ネコミミメイドの伝説
お気に入り登録が急増して151件……!?
な、何があったんでしょうか…
ありがとうございますーー
今回は戦闘無しです。ネイルいじりの回です。
窓から明かりが差し込んで目が覚めた時、まだ私の腕の中でネイルは丸まって眠っていた。
昨日はかなりハードな一日だったから疲れたのだろう。
じっと見ていると、時々ぴくぴくとネコミミが動いたり、尻尾がぱたぱたしたりと非常に可愛らしい。
思わずそっとネコミミの根本をつまむと、中指でこしこしとこすってやった。
「ふや…んぅ!?」
ネイルの体がぴくんぴくんと揺れる。
「寝ぼすけめ~まだ起きないのか?起きないともっとイタズラしちゃうぞ~」
今度は反対側の手でネイルのお尻をそっと伝い、尻尾の根本まで到達する。
そして尻尾の裏側に指を3本当てて毛先方向へとゆっくり愛撫する。
「あぅぅぅん…ん…」
ネイルの表情を見ると唇をかみしめて我慢しているのが分かる。
本当はもうとっくに起きているらしい。
「こいつめ…狸寝入りか。そんな悪い子にはお仕置きかなっ♪」
かみっ
ネイルの耳を軽く噛んでやる。
「ひぅぅぅぅんっ!!」
思わず目を開けるネイル。
「お・は・よ」
「は、はひ…」
「寝たふりなんかして~もっとして欲しかった?」
「い、いえっ!起きる、たっ、タイミングがっ!」
「そう?」
調子に乗って喉を人差し指でそっと撫でてやる。
「は、はふ…ん…ぅ……」
「正直に言わないと……こうだっ」
いきなり耳噛みにしっぽ撫ぜの同時攻撃。
「あぁぁぁぁぁ!だめですぅぅ!!」
うーん、ネイルと同衾するようになってからちょいちょいSっ気が出てしまうなぁ。
「すっすみませんっ…しっ…シノ様の指が気持ちよくてっ!寝た振りしてましたぁぁぁぁぁっ!」
「はい、よくできました~」
私はぺろっとネイルの唇を舐め上げると、ネイルを腕から解放して身を起こした。
ネイルは息も絶え絶えにぴくんぴくんと体を痙攣させたままだ。
「あ…あ、キス、されちゃったぁ…」
「はっはっは、女の子同士だからノーカンだよー」
私はいまだ動けないネイルの夜着を剥ぎ、濡れタオルで汗をぬぐってやると忍服に着替えさせた。
「うぅん…これじゃ、またあべこべです…」
「気にしないの…今日はさっさと朝食を食べてクラスチェンジに行くよ」
「は、はい…」
結局、ネイルが立てるようになった頃には宿の朝食は終わっており、外の屋台で串焼きをかじった後、ギルドへ向かったのでした。
ということで、ネイルと連れ立ってギルドにやってきました。
しかし、この町に来てから毎日ギルドに顔を出しているな…
「こんにちは~」
クラスチェンジがどの窓口なのか分からなかったので、とりあえず昨日お知り合いになった依頼窓口のミシェラさんに声をかける。
「はい、シノさん、こんにちは」
「今日はクラスチェンジをお願いしたいんだけど」
「シノさんが、ですか?」
「いや、こっちの子」
「ああ、ネイルさん…そういえば昨日、クラスレベル15になったんでしたね…では、そちらの奥のドアから入って、廊下の突き当たりの部屋にお越しください」
「ありがとう…さ、行こうか、ネイル」
「はい、シノ様」
廊下の突き当たりのドアを開けると、そこには12畳位の部屋に直径3メートル位の魔法陣が描かれた部屋だった。
ちなみに壁にはびっしりと本棚が並び、本来の壁の地肌はまったく見えない。
「いらっしゃい」
部屋の奥にいた灰色のローブに眼鏡をかけた老人が声をかけてきた。
他には誰もいないのでこの老人がクラスチェンジを担当する職員なのだろう。
「おじゃまします…クラスチェンジはこちらでよろしいですか?」
