第一話 お~ぷにんぐ
玉藻:連夜くん、連夜く~ん。
連夜:はいはい、なんでしょう、玉藻さん。
玉藻:呼んでみただけ~。
連夜:え~っ。呼んでみただけって・・まあ、いいですけど。掃除の途中だったので、もどりますね。
玉藻:うん。
十分後
玉藻:連夜くん、連夜く~ん。
連夜:はいはい、なんでしょう、玉藻さん。
玉藻:呼んでみただけ~。
連夜:もう~。とりあえず用事はないんですね。じゃあ、洗濯の途中だったので、もどりますね。
玉藻:うん・・あ、連夜くん。
連夜:はい、なんですか?
玉藻:やっぱり、いいや、なんでもない。
連夜:?
さらに十分後
玉藻:連夜くん、連夜く~ん。
連夜:はいはい、なんでしょう、玉藻さん。
玉藻:呼んでみただけ~。
連夜:またですかあ。しょうがないですねえ。とりあえず、風呂洗いしている途中だったので、もどりますね。
玉藻:うん・・あ、連夜くん。
連夜:はい、なんですか?
玉藻:いや、あの・・ふ、風呂掃除手伝おうか?
連夜:いえいえ、玉藻さん、毎晩遅くまで勉強してて疲れているでしょ? 休みのときくらいゆっくりしててください。
玉藻:え、そ、そう? ・・わかった。
またさらに十分後
玉藻:連夜くん、連夜く~ん。
連夜:はいはい、今度はなんですか、玉藻さん。
玉藻:呼んでみただけ~。
連夜:はいはい。今、晩御飯作ってますから、出来たら一緒に食べましょうね。
玉藻:うん・・その、そのね、あのね、連夜くん。
連夜:ん? なんですか?
玉藻:邪魔しないから、側にいていい?
連夜:ええ、勿論構いませんけど。・・ぁっ!! (そういうことか!!) あ~、そうだ、玉藻さん、結構包丁使えましたよね。よかったら、食材切るの手伝ってもらえませんか?
玉藻:えっ!? あ、うん!! 任せて!! よ~し、がんばるからね!!
真・こことはちがうどこかの日常
過去(高校生編)
第一話 『宿難家の朝』
CAST
宿難 連夜
城砦都市『嶺斬泊』に住む、高校二年生。
十七歳の人間族の少年。
この物語の主人公で、家族全員から愛される家事全般のエキスパート。
「みんな、喧嘩はやめようよ~」
宿難 仁
連夜と同じ人間族の父親にして、宿難家が誇る最強の常識人。
家事技術の連夜の師匠でもある。家族全員をこよなく愛しているが、中でも妻のことは、子供達が呆れ返るほど激愛している。
「やあ、連夜くん、おはようございます。今日も早いね」
ドナ・スクナー
世界三大種族の一つ『聖魔』族の中の頂点を極めるある種族の女性で、連夜の母親にして、宿難家を代表する無敵の非常識人。
城砦都市『嶺斬泊』の中のほぼ全ての行政を取り仕切る政府機関『中央庁』のお役人様で、バリバリのキャリアウーマン。
夫同様に家族のことをこよなく愛しているが、中でも夫のことは、子供達がドン引きするほど絶愛している。
「きゃ~、ほんとレンちゃん、かわいい!!」
宿難 大治郎 宣以
筋骨隆々、堂々たる体格のサムライで、宿難家の長兄にして連夜の実兄。二十四歳。
連夜と違って人間族ではなく、獅子頭人体の獣人系種族。婚約者を筆頭にたくさんの恋人や愛人がいるが、最優先なのは弟の連夜という超ブラコン。
「れんやぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ、すぅぅきぃぃだぁぁぁぁぁぁぁ!」」
ミネルヴァ・スクナー
金髪碧眼のスーパー美女。宿難家の長姉にして連夜の実姉。二十歳。
大治郎同様に人間族ではなく、額に超感覚器官を持つ人型上級種族。いろいろな意味で実の弟である連夜のことを愛している。いろいろすぎて超あぶなかったりするが・・
「かわいい・・かわいすぎる・・ってか、血がつながってさえいなければ・・」
スカサハ・M・スクナー
銀髪紅眼のウルトラ美少女。宿難家の末妹にして連夜の実妹。十五歳。
他の兄姉達同様に人間族ではなく、実は母親と同じ『聖魔』族の頂点を極める種族。他の二人の兄姉と同じく兄のことが大好きであるが、二人に比べればかなりまとも。
「えへへ、そうですか。お兄様にほめられるとうれしいです」
ののやま さくら
宿難家に仕えるメイド長の少女。十五歳。
直立した猫という姿の『東方猫型小人』族という種族で、かつて宿難親子に一族を救われたことを恩義に感じ、彼らに忠誠を誓う。
「このご恩、我ら一族決して忘れませぬニャン。一生かけてお尽し致しますニャン」
だいもんじ いちょう
だいもんじ かえで
宿難家に仕える双子の猫メイド。二十歳。
宿難家の主である仁の専属メイドで、彼の仕事である薬草、霊草栽培を手伝っている。
「「恐縮です」」
ののやま しおん
さくらの姉で、大治郎の従者兼愛人。二十歳。
先祖がえりして生まれてきたおかげで、実妹のさくらをはじめとする同族とは全く違った姿をしており、そのシルエットは頭部以外普通の『人』型種族と変わらない。
大治郎に対し、深い愛情と忠誠を寄せる。
「ご、ごめんなさい若様、私は、あの、その、大治郎様と・・」
玉藻:連夜く~ん、なんか包丁使うの久しぶりだから、ちょっとお肉とかねぎの形がいびつになっちゃった~。
連夜:全然大丈夫ですよ。奇麗に切れているじゃないですか。このくらいの大きさなら炒めるときに火が通りやすくていいと思います。
玉藻:そ、そうかな? 私、役に立ってる?
連夜:勿論です。すっごい役に立ってますよ。
玉藻:そっか~、よかった~。
連夜:それに一人でいるよりも、二人でいるほうが楽しいですしね。
玉藻:あ・・ひょっとして、バレてた?
連夜:さあさあ、さくっと作ってしまいましょう。玉藻さん、そっちにあるキャベツ微塵切りにしてもらっていいですか? 僕、炒め物作ってしまいますから。
玉藻:う、うん。任せて。あの、連夜くん。
連夜:はい?
玉藻:や、やっぱり二人でいるほうがいいよね? ね、ね。
連夜:勿論です。
玉藻:えへへ~。
連夜:さて、玉藻さんの機嫌が直ったところで、本編を開始させていただきます。第一話『宿難家の朝』です、どうぞ。
玉藻:連夜くん、指切っちゃった~~!!
連夜:ええええっ!?