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真・こことは違うどこかの日常  作者: カブト
過去(高校二年生編)
150/199

第二十話 『激戦』

 御稜高校二年A組副委員長ヘイゼル・カミオは眼前で繰り広げられるあり得ない光景に、顔を歪める。


「なんだこれは。どうなっているというのだ。いや、それよりもなによりも奴は何者なんだぁっ!?」


 彼が所属するクラス。そこは小さいながらも彼が支配する国であり堅牢な城である。この学校の教頭であり現時点での校内最高権力者である叔父の力を存分に利用し、できるだけ自分の意に沿う者達を集めるように画策。

 結果、クラスメイトのほとんど全てを彼のシンパで固めることに成功したのだ。

 つまり、このクラスに所属している者達で彼に味方しない者はほぼ存在せず、また、彼の命令に従わない者もまたほとんどいない。彼は間違いなくこのクラスを支配する王様なのである。

 その彼が収める王国で、信じられない事件が勃発した。

 彼が朝、学校に登校し自分のクラスへとやってきたとき、彼は信じられない者を目撃した。

 なんと、彼が以前から思いを寄せている龍族の姫が床の上に倒れていたのだ。

 一瞬、姫の命がもうないのではないかと不吉な予感がよぎり心臓が止まりそうになったが、幸いその胸が上下を繰り返していることを確認しほっと一安心。

 だが、胸を撫で下ろしたのも束の間のこと。彼は、倒れる姫の横に一つの人影と、そして、その人影の横に置かれた一本のナイフを見つけた。

 彼は確信する。こいつが犯人だと。姫を襲った犯人に違いないと。この人物は彼と同じクラスメイトであったが、日頃から気に食わないと思っていたのだ。

 最下級中の最下級種族でありながら、身の程知らずにも龍族の姫君に言い寄っていた憎い奴。

 きっと思い通りにならない姫君に業を煮やし、実力行使に打って出たに違いない。絶対に許すことはできない。証拠のナイフもすぐ側にあり、今なら始末しても正当防衛が成り立つはず。

 彼は一緒に登校してきた部下達と、同盟関係にある龍族のクラスメイト達とで素早く作戦を立て、この身の程知らずに正義の鉄槌を下すべく行動を開始した。

 相手は身体能力が低く、頭も悪く、金も地位もない人間族。

 あっと言う間にケリがつくだろう。

 そう思っていた。

 だが、そんな彼らの前に、たった一人で飛び込んできた者がいる。

 はっきり言って『バカ』、いや、『大バカ』としかいいようがない。

 このクラスに所属する彼の部下達は、身体能力に優れた者が多い。

 腕力に優れる中級聖魔族である魔豚人(デモンオーク)族。

 魔豚人(デモンオーク)族と同じ中級聖魔族で、敏捷性に優れる闇山羊人(デミサタナチア)族。

 鋼鉄のような鱗で覆われた中級龍族の甲龍(シェンロン)族。

 炎を自在に操る上級龍族の(ホン)族など、それはもう実力者揃い。皆、中級以上の種族階級を持っていて家柄もよく、ヘイセルに対する忠誠心、あるいは友好度も高い。

 それだけの者に囲まれて、無事で済むはずがない。

 ヘイゼルは一方的で血生臭いワンサイドゲームを期待して、わくわくしながらそのときが訪れるのを待った。

 だが、彼の思惑とは裏腹に、いつまでたっても二人の愚か者達が血の海の中に沈みはしない。

 それどころか包囲しているはずの彼の部下達がどんどんと冷たい床の上に倒れ沈んでいく。

 そんなバカな話はない。

 彼に楯突く愚か者達は、ヘイゼル達よりもはるか下に位置する者達。はっきり言えば、路傍の小石よりも価値のない最下級クラスの種族。奴隷か、あるいはそれに近い下賎な身分の者達なのだ。

