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幼馴染に彼氏ができたのにあいつはオレの部屋に入り浸るからつい…

作者: 猫の集会

 春、それは出会いと別れ

 

 雪解けかおる春の顔

 

 おみそれしやしたお嬢様

 

 ふふふと笑う桜の花びら

 

 

 

「どう?わたしの詩集の一ページ目を飾るにふさわしい詩、よくない?」

 

「あー…うん。いいんじゃない」

 

 いきなり隣に住む幼馴染の雪香ゆきかがやってきて、詩を自慢してきた。

 

「みて、この桜のシールとかもかわいいでしょ?ふふふ、かわいいでしょ?わたし♡」

 

 …

 

「あぁ、そうだね」

 

 シールじゃなくて、かわいいのは自分だったのかよ。

 

「で…雪香、今日はどうしたの?」

「え?どうもしてないよ?」

「なら、なんでうちに来たの?彼氏できたんでしょ?なら、もうオレの部屋に来ない方がいいんじゃない?」

「あー、でも…利太りたが寂しいかなーって」

 

 …

 

 同情とか…一番いらないよね。

 

「オレは大丈夫だから。」

「でも…泣いてるじゃないの」

「これは、今あくびしたからね」

「強がりさんね。じゃあ、今日のところは、見逃してやるわよ。明日は、覚悟しな‼︎」

 と、幼馴染の雪香は勢いよくドアをしめた。

 

 …

 

 えと、多重人格ですかな?

 

 よくわからないが、雪香は昨日彼氏ができたらしい。

 

 高校が別なので、いきなりの彼氏できました宣言には、そりゃ驚いた。

 

 だって、オレは…ずっと雪香が好きだったから、いきなりの失恋はそりゃきつい。

 

 しかしながら、内心は…いつかそうなるって予想していたから、仕方ないことなんだ。

 

 とうとうこの時が来てしまいましたってな感じだ。

 

 さようなら、雪香。

 

 机に向かって読んでいた本をとじて、まぶたもとじた。

 

 片目だけね。

 

 なぜそんなことしてるのかって?

 

 そりゃ、コンタクトがズレたからですね。

 

 あーあ。

 

 幼馴染にフラれるのって、あっという間なんだなぁ。

 

 ベッドにバタンと倒れこみ、そのまま夕飯まで目覚めなかったとさ。おしまい。

 

 なわけない。

 

 おしまいは、後味悪すぎ。

 

 

 

 なんやかんやで次の日の日曜日、勉強をしていたら、また雪香がやってきた。

 

「冷製パスタは、いりません」

 と、オレの部屋に入るなり言ってきた。

 

「いや、そもそもねぇから」

「冷製パスタ男がしゃべった」

 

 …

 

 オレのあだ名が冷製パスタだった。

 

「オレかよ」

「そうだよ。このさめたパスタ野郎」

 

 …

 

 朝からプチ怒りなご様子の雪香。

 

「どうした?早速彼氏と喧嘩でもしたか?」

「するわけない。」

「じゃあ、どうした」

「なんで…なんでなのよ⁉︎」

「なにが?」

「なんであんたは、冷製パスタなのよっ‼︎」

 

 ボスんとベッド脇のクッションがオレに向けて投げられた。

 

「なんだよ、いきなり」

「あんたが悪い‼︎出ていけ!この村から出ていけ‼︎」

 

 …

 

「いや…ここ、オレの部屋だし。なんでそんなに怒ってんだよ?」

「そりゃ、冷製パスタだからだよ」

 

 全く意味がわからない。

 

 そもそも、なぜオレはパスタになったんだ?

