92.鳳凰
私はきっともう失恋している。
短剣を返せと未練がましい事を言ってしまったが、例えユカラ様が帰ってきてもその心はハルニレに傾いている。
ユカラ様がダンジョンに入るのを見届けたあと、アートは突然興味を失くしたかのように茶会のお開きを宣言した。
「ユカラは戻って来ない」とだけ言った。
最初に動いたのはニドだった。
ニドの頭上の空間が割れて、そこから魔獣の手が伸びてアートの胴体を鷲掴みにした。
「どういう事だ。説明しろ!」
珍しくニドが声を荒げた次の瞬間、魔獣の手が泡のように消失した。
「君、その手の魔法を使い続けると死ぬよ」
アートは冷静に言った。
「ああ、言い間違えた。ユカラは『今日は』戻って来ない」
その台詞でニドは次の攻撃を踏みとどまった。ニドの頭上の空間からは巨大な何かの頭が見えていた。
「いつ戻ってくるの?」私は涙を堪えながらやっと言った。
アートは指を折って数える仕草をした。「多分次の季節辺りに」
おそらくこの場においてキキリを除いては最強であろうニドの攻撃を一笑に付したアートに歯向かう者はいなかった。
復活したこの国の神なのだから当然かもしれない。
「カンナ、許してください。彼女には時間の概念も情緒の概念も希薄なのです」キキリは私に向けて申し訳なさそうに言った。
「次の季節‥‥。せ、せめて何処に戻ってくるのかを教えてください」私は堪えた涙腺が崩壊するのを感じた。
涙と鼻水がみっともなく垂れ流しになっている。
「発見するのは君だ。あとは普通に生きていれば良い。アートはこの後やらなければならない事がある」そう言ってアートは森の中に消えた。
次の瞬間、巨大モンスターとその背に乗ったアートが空に飛んだ。
そして彼方の空にまで半透明な何かが浮かび上がった。文字のようなものが空中に描かれている。
「結界です。アートはこのゲヘナ国に千年ぶりに結界を敷きました。これで他国からの侵略に対処できます。ユカラは無事にクエストをこなしたみたいです」
キキリの言葉はまるで遠い国の私には関係のない祭事に思えた。
ニドはすかさずダンジョンへ突撃しようとしたが空間が歪み、入口が消えた。
「クソッ」
「貴女方は是非王宮へ。私がご案内します」とヴォルクはオキクルミとオイナに言った。
躊躇する二人とヴォルクに向けて項垂れたニドは言った。
「ニドが皆を送り届ける。世話になったしな」
やる事もないし、と更に付け加えた。
そしてニドは私に向けて言った。
「もしユカラを発見できたら、どうか知らせてほしい」
そう言って小さな笛のようなものを手渡してきた。
「これは?」私は笛を受け取ってニドに訊いた。
「それを吹いたら何処に居てもニドは駆けつける」少し考え込んだ後、付け加えるようにニドは言った。「別にユカラを発見した時じゃなくても‥‥、ピンチの時とか、吹けば駆けつける」
「ありがとう、必ず呼びます」私はニドに言った。
ニドはシリンを出した。
「乗って」
「是非、二人も王宮に来てください。この国を救った立役者ですから」とヴォルクは私とキキリに言った。
「ありがとう、でも行くとしたら皆と‥‥、ユカラ様とハルニレと一緒がいい」
そう言って私は遠慮した。
キキリは微笑んで私の肩に手を置いた。「私もそうする」
次の瞬間、キキリは一回転して元の幼女の姿になった。
「え? なんで?」私は思わず叫んだ。
「カンナ、キキリが成人してからずっと居心地が悪そうだった。でもこの姿に戻ると心も子供に戻る!」キキリは幼い声で言って私の腰に抱きついた。