 そんな者達が自分達高位の種族の者達を害すなど、ありえないしあってはならないことだ。

 しかし、現実に彼の目の前で次々と自慢のクラスメイト、いや、部下達がたった一人の少年に倒されていく。


「どうした自称『上級種族』ども」


 エルフ族の少年の口から毀れ出る嘲笑の言葉。だが、その顔には言葉通りの嘲笑は浮かんではいない。

 そこに浮かんでいるのは激しい怒りと悲しみ。


「俺の知ってる魔豚人(デモンオーク)のおばさんはな、ゴリラ型害獣の剛腕を片手で捻じり伏せてバグベア族の子供達を守って見せた」


 そう言って腕力に優れる中級聖魔族である魔豚人(デモンオーク)族を力でねじ伏せる。


「俺の知ってる闇山羊人(デミサタナチア)族のおっさんは、大怪我を負ったコボルト族の女の子を背負ってダチョウ型害獣の群れを突っ切って見せた」


 そう言って敏捷性に優れる闇山羊人(デミサタナチア)族を遥かに上回るスピードで襲いかかってくる生徒達の中を駆け抜ける。


「俺の知ってる甲龍(シェンロン)族の中学生のガキンチョはよ、大人達でさえ持て余すクマ型原生生物の攻撃をたった一人で耐えきって見せた」


 そう言って鋼鉄のような鱗で覆われた中級龍族の甲龍(シェンロン)族をたったの一撃で昏倒させる。


「俺の知ってる(ホン)族のばあさんはよ、許容をはるかに超える森林大火災を命を掛けて制御して消してみせた」


 そう言って炎を自在に操る上級龍族の(ホン)族を翻弄する。


「奴らだけじゃないさ。他のみんなも凄い奴らだったんだ。そして、みんな本当に大事なものがなんなのか知っていた。なのにおまえらときたら、たった一人をよってたかってかよ」


 周り全てが敵という中、深緑森妖精族の少年は一歩も引くことなく顔を上げ、その怒りに燃える瞳を彼らへと向ける。


「俺は認めねぇ。絶対に認めたりなんかしねぇ。今はもうこの世にいないあいつらとおまえらは同じじゃねぇ。ああそうさ、絶対に同じであるものかぁっ!!」


 止め処なく毀れ溢れる怒りの言葉と共に歩み進む少年の体が徐々に光を放ちはじめる。それに気がついた一人の魔豚人(デモンオーク)族の少年が、恐怖に顔を歪めながらも雄叫びとともに渾身の一撃を目の前に迫るエルフ族の少年に叩きつける。拳から伝わる確かな手応え。二十ギロ以上の体重差にエルフの少年は吹っ飛ぶ。そう思った。

 だが、魔豚人(デモンオーク)族の少年の拳を頬にめり込ませたまま、エルフ族の少年はその歩みを進めてくる。

 頬はみるみる腫れあがり、口からは血を流し、片方の目は赤く充血していくにも関わらず彼は歩みを止めはしない。


「ひ、ひいっ、なんだこいつは!?」


 悲鳴を上げながら魔豚人(デモンオーク)族の少年は拳を引っ込め後ろに下がろうとするが、その拳をエルフ族の少年が掴み取る。


「見てわからねぇか? ただの『人』だよ。どこにでもいるただの『人』なんだよ。上も下もありはしねぇ。そうさなぁ。俺や連夜は確かにおまえらとは違うわな。そんなこともわからねぇおまえらとはよぉっ!!」


 深緑森妖精(ウッドエルフ)族の少年クリスの絶叫に呼応するかのように、拳を掴んだ華奢な右手が強烈な光を放つ。それを見た魔豚人(デモンオーク)族の少年は意味不明な金切り声をあげてクリスから逃げようとするが、掴まれた腕をどうあっても外すことができない。腕力において圧倒的優位にあるはずなのにだ。それでもなんとか逃れようと必死にもがく。

 そして、拳の拘束が緩んだと思われたそのとき。彼の意識は深い闇の中へと沈んでいった。

 光を放つもう一つの腕が、魔豚人(デモンオーク)族の少年の脂肪だらけの腹部にめり込み、その意識を刈り取ったのだ。凄まじい戦闘能力。だが、幸か不幸か、教室内外に展開する襲撃者達にその光景は見えていなかった。あまりのスピードに、誰もその目にとどめることができなかったのだ。

 いったい何が起こったのかわからず、時が止まったかのようにただただ茫然と事態を見つめ続ける生徒達。

 だが、魔豚人(デモンオーク)族の少年が床にゆっくりと床に沈む姿を見て、彼らの中の一人がかすれた声で叫ぶ。


「こ、殺せっ! 殺しちまえ!!」


 高校生が口にするような言葉ではないし、その内容も普通なら到底頷けないものだ。しかし、この教室の中と、そしてその周囲にいる者達はその内容に即座に反応し、一斉に動き始める。

 言葉の内容を実施するために、殺意を剥き出しにして華奢で小さな高校生に向かって殺到していく。

 敵は妖精族の中でも下級に位置する深緑森妖精(ウッドエルフ)族の少年たった一人。

 これだけの人数で襲いかかれば余裕。すぐにも制圧できるはず。誰もがそう思い、雄叫びをあげながら襲いかかる。男も女も関係ない。たった一人の生徒に対し、よってたかって襲いかかっていく。


 だが・・・


 そのたった一人を大勢で取り囲んでいるというのに、いつまでたっても制圧することができない。

 いや、それどころの話ではない。両腕両足から奇怪な光を放つ深緑森妖精(ウッドエルフ)族の少年に、次々と襲撃者達は沈黙させられていく。このままではこちらが制圧されてしまうだろう。

