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穴 組織 脱走  作者: S珍蔵
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はじまり


 全く私のやり口は一定なので自分でもつまらないと思っている。しかし、他にはやりようがないから続けるしかない。今回はファンタジー小説を書こうとしていた。この「なろう」という見巧者の多いフィールドであえてハイファンタジーでやろうというのは、勇気の要ることである。


 しかし、ファンタジーの黎明期の頃を私は知っていた。誰よりも多感な時代にその洗礼を浴びたのだ。だから、最近の尻の青いキッズたちがJRPGを前提にして語るよりももっと深いことを語ることができる。たとえば、奴らはゲームブックなんて知らないだろう。TRPGなんてのも極わずかしか知らないだろう。


 トンネルズアンドトロールズなんてのも知らないだろう。ミヒャエル・エンデの「果てしない物語」も知らないだろうし、エンデが日本の翻訳家と結婚したことも知らないだろう。「ジムボタンの冒険」も知らないだろう。


 スピルバーグの「ラビリンス」で、デビット・ボーイが悪役をやっていたことも知らなければ、ジェニファー・コネリーの巨乳も知らないだろう。「ウィロー」も知らないだろう。ウィローの変化の杖が、ネットハックというゲームから由来しているのも知らないだろう。大きな獣に振ったら、ヒドラになっちゃってもっと困ったことも知らないだろう。


 ま、私が書きたいのは、そういうものではなくて、初期のダンジョンズアンドドラゴンズのような、迷宮を探索して、敵を倒しお宝ガッポガッポみたいなものであって、そんなにややこしい物語ではないのだ。


 だが、どうもモンスターを殺すということが、私にはできないので、あんまり相性は良くなさそうである。モンスターだって生命ではないか。それを殺戮するなんてけしからん、と普通に思ってしまう。ゲームならまだしも。


 だから、もっと何か深遠な人々が驚くようなものを作ってみせるかと思って歩いていた時に、急にふわっと地面がなくなって闇の中に落ちていったのであった、だが、死んだわけでも怪我をしたわけでもない。無傷でピンピンしていた。


 このような闇の中に自分がいることにおかしかったのは、それまで人の作った文明に守られて甘やかされてきたからに違いあるまい。私なりにそれは感じていた。自分の人生をゲームで言うところのイージーモードだとは思っていた。だとしても、急にハードモードになり過ぎだろう。


 辺りを見回すが闇で、どうしていいかわからない。こういう場合、何もしないでじっとしている方が良いのか。しかし、救助なんて来るはずがない。私は、暫く座っていたが、そんなことをしても意味がないので立ち上がって、一歩前へと踏み出した。

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