キキリの頭を撫でながら私は言った。「一緒にユカラ様とハルニレを探そう」
「では、またいずれ」と言ってニドはヴォルクとオキクルミ、オイナを乗せて王宮へと向かった。
「とりあえず」私は涙を拭いて伸びをしながらキキリに言った。「ギルドへ行こうか」
クルクルとミミが私の頭と肩にとまった。
「そうか。あんた達も一緒のパーティーだしね」
※
ハルニレの顔をしたオキクルミとオイナが王宮に戻ったことでゲヘナ国はお祭り騒ぎになった。
王女二人を救ったユカラ様は伝説になった。だが既に死亡したことになっている。「ニドが殺した」とニド自身が軍隊に言ったのが間違って伝わったらしい。そもそもニドは殺していないので根も葉もない噂と言いたいところだがユカラ様の死に関しては自信が持てない。
そしてゲヘナの国境に結界が出来た。初めの頃は国境を越えるだけで誰彼かまわず発火することに国中がパニックになった。
程なくして国境を越える際に呪符を掲げれば通ることが出来ると国家魔法使いが発見して事なきを得た。
そしてそれは新たな産業にもなった。
私とキキリはそんな事にはお構いなしにギルドで発注されたクエストをこなす日々が続いた。
ゲヘナ国のダンジョンは格段に減った。
代わりにごく普通の森の中のモンスターが増えた。なのでギルドのクエスト自体は減らなかった。
ギルドの受付のサヴァーは私がミミの幻術を使って男の姿になっても何故か見破ってきた。
「あの二人が帰ってくるまで別のパーティーという事にしようか?」とサヴァーは訊いた。
「え?」
「だってユカラは生きているでしょ?」サヴァーは魔獣を三匹も引き連れた私を見て微笑みながら言った。「それに誰かに名義を見られたら『英雄のパーティーだ』って不審がられるし」
「‥‥ユカラ様とハルニレが帰ってくるまで私がこのパーティーを存続させます」
「じゃあやっぱりあの第三王女は別人なんだ?」とサヴァーは小声で私に言った。
語るに落ちたというより自滅した。私は慌ててサヴァーに小声で言った。「一応本人です。おそらく記憶も戻った頃だし」
「事情がありそうね」とサヴァーはニヤッと笑ってとんでもない事を言った。「多分ユカラとハルニレは『願いを叶えるダンジョン』に行ったんじゃないかな」
人形のいるダンジョンでその話は聞いた。確か大昔の話だと。
「もしかしてサヴァーってお年寄り?」
「なんて事を言うのよ!」サヴァーは激昂した。
「あああ、ごめんなさい!」私は言葉足らずを謝った。
サヴァーの激昂にギルドは一瞬騒然となったが私が謝った事ですぐに沈静化した。
「ま、まあ、いいけど。ゲヘナには元々そのダンジョンしか無かったのよ。つまりはじまりのダンジョンね。そこにゲヘナの神様がいたって話。でも他所からの神様に侵略されてゲヘナの神様は地下に潜った。そしてゲヘナからは神様が消えて、その代わりにダンジョンが増えていった、というおとぎ話。そのはじまりのダンジョンでは生贄を捧げると死んだ人も蘇ったそうよ。ゲヘナの神様は『交換』を司るから」
サヴァーは流れるように語ってから付け加えた。「冗談よ」
その冗談が怒った事を指すのか、ユカラ達がダンジョンに入った事を指すのか分からず私は混乱した。
※
「私にも『生存の印』があったらなあ」
ギルドの帰り道で独り言を言うとキキリが少女の姿で私の手に自身の手を重ねて言った。
「カンナが見つけるってアートは言った! 大丈夫!」
そういえばキキリはアートの化身だ。という事は‥‥?