 ヘイゼルは引き攣った表情で事態を見守っていたが、呆然としている場合ではないと気がつき、急いで次の手段をうつことにする。

 懐から携帯念話を取り出して、どこかへと念話をかける。掛ける先は一つではない。焦りを隠そうともせずに念話相手と交渉し、時に脅し、時に相手の条件を飲んで契約を成立させると、また次へと念話をかける。


「・・・いいから手下を連れて援護に来い! おまえらだってうちの叔父貴に世話になってるだろうが。ああ。そうだ、わかった。そのシマはおまえに譲ってやる。だから、早く来い!」


 掛けた相手はこの学校内でハバを利かせている別の不良グループのリーダー達。学校の覇権を巡って争う間柄ではあるが、この学校を支配している彼の叔父とみな何らかの形で繋がっている。本来なら顔を合わせるのも嫌な相手ばかりであるが、今のこの状況ははっきりいって不味い。多少の借りは作っても早急に対処してしまわないと、この学校内での自分のメンツが完全に潰れてしまう。

 ただでさえヘイゼルの立場は危ういのである。

 数か月前まではヘイゼルは、同じ学校の不良グループの中でも頭一つ抜きんでた存在であった。学校の実質的支配者である教頭と血縁関係にあり、親は中央庁に勤める役人であり、同時に大きな裏組織の幹部でもある。手下の数はトップクラスであり、腕っ節が強い名の知れた剛の者も多い。表では、成績優秀な模範的優等生として行動し、表の頂点である生徒会長の座を狙いながら、裏では側近達を操って裏の頂点も目指す。

 その圧倒的権力と財力、それに表と裏世界の人脈で、この学校の頂点に君臨するのも時間の問題とまで言われていたのだ。

 だが、たった一回の失敗で彼は地に墜ちた。校外で名を轟かす、悪名高き怪人『祟鴉(たたりがらす)』を倒してさらなる名声を求めたのがそもそもの原因。

 いいところまでは追い詰めたのだ。龍族屈指の強豪龍乃宮 剣児を先にぶつけて時間を稼ぎ、奴に集中している間に包囲して拉致することに成功した。あとは嬲るだけ嬲って殺すだけ。そこまで追い詰めることに成功したというのに、突然乱入してきた化け物狐に全てを御破算にされてしまったのだ。

 あっという間の出来事だった。武装した彼の手下達は全員下顎を蹴り飛ばさされ、彼自身も半死半生の目にあわされた。

 幸い、彼の側近が身を呈して庇ってくれたおかげで下顎を飛ばされるのは免れたが、それでも一カ月もの間学校を休む羽目になってしまった。未だに退院できない彼の手下達に比べればかなりマシな状況ではあったが、それでも彼が入院している間にこの大失態は、他の不良グループ達の間に知れ渡る結果となってしまい、彼に対する評判は一気に下落。

 このままでは、覇権争いから脱落するのも時間の問題。そう思われていたところに今回の騒動。はっきりいって大チャンスであった。学校最大のアイドルである龍の姫を、学校最悪の嫌われ者から救い出す。これが成功すれば間違いなくヘイゼルは一躍英雄となる。

 だからこそ絶対に成功させなくてはならない。どんな手を使ってでも。

 血走った眼に狂気の光を宿らせながら、ヘイゼルは尚も携帯念話を掛け続ける。主だった不良グループはほぼ招集し終わった。だが、これだけでは不完全。次に掛けたのはこの学校の最高権力者である叔父のところ。


「おはようございます。叔父上ですか? ヘイゼルです。ええ、そうです。少しばかり派手にやらせてもらっています。ですが、はっきりこちらに大義名分のあることですので、ご心配には及びません。うちのクラスに龍族の姫君が在籍されていらっしゃることは叔父上もご存知のことと思いますが、その姫君に狼藉を働くゴミがおりまして。はい。はい。そうです、下級種族のゴミです。相手に何の後ろ盾もないことは確認済みです。ええ。そうですね。他の者達にも声をかけましたのでそれほど時間はかからないかと。ええ。ええ。はい、わかっております。全力で鎮圧にあたります。それで申し訳ないのですが、妙な横やりが入らないように、教師の皆さんを少しばかりの間抑えていただけないかと。はい。ええ、そうですね。お願いいたします。では、鎮圧が完了次第ご報告させていただきますので。はい。失礼いたします」


 携帯念話の通話を切ったヘイゼルは、ズボンのポケットに携帯念話をねじ込みながら醜悪な笑みを浮かべてみせる。

 現状で打てる限りの策は全て打った。校内の全グループではないものの、半数をはるかに超える圧倒的人数の不良達を援軍とすることに成功し、うるさい教師達も足止めしている。あえて問題があるとするならば戦後処理のことだが、とりあえずそれについては今考える必要はない。後でゆっくり考えればいいだけだ。