「うむ…ここで行っておるよ…だが、いかんな」
「は?」
「そなた、なぜかは知らんが魂が複数揺らいで見える…そんな不安定な状態ではクラスチェンジが成功するかは賭じゃの」
ただの職員のじいちゃんかと思ったら意外と実力者らしい。
複数の魂っていうのは私の別キャラの存在が重なって見えているんだろう。
「ああ、ご心配なく。私は付き添いで…こちらの子のクラスチェンジをお願いしたいんです」
「なんじゃそうじゃったか…そなたのクラスチェンジも試してみたかったんじゃがの」
「はは、また機会があれば…」
なかなかお茶目なじいちゃんだが、今はつきあっている暇は無い。
「うむ。それではお嬢ちゃん、今のクラスと希望クラスを教えてくれんかね」
「はい、今のクラスは雑益奴隷、希望クラスはメイドです」
「うん?奴隷と?…いや、すまん、あまり小綺麗な姿をしておるから意表をつかれたわい…での、奴隷となれば主人の許しを得ねばならんはずじゃが、その辺は大丈夫かの」
「はい、シノ様…ご主人様に身分を開放して頂きました…今の公的な身分は平民になっています。それとこの格好はご主人様の御好意です」
「だってねぇ…ネイルみたいな可愛い子が不潔な格好しているのって世界的な損失よ?おじいちゃんもそう思わない!?」
「うむ、そこは同感じゃ」
じいちゃん目が高い。信用出来るとみた。
「では、そこの魔法陣の中央にこっちを向いて立ってくれるかの…」
じいちゃんの言葉にネイルが魔法陣の中央に移動する。
「では、まず事前調査じゃ」
魔法陣の一番外側のリングだけが光を放って上昇していく。
「ふむ、クラスチェンジの条件はクリアしているようじゃの…メイドへの転職も問題なしじゃ」
すぅっ…と収まっていく魔法陣の光。
「最後にもう一度確認するぞ?本当にクラスチェンジして良いんじゃな?」
「ええ、お願いします…今よりもっと…シノ様のお役に立ちたいんです」
うう、ネコミミメイド萌~でメイドを勧めた身にすると罪悪感が…
「うむ、では、いくぞ!」
今度は先ほどとは比べ者にならない位の光芒が魔法陣を満たす。
「!」
「動くな!間違っても魔法陣の外に出てはイカンぞ!」
じいちゃんの鋭い声が飛び、ネイルは魔法陣の中央で直立不動の姿勢で固まった。
「クラス情報…『メイド』を解凍…」
壁の本棚から一冊の本がじいちゃんの手元に飛んでくる。
「うむ…これじゃ…記憶野展開…クラス基本情報転送…技能情報転送…基礎能力の適正化開始…」
「うう…う」
光でよく見えないけどネイルの苦しそうなうめき声が聞こえてくる…軽く転職進めちゃったけど、結構つらいものなのかな…
「よしっ!これで最後じゃ!記録保存!」
ひときわ魔法陣の光が強くなったかと思うと、すぐに収まって行き…そこには無事なネイルの姿が見えた。
「終わりましたか?」
「うむ、もう魔法陣の外に出ても大丈夫じゃ…む?」
「何か異常が!?」
「いや…たぶん悪いことではない…ギルドカードも書き換わっておるじゃろうて、確認してみると良いじゃろう」
じいちゃんの言葉に疑問を持ちつつも魔法陣の中央でぼ~っとしているネイルを迎えに行く。
「大丈夫?ネイル」
「…あ、シノ、さまぁ…」
くてっと私の腕の中で頽れるネイル。
「なんか…ぽかぽかしますぅ…シノ様に…抱かれて眠った時みたい…」
「ちょ…!」
「ほほう、なるほどの…」
にやにやしながら私達を見やるじいちゃん。
「ちがっ!そういうあれでは…」
「うんうん、美しいの。若い頃にはいろいろあるもんじゃ」
「だから…」
「安心せい、誰にも言わんよ…」
だからその生暖かい目をやめいっ!
