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59.謁見


 サヴァーが家にいる事でギルドからの依頼を直接受ける事ができた。


「超法規的扱いになるわね。王女様がいるから出来ることかな」


 サヴァーはレージーナの討伐手続き、そして別のダンジョン探察の依頼を俺達の住む宿で取り付けてくれた。


「サヴァーの立場に支障が出るならそこまでしてくれなくても良いぞ」

 俺は申し訳なく思って言った。


「むしろやらせて欲しいかな。これでも恩義には報いたいのよ」

 サヴァーは付け加えるように言った。

「多分、ハルニレ王女の噂が広がったらギルドでの受注は難しくなる」


 そこで突然ハルニレは立ち上がって言った。

「やっぱりその依頼は無しで!」


「え」と俺とカンナとサヴァーは同時に言った。


「勝手なこと言ってごめん! でもやっぱりこれ以上皆に迷惑は掛けられない」

 ハルニレは頭を下げて言った。


「いや、迷惑だとは一度たりとも思ったことはないぞ」


 俺は本心から言ってカンナもサヴァーも頷いた。


「それでもやっぱり自分の問題として」


 ハルニレは頭を上げると拳を握って言った。


「お父さんに冒険者になることを認めてもらう!」


「え」と再び俺とカンナとサヴァーは言った。


「そこはせめて姉さんを探すことを許して欲しい、とか言い方があるだろう」


 俺は嗜めるように言った。


「もちろん姉は探すよ。でも私自身、冒険者でいたいから」


 まあ確かに「姉を探す」のなら他の人に依頼すれば出来るし、おそらく捜索は続けられているだろう。


「私は」とカンナは不意に言った。「ハルニレがやりたいようにすれば良いと思う」


 カンナの実直な性格ならそう言うだろう、と俺は思った。


「私はどうこう言える立場にはないけれど、何か交渉材料があれば直談判してみるのも良いんじゃない?」


 サヴァーの成熟な意見はまさに俺が言わんとしていたことだ。


 ーーとなると。


「全力でフォローする。行ってみるか」


 王宮へ、と俺は言った。


 ハルニレをはじめ、皆は勝鬨のように一斉に右手を上げた。


 となると、さてどうするかな。

 交渉材料か。




「え? 私も行くの?」

 サヴァーは目を丸くして言った。


「お前なあ」

 俺はジト目でサヴァーを睨んだ。


「いやだって私はギルドの受付だし、パーティーメンバーじゃないし」


「だから良いんだよ。まあ証人みたいな物だから気負わずにボサっと突っ立って質問されたら答えてくれたら良いよ」


「なんか悪意があるなあ」


 サヴァーとの長い付き合いならこれくらいは許される範囲だ。まあまだ俺の正体は未確定のままにしているけれど。


 王都であるこの町から王宮に行くのは容易い。

 だが先の戦闘で皆の顔が市民にバレたのは痛い。


「というわけでキキリ、出番だ」

 俺が告げるとキキリは敬礼して二回転した。


「四人乗りは辛いかもしれないが我慢してくれ」


 妖狐になったキキリは体格をある程度まで自在に変えられる。サヴァーが加わった事でキキリは少しだけ大きめの体つきに変えた。


「私そんなに太っていないつもりだけど」


 というサヴァーの非難は無視された。

 宿には大きめのバルコニーがあったのが幸いした。そこから俺たちはキキリに乗って王宮へと向かった。


 眼下の町では俺たちを指差して何かを言っている民衆が散見できた。


「帰りは変装して歩きだな」


 流石に宿がバレるのは勘弁願いたい。


 そしてあっという間に王宮の門邸前に着いた。

 門番が慌てふためいて俺たちに槍を向けた。


「私、ハルニレです。門を開けてください」

 ハルニレは素顔で門番達に言った。


「ハ、ハ、ハルニレ王女様! 只今お開けします!」


 直接王宮に飛んで行くこともできたがこういう時は礼を重んじた方が良い。

 俺たちは全員で城の門をくぐった。


 そして今俺たちはゲヘナ国の国王の前で跪いている。


「なんで私ここにいるの⁉︎」と小声でサヴァーはぼやいていた。


「ハルニレよ、これはどういう事だ?」


 国王は言った。

 


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