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運命の出会い

やっと、物語が動き始め・・・たら、いいな(´・ェ・`)

 3日後、オレは人里に戻っていた。

 カームラスという、そこそこ大きな都市だ。大きな街道に面しており、人の出入りが盛んだ。

 冒険者ギルドもあり、商店も多い。

 ここなら、新しい剣を手に入れられるだろう。

 オレは、まず資金調達のために冒険者ギルドに向かった。

 あの後も2匹のベビーサイズの魔物を狩れたので、合計12個の魔法結晶を係員に提示する。

 係員は、魔法結晶の数と大きさを確かめると、オレの手の甲に板状の器具を押し当てた。すると、器具の表面にヴィシュヌというオレの名前と、いくつかのデータが浮かび上がった。

 冒険者ギルドに登録した際に、オレの霊体だか幽体には魔法的な刻印が刻み込まれており、その器具は刻印を読むことが出来るのだ。

「ヴィシュヌ様ですね。今回の買取り金額は、7万8千エーンになります。

 現金でお支払いしますか?それとも、プールされますか?」

 生真面目そうな年配の女性係員が、どこのギルドでも変わらぬセリフを投げかけてくる。

 一度に7万8千もの儲けなんて、オレにとっちゃ珍しいことなんで、少しはほめて欲しいとこなんだけどなー。

 もちろん、ぼっち体質のオレは、そんな気持ちはこれっぽっちも面に出さないけど。

「現金でお願いします」

「分かりました」

 やはり、淡々と7万8千エーンを渡された。金貨7枚と銀貨8枚だ。

 大金だ。

 ちよっと汗をかきながら、財布にしまいこむ。これだけあれば、今までとは格段に違う剣が買えるハズだ。

 オレは、そそくさと冒険者ギルドを後にすると、武器屋に向かった。

 武器屋は、冒険者ギルドの2件隣にあった。

 防具屋もすぐ近くだ。

 それなりに繁盛してるようで、明るい店内には各種の武器が綺麗に並べられ、掃除も行き届いている。

 オレは剣の陳列棚に目を向けた。

 これまでは小剣を使っていたが、今回は長剣を買う予定だ。

 もともと小剣を買ったのは資金が足りなかったせいだし、魔物と対する時に、少しでも長いリーチは大きなアドバンテージになる。

 いっそ槍を買いたいぐらいだが、まだ盾を使わない戦い方には踏み切れなかった。

 日本のゲームじゃ、ずっと盾を持って仲間を守るタンカーばっかりやってたんだよ。

 カウンターの中にいるドワーフじみた店主に、長剣が欲しいと告げる。

「ほう。盾持ちかい。珍しいな。ちょっと身体を触らせてもらっていいかい?」

「あ、はい・・・」

 カウンターから出てきた親父は、オレの腕や腰をベタベタと触ると

「見た目はひょろっこいのに、ちゃんと筋肉はついてるな」

 と言うと、陳列してあった長剣を3振り持ってきてカウンターに並べた。

「重さ的には、こんなとこだろう。

 手に持って、バランスを見てみな」

 3振りとも似たようなシンプルなデザインだが、今まで使っていた小剣と比べるのが申し訳ないぐらいに斬れそうな光を放っている。

 オレは長剣を順番に手に取ると、軽く振ってみた。

 おお、いいわぁ。

 小剣に比べると重くなるが、負担になるほどじゃなく、逆にその重さで余計に切れ味が増すだろうってのが分かる。

「これかな」

 オレは、振ってみて一番しっくりくる剣を、親父に差し出した。

「よっしゃ。5万8千エーンになるぜ」

 うわ、やっぱりいい値段したよ。

 オレは財布から金貨5枚と銀貨8枚を出すと、親父に渡した。

「時間あるんなら、サービスでそっちの小剣を磨いてやってもいいぜ」

「あ、ホントですか?2~3日はここで泊まる気なんで、お願いします」

「よっしゃ、任せな」

 親父は、ニヤリと笑いながら小剣を受け取った。

「なかなか年季の入った小剣だな」

「ええ、買った時、すでに年季入ってましたから・・・」

 小剣のかわりに長剣を腰に吊ると、ずしりと重い。頼もしい。

「宿は、どこだい?」

「あー、それは今から」

「オススメなら、カササギ亭だな。あそこのメシは、うまいぞ」

「そうなんですか?じゃ、そこに行ってみます」

 特にこだわりもないので、メシがうまいんなら、御の字だ。オレは、宿屋の場所を聞いて、武器屋を後にした。

 

 宿屋も、すぐ近所だった。

 カササギ亭は、冒険者がよく利用する宿屋のようだ。

 商人がよく利用する宿屋や店と、住み分けが出来てるんだろうなぁ。冒険者ギルドの周りにある店は、どれも冒険者御用達って訳だ。

 建物は2階建てで、1階が食堂になっていた。酒場兼用でもあるらしい。

 部屋数はそんなに多くなさそうだけど、空きはあるのかな?この世界じゃ、宿泊客が多いと当たり前に相部屋になっちゃうのがイヤなんだよな。

 オレは1階の食堂に入ると、店主らしい中年男に声をかけた。

「こんにちは。泊まりたいんですが、部屋は空いてますか?」

「おお、冒険者にしちゃお上品な口の聞き方だな。今なら、1人で部屋が使えるぜ」

「良かった。じゃ、お願いします」

 オレは鍵を受け取ると、階段を上り始めた。

「そろそろ昼メシ時だが、どうするね?」

「お腹減ってるんで、荷物置いたら、すぐにでもお願いしたいんですが」

「あいよ。用意しとくよ」

 オレは部屋に荷物を置くと、胸当てやらの防具もはずし、身軽になった。

 腰に買ったばかりの長剣を吊っただけで、また階段を下りていく。

「どこでも空いてる場所に座りなよ」

 テーブル席が5つのうち3つに客がいた。

 冒険者風の客もいるが、都市の住人ぽい人もいる。武器屋の親父が言うように、うまいメシ目当てに冒険者以外の人も来ているのかも知れない。

 冒険者風の客の1人は、オレと同じぐらいのトシだった。

 防具らしい物はつけてないが、こざっぱりした服装で、正直あまり強そうには見えない。

 が、そいつが自分の座っている椅子にもたせ掛けてる両手持ちの大剣に視線が吸い寄せられた。

 明らかに魔法的な力が感じられるのだ。

 まさか、魔剣か?

 オレの運命が動き始めてることに、オレはまだ気が付いてなかった。

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