「まったく…おじいちゃん、ソファか何かある?この子、しばらく足腰立たないみたいなんだけど」
「うむ、隣の部屋に休憩室があるよ。そこのソファに寝かせればよいじゃろ…お茶でも入れてしんぜよう」
じいちゃんの案内で休憩室に移り、ネイルをソファに寝かせる。
「ほれ、東国産のグリーンティじゃ。おまえさんにはこっちのがなじみがあるじゃろ?」
え、緑茶?何で私が緑茶になじみがあるって…
「黒髪に象牙色の肌と言えば東国に多いからの…バター茶とどちらがよいか悩んだんじゃが、当たりか」
…油断の出来ないじいちゃんだな…私の表情から、緑茶で『当たり』だと見抜いたのか。
「…シノ、様」
ネイルがソファに身を起こす。
「ネイル、もう、体の調子は良いの?」
「はい、ご心配おかけしました…もう、大丈夫です」
「そう、クラスチェンジ自体は無事に終わったらしいから、カードを確認してみると良いよ」
「はい」
カードを起動するネイル。
と、その表情に疑問が浮かぶ。
「シノ…様」
「ん?」
「クラスが『ルミナスメイド』になっているんですが…」
「はい?」
「ほほう、ルミナスメイドになったかの…これはまた…レア中のレアなクラスじゃの」
ネイルの言葉に目を輝かせるじいちゃん。
「ネイル…カード、見せてもらって良い?」
「はい、シノ様…どうぞ」
私は起動状態でカードを渡してもらって中を確認した。
氏名ネイル・サヴァン 性別女 年齢14歳
総合レベル15 ギルドランクD
クラス メイン『ルミナスメイド』LV1
サブ『雑益奴隷』LV15
ステータス
HP 375+120
MP 1030
STR 15
VIT 14
DEX 13
SPD 15
INT 13
MID 12
称号
マナの申し子
固有スキル
部分獣化
家事道具習熟
属性補正
闇+10%
光+20%
祝福
神楽紫乃
「うん…ステータスは全体に底上げされているね。属性も光が20%になってる…固有スキルに『家事道具習熟』って付いてるからメイドはメイドなんだろうけど…確かにクラスの名前は『ルミナスメイド』になっているね」
私はじいちゃんの方を見て説明を促す。
「うむ、説明しよう…ルミナスメイドとは光の属性に特化したメイドじゃ。クラスチェンジ時に魔力の総量が飛び抜けて大きかったり、光の属性を持っていたりすると…極希にメイドから派生することがあるの」
「普通のメイドに比べてデメリットは無いのね?」
「うむ、実質メイドの上位互換職といってもいいじゃろう…光属性の技能が充実しておるはずじゃ…いやはやまったく珍しいものを見せてもろうたわい」
「…そんなに『ルミナスメイド』って珍しいの?」
「…まあ、そもそも…クラスチェンジしてまでメイドになりたいって者が少ないからの…単にメイドになるなら平民がギルド登録時のクラス選択で選ぶ…というパターンの方が圧倒的に多いしの」
「…なるほど、クラスチェンジの機会がなければお目にかかれない職なのね」
…とりあえず悪いことではないみたい…ほっとした。
私はネイルの隣に座り頭を撫でてあげた。
「ご苦労様、良くやったね?レア中のレアクラスらしいよ『ルミナスメイド』」
「シノ様の、おかげです…シノ様の『加護』で魔力が底上げされていなかったら…」
「そんなこと無いよ、ネイルの光属性と相性が良かったんだよ」
ついでに耳も撫で撫でしてあげる。
「そんなこと…んっ…」
「どうしたの?」
「だめですっみみぃ…ちから、ぬけま…す…」
ありゃ、やりすぎたか…てゆうか、ネイルの耳がどんどん敏感になっていっている気がする。
私は悪くないです。たぶん。
「ほっほっ…眼福眼福」
あ、じいちゃんの存在忘れていた。
「すっ、すみません、失礼しました…手数料は銀貨一枚でしたね」
「うむ、確かに受け取った。二人とも壮健での…また会えるのを楽しみにしておるよ」
私はネイルを伴ってそそくさとギルドを後にした。
「さて、次は…被服店かな…近くに領主と取引しているようなお店ってあるかな?」
「それでしたら、この通りを右折した先の…ミンスター衣料店が、たしか」
「領主と取引が?」