 この場を制することさえできれば彼の名声は一気に上がる。

 上級種族中の上級種族である龍族の美しい姫を汚らわしい暴徒から救う。少々その手際が不細工だったとしても、ここを抑えてしまえばあとはどうとでもなる。まずは結果だ。

 これだけの人目があれば、自分が救出劇の指揮を執っていたことを証明するのは容易い。彼の目論見に気がついて他の不良グループの者達が自分達の手柄だと主張してもそれを退けるのはそんなに難しくないはずだ。

 めまぐるしく頭の中でもいくつものシミュレーションを繰り返しながら、彼は教室の中を凝視する。

 そこでは所狭しと暴れまわる一匹の修羅の姿。次々と襲いかかっていくヘイゼルの手下達をちぎっては投げ、投げてはちぎりの大奮戦。ヘイゼルの手下達もかなり頑張ってはいるものの、どうしても取り押さえることができない。 だが、ヘイゼルは焦ってはいない。

 なぜなら、先程の念話で要請していた他不良グループ達の者達がとうとう到着したからだ。

 彼の手下達に勝るとも劣らない凶悪な猛者達が、次々と教室の中へと雪崩れ込んでいく。


「やっと詰んだか。意外と時間がかかったが、まぁよしとするか」


 美しい顔に歪な笑みが広がる。いくら個人の武勇に優れようとも所詮相手はたった一人。いや、人間族のゴミ虫がもう一匹存在しているが、そいつはさっき散々やっつけて、教室の隅っこに隠れるようにして座ってるだけ。これだけの相手を前に、たった二人で何ができるというのか。

 圧倒的人数が生み出す強大な暴力の津波に、今まさに飲み込まれようとしている二人の人影に、ヘイゼルは声を挙げて笑い出す。

 どちらか、あるいは両方が命を落すやも知れぬが、所詮はゴミ。父親と叔父の権力で如何様にももみ消せる。何んといっても、相手が悪いのだし、こちらとしては龍の姫を助け出す為のやむなき処置として堂々と正当防衛を言いだせる。

 ヘイゼルは、目の前で輝きだすバラ色の未来の幻に、思わずその手を突き出した。

 幻とわかってはいつつも、それを掴もうとその拳を握りしめ、そして、栄光に満ちたバラ色の幻は・・・


 呆気なく霧散する。


「ヴァルヴァルヴァルゥゥゥッ!!」


「うおおおおおおおおおおっっ!!」


 全校舎に響き渡るほどの凄まじい大咆哮と共に、不良達が作り出した暴力の津波が連夜とクリスを飲み込もうとしたまさにそのとき、教室の廊下側とは反対側から二つの凄まじい雄叫びが挙がる。

 くすんだ赤銅色の太陽が映し出される窓ガラスが耳障りな破砕音と共に砕け散り、その破片が雨のように教室の中へと降り注ぐ。

 津波の先頭に立っていた不良達は、自分達が乱入した教室の異変に当然気がついていたが、それをわざと無視し、振り上げた拳をそのまま目の前の少年たちめがけて振りおろそうとするが、しかし。

 ガラスを破砕した元凶たる何かが、それよりも早く不良達に近づき、そして、彼らに向けてその凶悪極まりない破壊の力を叩きつける。

 完全に横合いからの奇襲。教室の中に意識を向けていた不良達は、避けることもできずにまともにそれを食らい、十把一絡げになって吹き飛んでいく。


「な、な、ななな、な、なに?」


 輝く栄光がヘイゼルの眼前で跡形もなく消し飛んだ。それだけはわかった。だが、何故そうなったのか、いったい何が、誰が、どうして、どうやって、そうなったのか。混乱する頭を整理しきれぬヘイゼルの前に現れた招かれざる客達は、再びその咆哮を挙げる。


「俺の敵は俺の敵、ダチの敵も俺の敵」


「幼き頃に誓った誓い」


 妖精族の少年クリスを守るように移動した二つの影は、彼に拳を振りおろそうとしていた二人の巨人族の腕をそれぞれ掴んで止める。


「貴様ら全て俺の敵」


「今こそそれを果たすとき」


 『人』の全種族の中でもトップクラスの剛腕を誇るはずの自分達の一撃が止められたことに巨人族の不良達は驚きの表情を浮かべるが、その表情は長くは続かなかった。

 それをやってのけたバグベア族の少年の輝く瞳を見たからだ。

 凄まじいまでの怒りに燃えるその黄金の瞳を見た彼らは、表情を凍りつかせる。


「故にみんなまとめてぶちのめす。ロスタム・オースティン。推して参る!」


「連夜は僕が守る! ルー・フェイシン。行く!」


 迸る闘気が巨人族の不良達を包み込んだ次の瞬間、『ボキリ』と鈍い音がして彼らの腕が折れる。思わず悲鳴をあげそうになる二人の不良達。だが、それを果たすことはついにできなかった。腕を抑えて屈み込んだところをロスタムおフェイの両拳が二人の顔面に容赦なくめり込み粉砕してしまったからだ。いや、巨人族の二人だけではない。黄金の瞳をした侠獣(きょうじゅう)と、真紅の髪の炎鳥は、妖精族の少年クリスに襲いかかろうとしていた他の不良達にも牙を剥く。