 

 転生したらパスタだった。

 的な⁇

 

「てかさ、オレはカルボナーラが好きなんだけど」

「は?今なんて?」

「だから、カルボナーラが好きなの」

「はぁ」

 

 ため息をつく雪香。

 

 そして…

 

「あたしゃねぇ、何年もここで働いているけどさ、そんな言葉一度も聞いたことないよ」

 とかほざきだした。

 

「誰だよ?てか、ここで働いてねーだろうがよ…」

「はは、あんたってサルはバカだねえ」

 

 …

 

「オレ…人間じゃねーのかよ」

「あんたさ、かわいそうに。フッ…それじゃまた来るよ」

 雪香は、帰って行った。

 

 …なに?

 

 意味がわからない。

 

 情緒不安定にもほどがある。

 

 オレのことパスタだのサルだのってさ…

 

 意味のわからない雪香は、それから二週間オレの前に姿をあらわさなかった。

 

 で…

 

 その次の週の土曜日、久々に姿をあらわしたと思えば…雪香はかわいい黒の花柄のワンピースをまとい、髪の毛も前髪ユルフワで、まつ毛クリンでアイシャドウパープルで、唇は妖艶だった。

 

 これからデートなのだろう。

 

 彼氏がどんなやつなのかは、知らない。

 

 でも、わかることが一つあるとすれば…雪香が彼氏をめっちゃ好きなのだということだ。

 

「どう?どうどうどう?」

 雪香が部屋に入るなり聞いてきた。

 

「どうどうって、馬の調教でもしてんの?」

 あんまりかわいいから、つい嫌気がさしてそんな言葉を口走ってしまった。

 

「そんなわけないでしょ!それよりどうなのよ⁉︎」

「なにがー?」

「わたしよ‼︎わたし‼︎」

「あー、かわ…かー…」

 

 かわいいとかは、彼氏に言って欲しい言葉…だろうな。

 

「かわ?」

「かっ、完璧‼︎」

「ふーん」

 

 少し不満そうな顔の雪香は、オレのベッドに腰をおろした。

 

 ふんわりかおる優しいシャボンのような香り。

 

 …

 

 やめてください…

 

 オレのベッドが雪香風味に…

 

 辛い…辛いって。

 

 てか、デート何時からなんだよ…?

 

 ここにいたら…オレが暴走しかねない。

 

 こんなにかわいい雪香が…オレのベッドにいるなんてっ…

 

「あのさ、デート何時から?」

「……何時ならいいのよ?」

「え?いや…えっ?その…」

「利太は、わたしを結局そうやって邪魔扱いしてくるんだよね」

 

 遠回しに、早く出ていけって言ったと思われた…かな。

 

 まぁ、そうだけど…

 

 

「あの、そうじゃなくて…そんなにおめかししてるってことは、デートなのかなぁって…さ」

「デートかー。デートねぇ」

 

 …どうしたというんだ?

 

 あ‼︎わかった‼︎

 ドタキャンか。

 

 それは…申し訳ない発言をしてしまったな。

 

「あのさ、オレなら暇だし…ずっといてもいいぞ」

「えっ?ほんと⁉︎じゃまじゃないの?」

「別に」

 

 オレの理性吹っ飛ぶかもだけど…

 

 

「ならさ、睨めっこしよ?」

 

 …

 

「は?睨めっこって…」

 なぜ?

 

 まぁ、いっか。

 

「じゃ、するか」

「うん!」

 

「「わーらったらまけよ!せーのっ‼︎」」

 

 

 

 

 …

 

 

 

 可愛すぎる…

 

 雪香は、変顔してるつもりなのだろうけど…

 

 それがめっちゃかわいい…んですけど。

 

 オレはつい見惚れて、真顔で雪香を見入ってしまった。

 

 すると雪香が、

「きゃはは」

 って吹き出した。

 

「もうっ、変顔しようって言ってるのに、真顔とかっ、もしかして利太っ利太の変顔って真顔なのっ⁉︎それって…っきゃはははっ」

 

 あー、忘れてた。

 てか、真顔が変顔とかやばいだろ。

 

「いや、雪香があんまりかわいいから見惚れちゃってたんだろうが」

「へ?」

 