「もしかしてキキリも予知夢を見るスキルがあるの?」
アートの娘であるハルニレは予知夢を見た。つまり同族であるキキリもそのスキルがある可能性が‥‥。
「無いよ」
「無いんかい」私はずっこけて言った。
「キキリは化身でハルニレは娘だからハルニレの方が血が濃い。化身は創作物だからそもそもアートの体を引き継いでいない。当然スキルも別物なの」キキリは人差し指を立てて自慢げに語る。
「ん。てことはアートは人の体を作れるってことだよね? 現にキキリを作ったわけだし。だったら何でハルニレの体を勾玉から復活させなかったのかな?」
「アートは創造というより交換の神だからかな。例えばルパルから弾き出されたハルニレの体はルパルにいたオキクルミの体と交換した。無から有を作っているわけじゃない。説明が煩雑になるから本人は『ハルニレの体を作った』って省略したけど」
「じゃあキキリの体は?」混乱しつつも半分納得して訊いた。
「うん。元があるよ」
「それって何?」
「それを言うとキキリは死んじゃうからなー」
キキリはお気楽な口調でとんでもない事を言った。
「え! そうなの?」
「うん。アートに言われたわけじゃないけど、なぜか分かる」
「じゃあ、言わないで。キキリまで居なくなったら私は」
そこで私は「願いを叶えるダンジョン」でユカラが自らを犠牲にハルニレを復活させようとしている、という事実に違和感を覚えた。
「あれ? でもユカラは次の季節に帰ってくるとアートは言っていたよね。あれ?」
「落ち着いて。『願いを叶えるダンジョン』にユカラが向かった、という話はサヴァーの想像でしかないから」
キキリは不意に大人びた雰囲気で言った。
でももしユカラなら自分を犠牲にしてでもハルニレを蘇らせると思った。
※
ゲヘナの季節は季節風による雨季と乾季があり、その二つの間にあまり風の吹かない平季がある。
平季は収穫の季節とも呼ばれている。
収穫の季節にはモンスターも増える。
当然ギルドへの依頼もひっきりなしに来る。
ゴルゴタ付近にある森でレージーナの集団がいるので退治して欲しいというクエストがあった。
季節は巡り、そしてゴルゴタ付近という事もありユカラ様に会えるかもしれないと私は浮き足だっていた。
「カンナ、その態度は良くない」とキキリに指摘された。「キキリ、カンナに死んで欲しくない」
確かにいつもの慎重な自分とはかけ離れている。現にレージーナ討伐に使う罠を宿に忘れてきた。
「取りに帰った方がいいよね?」私は落ち込みながら森の中でキキリに訊いた。「クエストはキャンセルしよう」
「ダメ。もう遅い」
キキリの視線の先にレージーナが三体、こちらをうかがっていた。
キキリが妖狐になって空に逃げるには木々の梢が密集していた。戦うしかない。
「ヴァジュラ(雷神雷刀)!』私は電撃を放つもレージーナ達は木の後ろに隠れて直撃を避ける。
電撃の弱点だ。以前ユカラ様とダンジョン内で蠍型モンスターに襲われた時と一緒だ。
背後からもう一体のレージーナが迫ってきた。
「くっ」それをキキリは突風で吹き飛ばした。
「やった!」
私は歓喜したもののキキリはすかさず告げる。
「キキリの突風も木が邪魔で威力が半減しているよ。その場しのぎ」
確かにレージーナは体勢を崩しただけだった。
「逃げよう!」私はキキリの手を引いて藪の中に分け入った。
薮をいくつか抜けた先で不意に地面が無くなった。
巨大な窪地があり、その下に沼があった。
沼に落ちると同時に水中で何者かに足を掴まれた。藻に扮した水生モンスターだ。私たちは水底まで引き込まれた。
自らも被弾するがやむを得ず電力を抑えてヴァジュラ(雷神雷刀)を少しだけ放った。
全身が一瞬硬直するも藻に扮したモンスターの手も離れた。
水上にはモンスターが山ほどいた。一か八かで私とキキリは水底の横穴まで必死に泳いだ。
横穴に到達すると一気に水の流れか変わり、私たちは何処かに流された。
目まぐるしい流転の後、空気を求めて上昇するとそこはダンジョンの中だった。
「キキリ! 平気?」
地下水の河川敷でキキリは四つん這いのままサムズアップした。