「おいおいおい、ちょっと待ていおまいら。いきなり横から登場してそれはおいしすぎるだろう?」


 自分の見せ場を完全に奪われる形になってしまったクリスは、思わず呆れた果てたと言わんばかりの声をあげて見せるが、二人の乱入者達はどこ吹く風。教室の中を縦横無尽に暴れまわる。今まで猛威をふるっていたクリスに勝るとも劣らぬ暴れっぷり。次々と床の上に倒れ伏していく仲間の姿に、数で圧倒しているはずにも関わらず不良達は徐々にその足を後退させていく。

 しかし、中にはナイフやチェーンといった獲物を手にロムやフェイ達にかかって行こうとする者もいる。

 彼らは、弱腰な仲間達を押しのけて前にでると、大暴れしているロム達に気がつかれないように背後からそっと近づいていく。

 いくら腕っ節が強くても刃物で刺され、鈍器で殴られ平気でいられる者はそう多くはない。いやらしい笑みを浮かべながら得物を手にした襲撃者達は、仲間達を囮にしてある程度の距離まで近づくと一気にその距離を縮める走り出した。


「死ねやぁぁぁっ!」


 威勢のいい声で叫びながら突進していく不良達。

 だが。


「面白そうなことしてるじゃない。私も混ぜてよ」


 割れた窓の向こうから、ひょっこりと顔出し、そのまま飛び込んでくるのは雪のような白髪に真紅の瞳の白澤族の少女。

 無邪気でかわいらしい笑みで不良達に声を掛けていたが、教室の床の上に着地するや否やその表情が激変。悪魔でもここまで凶悪な面相にはならないというほど顔を醜悪に歪ませると、近くにあった椅子を掴んで猛スピードで走り出す。

 

「っていうか・・・てめぇらの頭をぐちゃぐちゃにかき混ぜてやるぜぇぇっ!」


『ぎゃ、ぎゃああああっ!』


 まさにその凶器をふるわんとしていた不意打ち者達に一瞬で辿り着いた彼女は、手にした椅子を振り回し不良達の後頭部にノーモーションでたたき込む。


「ひゃあはははははは。もげろもげろもげろぉぉぉっ!」


「あ、あくま、あくまだああああっ!」


「た、助けてくれぇぇぇっ!」


 奇声を上げながら嬉しそうに凶行に及ぶ白髪の少女の姿に、襲撃者達は大パニック。倒れている者にまで凶器を振りおろす狂気の使途から逃れようと我先にと逃げ出していく。


「遊ぼうぜ。もっともっと俺と遊ぼうぜぇ。なぁ、おまえらぁ」


「ちょ、シャーウッドさん、やりすぎですよ」


「いや、これはこれでいいんじゃない。あたしはこっちのシャーウッドのほうがつきやすいけどな」


 女性らしからぬ言動で大暴れを続けるリンの側にやってきたのは、同じく割れた窓から入ってきた風狸族のメイリンと月光妖精族のヴァネッサ。リンを守るように陣形を組むと彼女をサポートして不良達を牽制し始める。


「おう、おはようっす、メイリンにヴァネッサ!」


 そんな二人に片手をあげてみせたリンは清々しくも男らしい笑顔を向ける。

 狂気をはらんだ闇と、友を想う気持ちの光が混在する紅い瞳に魅入られそうになる二人だったが、すぐに相手が自分達と同じ同性であることに気がついて微妙な表情に。


「いや、だから、シャーウッドさん。完全に男言葉になっちゃってますよ」


「言いたくないけど、微妙だわ」


「って、あらやだ、いつの間にか『早乙女 リン』に戻っちゃってたわ。メンゴメンゴ」


 『てへぺろ!』っとかわいらしく舌を出して見せるリンに益々顔をしかめる二人だったが、すぐにその表情を和らげて笑みを浮かべて見せる。

 だが、そのまま和み続けている時間はなかった。


「ぬうううんっ!!」


「あぶないっ!」


 突如として近づいてきた異質な闘気を敏感に察知したリンは、目の前のメイリンとヴァネッサに飛びかかるようにして二人を押し倒す。その直後、三人のいた場所を凄まじい暴風が吹きぬけた。リンはその場に留まるような愚を犯すことなく、そのまま二人を抱えて床の上をごろごろと転がり距離をあける。そして、そんな三人を暴風が追い掛けてくる。