「はい」
「よし、行ってみようか」
「おじゃまします」
店内は魔法の明かりなのか明るく照らされており、一目で高級品と分かるドレスから作業服までそれぞれ質の良い物が並べられていた。
「いらっしゃいませ」
栗色の髪の30代前半に見える女性が店の奥から出てきた。
「ミンスター衣料店にようこそ。本日はご購入ですか?それとも仕立て?」
「あ、いや…その、ここってメイド服も取り扱ってます?」
「ええ!御領主様邸のメイド達の服はすべて当店が納めさせて頂いてますよ」
良かった、当たりか。
「実はこの子…ギルドのメイド職なんですが、どうせなら良い物を、と思いまして」
「まあ、お目が高い!ただ、御領主様のお屋敷のメイド服とまったく同じという訳にはいきませんが…」
「ああ、一般販売されているので良いので、一番質の良い物をお願いします」
「承りました。それではこれなど…」
と、示されたのは、紺色のロングスカートのクラシックタイプメイド服。
前掛け部分のフリルもうるさくない程度になっていて、上品かつ、実用的な作りだ。
それに加えセットでヘッドドレスと靴も進められる。
「いいですね、これのセットを着替えを含めて2着と…後は下着のセットを私と彼女の分をそれぞれ5組ずつお願いします」
「はい、ありがとうございます…では、お二人のサイズは…はい、少々お待ちくださいませ」
私とネイルがそれぞれサイズを伝えると女性は店の奥に品物を取りに戻っていった。
さすがに女性用下着まで『戦オン』のアイテムには無かったからなぁ…あっても「腰巻き」とかだろうし、それはさすがに現代人女性として勘弁して欲しい。
「お待たせしました、こちらになります」
おや、メイド服はともかく…下着類も以外といい。絹に近い手触りの柔らかい物だ。
「ありがとう、全部でおいくらでしょう」
「はい、締めて…銀貨20枚…2000クラムになります」
う、どこの世界でも女性の衣類にはお金がかかるのね…今は懐が暖かいから良いけど。
「では、これで支払いを」
「あの、シノ様、私の分は自分で支払いを…」
「いいの、半分私の趣味で着て貰うんだから」
と、私はさっさと自分の財布代わりの小袋から銀貨を20枚出して支払った。
「ありがとうございました、またのお越しをお待ちしています」
ミンスター衣料店を後にした私達は、他にも細々とした生活用品を店を回ってそろえる等していたが、気が付くとすでにお昼の時間になっていた。
「よし、それじゃあ宿に戻って食事にしようか」
幸い、ここも元の世界と同じように一日3食の習慣なので、事前に頼んでおけば宿の一階でお昼を取ることが出来る。
「はい、シノ様」
ネイルはフリルの付いた可愛い服が嬉しいのかミンスター衣料店を出てからずっとメイド服を胸に抱えて歩いている。
その彼女を促して、私は定宿している宿へと向かった。
「ん、今日も美味しかった…港町のせいかお刺身まで出るとは思わなかったけど…」
さすがに醤油まではなかったが、ゆず胡椒に似た調味料で食べるお刺身もなかなか美味しかった。
スイートルームの時ほどではないけど、量も十分だし、何よりちゃんとネイルと二人分が出されるようになったしね。
「はい…おさかな…美味しかったです…」
ネイルはちょっとトリップしたみたいになってる。どうも食糧事情の劣悪な奴隷時代の反動で、美味しい食事を取るとこんなんなるらしい。可愛いから良いけど。
「ネイル、大丈夫?休憩するならお部屋行きましょう。私もちょっと…やる事あるしね」
ふらふらするネイルの背中を支えて2階の部屋へ戻る。
部屋に入るとネイルをベットに座らせ、私は今日買ってきた荷をほどいていく。
その中から2着のメイド服の内1着を取り出しハサミを当てる…
「あ、あの…シノ様?何をなさるんです?」
「ん、1着バラそうと思って」
「な、なぜ?せっかく買ってきたのを」
「うん、型紙代わりにね…しようと思って」
「????」
ふっふっふっ、混乱しているネイルも非常に可愛くてよろしい。
「猫耳使用人計画最終段階は!戦闘用メイド服の作成です!」
「‥‥もしかして服も…作れるんですか」