私も似たような按配だ。
「ユカラ様のようにはいかないな」
いくつもの事態を想定して準備し、そして仲間にも頼る。
ユカラ様は理想のリーダーだった。
ユカラ様が消えてから私も泣き暮らしていたわけではない。
電気と魔術を組み合わせたソナーのスキルを体得(以前は目に見える範囲しか感知出来なかった)し、ダンジョン内部の構造をおおよそ判別できるようになった。
「川の上流に巨大な空間がある。そこを上昇すると地上に出られるはず」
クエストの失敗は致し方ない。装備を改めて出直しするのが最適だ。
ユカラ様も言っていた「死ぬな」と。
「なんか‥‥」とキキリが言いかけた。
「どうかした?」
「ん。既視感があるけど、やっぱり違うかも」珍しくキキリは歯ぎれの悪いことを言った。
「まあダンジョンてどこも似ているしね」そう言ったと同時に私の頭の上でクルクルが急に飛び跳ねた。
「痛タタタタ! なになに? どうしたの?」
あの激流の中、私とキキリに引っ付いていたクルクルとミミにいつもながら衝撃を覚える。
私の疑問点に答えるようにクルクルは上流に向けて飛び去って行った。
「危ないから離れないで!」そう言った矢先に今度はミミも上流に向けて走り去る。「ええ⁉︎」
「仕方ない。私たちも行こう」キキリにそう言うと何処からともなくモンスターの咆哮が聴こえてきた。
「これは‥‥」キキリが珍しく警戒している。
私にも分かる、咆哮の大きさからしてとてつもない大物だ。
それでも行くしかない。クルクルとミミを見殺しには出来ないからだ。
※
ダンジョンを進み件の巨大空間に出た。
空間に入ってすぐにクルクルとミミが飛び跳ねている姿を発見した。
「良かった。無事みたい」
私の言葉と同時だった。
次の瞬間、突風が吹いて巨大なモンスターが空間の上から音もなく舞い降りてきた。
「鳳凰‥‥⁉︎」私は絶望感に打ちひしがれた。亡き父から言われていたからだ。「鳳凰とだけは絶対に争うな。人間では勝てない」と。
ユカラ様達と一緒ではあったが伝説のモンスター・ヤマタノオロチの退治に一役買った矜持はある。何度か大怪我もしたがこうして生きている。生きているとはすなわち強者である証だ。
「でも‥‥無理だ。勝てない」ガダガタと震える肩を誰かが掴んだ。キキリだ。
「カンナ、落ち着いて。鳳凰には知性がある」
キキリの言わんとすることはつまり、知性があるなら無駄な殺生はしないだろう、という希望的観測である。
「いや、それは理由にならないよ!」
慌てて短刀を取り出す私にキキリは鳳凰と私の間に割って入った。
「ダメ! カンナ。敵対しないで!」
「ーーでも!」
滅多に無い事ではあるが朝から浮き足立っていた影響で短剣の先からヴァジュラ(雷神雷刀)が暴発してしまった。
雷が鳳凰目掛けて放たれてしまった。
「あ、違っ!」
私の言い訳じみた叫びが響く前に鳳凰は鉤爪を上げてヴァジュラ(雷神雷刀)を受けた。まるで意に介さないという具合で鉤爪を下ろした。
ーー殺される。
そう覚悟を決めてしまった。おそらく全力のヴァジュラ(雷神雷刀)でも鳳凰には効かないだろう。
そういえば最後にアートが空に上った時にいた巨大モンスターは多分この鳳凰だ。
「ごめん、キキリ。私のせいだ」
短剣を下ろし私は膝を付いて項垂れる。
ユカラ様に会えなかった。ハルニレにも再会出来なかった。キキリも巻き込んでしまった。バカみたいに浮かれたせいで全部失敗した。
「父さん、ごめんなさい。言いつけを守れなくて。今、そっちに行くから」
その時、背中が不意に温かい何かが覆ってくる。
「カンナ、諦めないで。それと鳳凰には知性があるから、カンナが間違えた事も知っている」キキリは言った。
「え?」
顔を上げると鳳凰は私を見下ろし、不意に頭を下げてその巨大な嘴をわずかに開いた。
そして絶妙な按配で私の上衣を嘴で摘んで持ち上げた。
「ひっ」
食われる、と思った。
だが鳳凰はそのまま羽ばたいて上昇し、壁の一角に飛び出た踊り場のような場所に私を下ろした。
そこには巣があった。枯れ木と草で出来た巣に巨大な卵が二つあった。