 暴風の正体がなんなのかはわからなかったが、このままではいずれ追い付かれると悟ったリンは、一か八かで二人を放り投げるようにして放すと、空いた手で机を掴み風に向かって投げつける。


「小賢しいわ!」


 荒々しい声と共に机が粉砕される音がリンの耳に聞こえてくるが、風がやんでいることを察知してそのまま起き上がり声のほうに目を向ける。そこには、黒い毛並みの一人の虎型獣人の姿。


「雑魚を捻りつぶすだけに使わるのは業腹だと思っていたが、どうしてどうして。なかなか活きのいいのがいるじゃないか」


 幼稚園児の頭くらいもありそうな巨大な拳を見せつけるようにして突き出してくる虎型獣人の姿に、リンは表情を強張らせる。いや、表情を強張らせたのはリンだけではない。少し離れたところで身を起こしたメイリンとヴァネッサもまた同じように緊張した面持ちで虎を見つめている。


「ヘルムート・ケンプ」


「メイリン、あいつを知ってるの?」


「この学校で幅を利かせている不良グループのトップ達中でも上位に位置する腕っ節の持ち主です」


「なんでこんな奴までここにいるんだ」


「気を付けてください、リン。他の不良達とは少しばかり格が違います」


 素早く態勢を立て直したメイリンとヴァネッサは、リンの元へと集まり目の前の『虎』ヘルムートに厳しい視線を向ける。自分を守るようにして油断なく身構える二人を視線の端で確認したリンは、しかし、虎から視線を外す。そして、戦闘態勢を維持したまま周囲へとその視線を走らせる。

 彼女達の周りでは未だに激しい戦闘が続行中。

 最初に戦闘を開始したリンは、教室の後方に位置する入り口付近で。フェイとロムは教室の前方、黒板のすぐ横にあるもう一つの入り口のほうで戦闘中。どちらも善戦してはいるものの彼女達の援護に迎えるほどの余裕はない。

 自分達だけでなんとかするしかないと覚悟を決める。リンとて城砦都市『通転核』で連夜、ロムと共に悪名を轟かせ、腕っ節には少々の自信があるし、メイリン、ヴァネッサに至っては現役バリバリの傭兵だ。そう簡単にやられる気はない。

 だが。


「どうした、かかってこないのか、お嬢様ども」


「「「くっ」」」


 からかうように両手をだらりと下げたままこちらに向かってくるヘルムート。だが、三人とも攻撃を仕掛けることができない。それどころか気圧されて後ろへと下がってしまう。虎が歩みを進めた分だけ、後ろにどんどん下がってしまうリン達三人。

 隙がない。

 デカイだけが取り柄の木偶の坊かとさえ思っていたリンだったが、それが完全に誤解であったことを今更ながらに悟り顔をゆがませる。


「くっそ、思ったよりも手強そうね」


「そりゃそうだよ。あの剣児に『負けはしないけど、簡単には勝てない相手』って言わせた奴なんだから」


「え、それかなりヤバくない?」


「「だから、やばいの!!」」


「はっはっは、お望み通り遊んでやるぜ、お嬢様達!」


 静から動へ。リン達が自分との圧倒的戦力差に気がついたことを確認したヘルムートは、その距離を一気につめる。腰だめに貯めた巨大な拳に風が集まっていく。いずれ暴風となる風が。それを目で確認しながらもリン達は動くことができない。恐怖からではない。虎が放つ強烈な闘気が彼女達の体を縛っているのだ。

 なんとかその闘気を振り払おうともがくリン、メイリン、ヴァネッサ。彼女達の危機に、ロム達もようやく気がついて行動に出ようとしたが、ヘルムートと同じような姿をした虎型獣人達が彼らの前に群がって邪魔をする。一人一人はそれほど強くない。だが、蹴散らして進むにはあまりにも数が多すぎる。

 永遠にも思える一瞬。

 そして、暴風は彼女達を捉える。

 周囲の机や椅子を吹き飛ばし、床さえ抉って突き進むその拳は、リン達三人に叩きつけられる。

 文句の付けどころのない、武術の教科書に掲載されるような美しくも恐ろしい一撃。その次に訪れる光景は誰にでも予想できるほど簡単なもの。

 しかし。

 到達すべき未来はそこに辿り着く寸前で再びその方向を変える。


「な、なんだこりゃ!?」


 虎は拳を突き出した態勢のまま固まり、そして、呻くようにして疑問の声をあげる。その視線の先には、三人の少女達を貫くようにして存在する己の拳。だが、そこに人の肉をうった感覚はない。まるで何もない空間を掴むかの如き虚脱感。