 あ、しまった…つい、本音が…

 

「う、うそ。だよ…ほら、リベンジスタートだ」

「うん」

 

 

 

「「わーらったらまけよ!せーのっ‼︎」」

 

 

 …

 

 くっそー‼︎やっぱり可愛すぎるじゃん‼︎

 

 全力の変顔をお見舞いしてやった。

 

 雪香は、ぷははって吹き出した。

 

 デートドタキャンされたことも忘れて大笑いしている雪香。

 

 かと思えば、いきなり

「わたしね、冷たいスープは嫌なの。あったかいスープが欲しいの」

 とほざいた。

 

 のどかわいたアピールかよ…

 

 いつもの催促だ。

 

 仕方なく、あったかいスープを提供してやった。

 

 でも、少し不満そうな雪香。

 

 コーンスープがよかったのかな?

 

 オレが提供したのは、オニオンスープ…

 

 てか、前にコーンスープだしたときも少し不満そうだったんだよね。

 

 なにスープが好きなんだよ…?

 

 

 …

 

 

 その日、雪香は一日中オレの部屋で遊んだ。

 

 でも、いいのか?

 

 そもそも彼氏もちの幼馴染と…

 

 いや、幼馴染に彼氏がいるんだぞ?

 

 彼氏がいるのに、男の幼馴染と一日中一緒にいるんだぞ?

 

 しかも、この部屋という密室に。

 

 …

 

 彼氏が知ったら…穏やかではいられないだろう。

 

 だって、オレは雪香が好きなんだから。

 

 それに…今すぐにでもキスしたいってくらいのレベルだぞ?

 

 それは…彼氏としては、黙っていられないレベルだよなぁ。

 

 もうさ、雪香にはきちんと気持ち伝えるしかないか。

 

 そしたらもう、オレの部屋にも気軽に来ないよね。

 

 

「あのさ、雪香…」

「え?なぁに?」

「オレさ、雪香のこと好きなんだ」

「へっ⁈えっ⁉︎なんでこのタイミング⁉︎」

「あー、いやさ…彼氏に申し訳なくて。こんな気持ちで一緒にいるのがさ…。だから、今打ち明けました」

 

 …

 

 雪香は、じっとオレを見つめて…

 

「そうなの⁉︎じゃあ、なんで…なんでそんなに冷製パスタなのよ‼︎普通、幼馴染に…大好きな幼馴染が、別の男に心奪われたら取り乱すでしょう⁉︎なのに、なのに…利太は…冷製パスタだったじゃない‼︎」

 

 と、雪香こそが取り乱していた。

 

「それは…元から諦めてたっていうかさ、雪香かわいいし、オレなんかタイプじゃないだろ?」

「バ、バカって利太のこと言うんだよ⁉︎わたしずっと利太が好きで…だから、あったかいスープ欲しいってずっとずっと言ってたよね⁉︎それって抱きしめて欲しいって合図じゃない‼︎それくらい幼馴染なら理解しなさいよ」

 

 

 …

 

「え?それは…ムズくね⁉︎てか、オレのこと好きって言った?好きだったの⁉︎なら、なんで彼氏つくった…?」

「そんなの…いるわけないよ。うそついて…ごめん…」

「マジ⁉︎じゃあ、雪香ってオレのことまだ好き⁉︎オレは好きなんだ。抱きしめていい⁉︎」

 

 …

 

「…もちろん」

 

 ぎゅ〜♡

 

 

 こうして、オレたちは付き合いだした。

 

 

 

 

 たまに雪香が寒いって言うんだ。

 

 本当に寒いときもあるみたいだけど、オレはその都度、雪香を抱きしめる。

 

「今のは、ほんとに寒かったの」

 と、雪香は恥ずかしそうにする。

 

 でもオレは、

「察したら間違えたな。」

 って、わざと知ってても抱きしめるんだ。

 

 だって大好きだから♡

 

 

 おしまい♡

 

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