「私が狼?良い例えだね!私こそがこの部活のぇえーす!今、私の名前は世に轟くのだ!」

「ゆき、今日はずいぶんテンション高いですな…。何か良いことあったの?」


廣瀬の高笑いに少し引きつつ、晴明は別の部員に聞いた。

静かで背が高くセンターを務める柊は、頷いた。


「私達にとっても良いことよ」

「私達にとっても?」

「そうなんだよ!詳しくは木山先生に説明してもらって…あれ?木山先生は?」

「ゆき先輩が聞くなりダッシュしちゃったから」

「木山先生置いてきちゃったんですよ!」


あれ、と扉から顔を覗かせる廣瀬に、双子のような後輩二人がすかさず突っ込んだ。

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