 頭の上にいくつもの疑問マークを浮かばせる虎に対し、一人の少女が答えを紡ぎ出す。


「幻影ですわ」


「なにっ!?」


 背後からかけられた言葉に思わず振り向いたヘルムートの視線の先には、一人の陽光妖精族の少女の姿。大きすぎる胸を持ち上げるようにして両手を組み、ヘルムートを睨みつける。


「あなたは最初から私の能術『朧』の術中にあっただけ」


「で、では、俺の前にいた女達は?」


 愕然とするヘルムートに少女がゆっくりと指を持ち上げる。

 その指し示す方向に視線を動かしたヘルムートは、少し離れたところでロムやクリス達と大暴れしているリン達の姿をみつけて驚愕に目を見開く。


「あなたのように少々面倒くさい相手だけを選んで幻の世界にご案内させていただいていますの」


「おまえ、確か、龍乃宮 剣児の取り巻きの一人か」


「それは正解で不正解かしら。確かに私は『龍乃宮 剣児』の取り巻きの一人だったものですわ。ですけど、今の私は正真正銘『龍乃宮 剣児』様に仕える者」


「はぁ? なに言ってるんだ、おまえ? 意味のわからんことを」


「そうですわね。事情を知らない者にはわからないですわね。でも、あなたのような存在には知る必要もないことなのですよ」


 嘲るような口調。だが、その浮かんだ笑みの中に、どこか寂しさを感じさせる何かを含ませながら少女はヘルムートへ視線を向ける。

 だが、それに対しヘルムートは何か返事を返すことはなく、ただ静かに二つの視線が交差する。そうして、少しの間睨みあっていた両者であったが、しかし、ヘルムートはすぐに気持ちを切り替えるとその視線と体をまっすぐ少女のほうに向け直す。


「完全に視覚に誤魔化された。とりあえず見事といっておく。だが、俺達『虎』は眼だけで獲物を追うわけじゃない」


「知っていますわ」


「おまえの匂いは覚えた。もう騙されん」


「それも知っていますわ」


「術が得意のようだが、おまえ肉弾戦はそれほど得意じゃないだろう」


「勿論、知っていますわ」


「なのに、なんだその余裕は? ハッタリか? それともただのヤケクソか?」


「さあ、いかがでしょう? ご自身で確認されてみられてはいかがですか?」


「・・・そうさせてもらおう」


 嫣然と微笑む少女に対し、怒りの表情を浮かべたヘルムートはその拳を向ける。いや、拳だけではない。迸る闘気と、そして、殺意。リン達にすら向けなかった強烈な殺意の波動。それも気の弱い者なら失禁して気絶しかねないほどの凄まじい殺意。

 流石の少女も、これだけの殺意を向けられてはただでは済まず、体をぐらつかせるがそれでも気を持ち直し虎に向けて視線を向け直す。


「ほう、耐えたか。自分が確実に殺されることが理解できただろうに、健気なものだな」


「ええ、信じていますもの」


「何を? いや、誰をだ? 俺か? 俺が殺さないとでも思っているのか?」


「いいえ。全然違います。私は信じているんですの。あの方はあの人とは違うということを知っているから。だから、信じられる。信じていますの」


「やはり、おまえの言うことはわけがわからん。言葉でわかろうとするのは無理だな。拳で確かめる」


 頭を二つほどふって黒の虎は歩みを進める。ごく自然に、滑るように、通り過ぎていくように少女の元へと歩みを進めた彼は、その拳を少女の顔面に叩きこむ。軍隊格闘術のもっとも基本的な正拳突き。驚異的というほどのスピードではない。むしろ遅いと言える。だが、暴風を纏ったその拳から逃げることはできない。少女と虎との間合いは逃げることが許されない距離。その剛拳の前に、少女の顔に待つ運命は陥没することのみ。

 そして


「ぐべっ」


 凄まじいまでの豪拳を叩きつけられた者は短いうめき声を残し、床の上に倒れ伏す。

 見事なまでに顔面は陥没し、見ただけで生きているのか死んでいるのかわからないほどの重傷であることがわかる。その胸を見るとかろうじて上下に動いていることから死んではいないとわかるのだが、もう一度立ちあがることはほぼ不可能であろう。