「カンナ! 平気?」キキリは妖狐となって私のいる巣の袂に飛んできた。
鳳凰はキキリを確認するとそのまま上昇し、どこかへ飛び去った。
「卵だねえ」キキリは少女の姿に戻り呑気に呟いた。
「うん。鳳凰の卵かな」
私の呟きと共に卵の一つがひび割れた。
「あーーー! よく寝た!」
裸の誰かが卵から出てきた。
「あ‥‥あ、ああ! ‥‥ハルニレだ!」
私はーー、私とキキリは巣の中に駆けつけハルニレに抱きついた。
「え? カンナ? キキリも? どうしたの?」
ハルニレはいつものあっけらかんとした口調で私たちを抱きしめた。
ハルニレのふわふわの胸に包まれて私の涙は止まらなかった。
「‥‥死んだと思っていた。ずっと会えないと思っていた」
ハルニレの綺麗な裸体を私の涙と鼻水で汚して申し訳ないと思いつつも涙は止まらなかった。
「何で生きているの?」キキリは直球で訊いた。
「え! キキリ話せるんだ!」ハルニレは驚いて言った。
「え、そこ?」私はハルニレのいつもの飄々とした態度に安心して言った。
「成長した!」キキリは胸を張って言った。
「そっか。‥‥私が生きている理由か。むしろ私がダンジョンに願った方なんだけれど。予知でユカラが死ぬって分かったから」ハルニレは困惑するように呟く。「だから『私の命と引き換えにユカラを復活させて』って願ったの」
「え?」私とキキリは同時に言った。
その時、もう一つの卵が割れた。
ーー嗚呼、神様。いや、ゲヘナの神様はアートだから、アートか。ありがとう、アート!
私は心の中で呟いた。
「ん。ああ! すまん! そんなつもりじゃ」
オジサン姿のユカラ様はハルニレの裸を見て慌てて言った。
「バッチリ見てから視線を逸らしたのは知ってるよ!」そう言ってハルニレはユカラ様に抱きついた。「ユカラが自分の命と引き換えに私を復活させたんだよね。バカな真似して」
「いや、何で俺も復活しているんだ?」ユカラ様は困惑しつつ天を仰ぎながら言った。
「ハルニレはユカラを。ユカラはハルニレを自分の命と『交換』にダンジョンに願った。アートは交換の神だからその願いを引き受けたんだ」キキリは言った。「そして鳳凰の別名は『不死鳥』。不死鳥によって食われ、再び生まれた二人が甦るのは必然‥‥かな?」
大人びた顔で言ったキキリは何故かそこで服を脱いだ。
「キキリも!」
そう言ってユカラとハルニレに抱きついた。
「嘘でしょ!」私は目線を逸らしつつも意を結した。
上から順番に脱いで、巣の端に畳んだ衣服を乗せて全裸になった。
「よ、よろしくお願いします」
そうして皆の輪に入った。
皆の人肌が温かく恥ずかしさよりも安心感に包まれた。
「いや、カンナは無理しないで良いんだぞ!」ユカラ様は言った。
「でももうユカラ様には裸を見られているし」思えばあのダンジョン内の泉で全部見られているのだ。今更だ。
「こんなオジサンに抱きついて、皆どうかしている!」ユカラ様は照れながら言った。
「本当は初めて出会った時から全部気づいていたよ!」ハルニレはそう言ってユカラ様の顔を覆うように再び抱きついた。「一応私には予知夢を見るスキルがあるので!」
「騙したな!」ユカラ様は言った。
「お互い様でしょ!」はしゃいでハルニレは言った。
「こんなオジサンだぞ? 良いのか?」ユカラ様は少し声のトーンを落として訊いた。
「年齢も見た目も関係ない! 私はユカラが好きなの!」ハルニレはユカラ様の顔を両手で挟んで言った。「オキクルミだった頃から!」
「わ、私もユカラ様が好きです」ユカラ様がオジサン姿に戻った時以来、私は再び告白してしまった。きっとハルニレの勢いに乗せられたのだろう。
そしてあろう事か、ハルニレの手からユカラ様の顔を引き剥がしてキスをした。
「やるねえ! 私も」そう言ってハルニレもユカラ様にキスをした。
「キキリも!」キキリは叫んで私たちの間にダイブしてきた。
こうして私達のパーティーは復活を果たした。
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