「まかせて」
『戦オン』には生産だけの職、戦闘だけの職、というものは無い。どの職も戦闘職としての側面と生産職としての側面を持っている。
ちなみに私が所有している4職のキャラは
忍者……布系装備及び忍者道具の制作
陰陽師…魔道具及び召還符の制作
鍛冶師…金属系武器防具の制作
薬師……各種の薬及び印籠の制作
と、各種得意な生産品がある。
本来ゲーム中では布系装備を作るには『型紙』アイテムが必要なのだが、その代わりに1着本物の服をバラして使おうという訳だ。
「ああ、バラす前に技能変えておいた方がいいな…技能セット『生産用』と」
【器用度上昇】【業物確率上昇】【裁縫・上級】【布防具作成】【所持限界重量上昇】
【神通力付与】【身体能力付与】【付与率上昇】【美的感覚・上級】【休息】
技能を変更して作業を再開する。
おお、さすが『裁縫・上級』と『器用度上昇』あっという間にばらすことが出来た。
続いてそれを順番通りに床に並べ…所持品欄から素材を取り出す。
出来上がりをイメージして『布防具作成』を実行。
すると、私の手が勝手に超スピードで動いて素材を縫い合わせていく。
上木綿、練絹、綸子をベースに王虎の毛皮と神龍の鱗で要所を補強していく。
本来なら『メイド』は多少の革鎧系も装備出来るという事なのだが…そこをあえてメイド服で通す為に素材は惜しまない!
また、戦闘用の為スカート丈は少し短くして膝下にしてみた。
「ん、これも使えるかな…」
本来なら宝石や『付与玉』と呼ばれる魔力の固まりの宝玉を付与作業に使う所を、同じ魔力の固まりであるという『デス・マンティス』の魔石で代用してみる。
「おお、うまくいきそう…」
手に持った魔石が砕けると同時に、その魔力は光を発して服に吸い込まれていった。
次に、薬師で作った魔法の染料で、一気にメイド服のデフォルト色に染め上げる。
仕上げは胸元に大粒の宝石を飾りたいが…
「うーん、金剛石だとちょっとうるさいかしらね」
ここは同じ光属性の蒼月光石を飾る事にする。
「よし!服は完成!次はヘッドドレスかな」
こちらは小さい分手の入れる余地が少ないが…
「とりあえず基礎部分を玄武のベッコウにして…布部分は上木綿…縁取りを夜叉蜘蛛の糸にして強度を確保…耐魔性能を付加させたいから黒曜石をつぶして…」
ヘッドドレスには黒曜石の純粋な黒が光となって注がれていく。
「ん、とりあえず完成、かな?いい仕事したぁ~」
と、額の汗をぬぐっているとネイルがやけに静かなことに気が付いた。
「どうしたのネイル、大丈夫?」
「し、し、し、シ、ノ様…」
「ん?」
「一体いくらするんですかーーーーっ!この服っ!!」
「いくらって…そうね」
『戦オン』の貨幣基準と単純に比較出来ないし…ああ、屋敷システムの一番小さいのの代金が同じ位かな。
「小さな家が一軒買える位?」
「‥‥‥‥ひっ!」
…ネイルは気を失ってしまいました。
1時間後。ようやく目を覚ましたネイルが固辞するのを、今後の戦闘に必要で、ひいては私の為にもなると言い聞かせて…やっとの事で着用を納得して貰いました。
『月光のメイド服』
メーカー:SINO
レベル制限 レベル15以上
種族制限 猫系獣人のみ
クラス制限 メイド系のみ
防御力 75
術防御 60
身体付与 STR+1 SPD+1
技能『重層結界』使用可
『ホワイトブリム・ノワール』
メーカー:SINO
レベル制限 レベル15以上
種族制限 猫系獣人のみ
クラス制限 メイド系のみ
防御力 30
術防御 55
身体付与 MID+1
技能『耐魔結界』使用可
ちなみに着用制限を厳しくしたのは、その分性能を上げる為ですが…おかげで実質ネイル専用となってしまいました…獣人のメイドなんて聞いたこともないそうです。
まあ、とにかく。
野望の一角、猫耳メイドプロジェクト、達成です!わーぱちぱちぱち。
「うんうん、可愛いわよネイル!」
「あ、ありがとうございますシノ様…」
約1名青い顔をして表情が引きつっていますが…慣れてください。私のメイドさんになったのが運の尽きだったのです。