 その凶行を成し遂げた者は、しばらく床の上に倒れ伏すその相手を見つめていたが、やがてその視線を別の者へと向け直し口を開いた。


「少し無茶が過ぎるぞフレイヤ」


 そう声を掛けられた陽光妖精族の少女フレイヤは、華が開いたかのようにあでやかな笑顔を声の主のほうへと向ける。

 自分を助けてくれた者に。虎の凶行を阻止してくれた者に。そして、自分が想いを寄せる者に。


「信じていましたもの。あなたを」


 心の底から絞り出すようにして言葉を紡ぎだし、そっと声の主へと歩み寄るフレイヤ。

 伸ばし放題に伸ばしたところで無造作に切ったと思われる黒髪。強い意志と孤高の光が宿る黒目。ニメトル近い大柄で筋肉質な体。だが、太っているようには見えない。

 『偉丈夫』、あるいは『好漢』という言葉が良く似合う少年がそこにいた。

 フレイヤはその少年の分厚い胸にそっとその手を這わせた後、すぐにそれを引っ込めはにかんだ笑みを浮かべて見せる。


「K様もお怪我はないようでなによりです」


「俺は問題ない。それよりもあまり無茶をするな」


「あら? 心配してくださるんですの?」


「俺に関わった者が傷つくのを見たくないだけだ」


 ぶっきらぼうにそう言って、ふいと顔を横に向ける少年の姿を、フレイヤは複雑な感情の入り混じる表情で見つめる。この少年の重く辛い過去が、彼女との間に距離を作っていることをフレイヤは知っている。知っているからとても悲しい。でも、知っているから焦りも絶望もしない。彼は彼とは違うのだ。だから、彼は彼のように彼女を裏切ったりはしない。人に裏切られる辛さを誰よりも知っている彼を、フレイヤは心から信じているのだ。

 そして、自分のことを自分と同じように信じてくれる日がくることを待つことができる。

 そんな風に思われていることを知っているのかいないのか、黒髪の偉丈夫は、自分が入ってきた窓の方へと視線を向け、口を開いた。


「俺はこのまま部屋の掃討に入る。東雲達は、姫子と連夜の救出にむかえ」 


「了解! 姫様っ! 今、助けにいきますわ!」


「ええい、あなた達邪魔です! どきなさい!」


「こうなったら力づくで押しとおるまでですね」


「せやな。よっしゃ、はるか!」


「ええ、わかっていてよ、ミナホ。いいわね、葛柳(くずりゅう)護衛衆(ごえいしゅう)行くわよ!」


『了解っ!!』


 七人の龍族の少女達が。

 次々と窓から教室の中に飛びこんできて不良達の前へと飛び出し、戦いに参戦していく。

 いや、彼らばかりではない。他にもたくさんの者達が戦いの中に我先にと身を投じていく。

 ドワーフ族の少年が、ドライアード族とグラスピクシー族の少女が、森巨人族の少年や女郎蜘蛛族の少女が、他にも多数の生徒達が激しい戦いの中へと怯むことなく飛び込み、次々と不良達を打倒していくではないか。

 ヘイゼルにはもう何がなんだかわからない。

 そこにいるのは間違いなくこの学校に在籍している者達。だが、そこにいる者のほとんどが武道系の部活で名を馳せているわけでもなく、不良として悪名を轟かしていたわけでもない。毒にも薬にもならない、マンガや小説でいうなら間違いなく一回限りの脇役に相当するような者達ばかりだ。だから、ヘイゼルは彼らのほとんどを知らない。いや、一度や二度は顔を合わせたことがある。故に、その顔を知らないというわけではない。

 だが、名前を覚えるほどではない。そんな注目に値するような者はほとんどいない。例外として、朱雀族のルー・フェイシンがいるが、それでも彼くらいしか名前は知らない。

 それなのに、彼らのこの強さはいったいなんなのだ。

 混乱からどうしても回復できないヘイゼルに追い打ちをかけるかのように、事態はさらなる混迷を深めていく。

 しかし、この場にはヘイゼル以外にも混乱し続ける者がいた。

 ヘイゼルとは全く別の意味であったが、彼は今ヘイゼル以上に大混乱の状態にあった。

 その人物とは。


「くそっ、姫子ちゃんの意識が戻らない! 何故だ!?」


 周りの喧騒をよそに、床に座り込んだまま連夜は苦悩に満ちた声を絞り出す。

 その彼の視線の先には、死んだように床の上に横たわり未だ目を覚まさない幼馴染の姿。

 分身体から体を取り戻すべく、彼女の精神世界へと旅立った姫子。

 連夜の予想では、それほど時間をかけることもなくその体を取り戻せると思っていたのであるが。


「分身体の抵抗が激しいのか? それとも他に原因が。くそっ、こっちから何かしようにも、下手に手を出すと姫子ちゃんの精神に悪影響が」


 焦りと不安で歯噛みしながらもどうすることもできない。


「がんばれ姫子ちゃん。早く・・・早く戻っておいで!」


 連夜は未だ目を覚まさぬ大事な幼馴染に必死に呼びかける。

 だが、姫子は目を覚まさない。


 なぜなら姫子はまだ。


 己の心の世界で戦っていたのだから。



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