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56.ハルニレ王女


 俺は単独でレージーナの前に出た。


「近くで見るとでかいな」


 果物屋の前にたむろしていたレージーナは三匹。商品をつまみ食いしていた。

 店主は逃げたか家の中に引っ込んでいるらしい。


「無銭飲食はママにダメって言われなかったか?」


 三匹のレージーナは一斉に俺の方へと振り返った。

 そして追いかけてきた。


「速いな!」


 俺はポルターガイストを使って三次元的に逃げた。 

 建物を掴みゴムで弾いたように動くのでレージーナは時折俺を見失った。


「こっちだ、こっち!」


 俺は挑発しながら大通りを駆けて行った。

 レージーナは俺にファイアボールを放ってくる。それを避けてレージーナの頭に蹴りを入れた。


 他のモンスターより人に近いレージーナはそこそこ考えて動く。だが三匹はそのまま俺を追ってきた。だいぶ腹が立っていたのだろう。勿論計算の内だ。


 向かい側からキキリに乗ったカンナがこちらに向かって飛んでくるのが見えた。その後ろにはレージーナが二匹追ってきている。


 カンナと合流する地点で左手の通りへと進行を変えた。カンナも同じ通りに並走した。

 背後にはレージーナが五匹いる。


「一、二の三で飛び上がるぞ!」俺はカンナとキキリに言った。「一、二の三!」


 進行方向の先には時計塔がありその周囲に公園が広がっていた。

 花壇には花が咲き乱れている。突風が吹いて花弁が舞った。

 そこにハルニレが剣を手に待ち構えている。


「絵になるな」と俺はつい本音を漏らした。


「トレース・ホライゾン(長距離居合)!」


 ハルニレは横薙ぎに剣を振り、その軌道上にいたレージーナの胴体は切断された。


「エレクトロ・スフィア(雷神繭)最大!」とキキリに乗ったカンナは叫んだ。

 そしてキキリと共に急降下する。切断されたレージーナの上に球電を投げつけた。そのままカンナを乗せたキキリは地面スレスレを飛んだ。


 五匹のレージーナはエレクトロ・スフィアによって全て消し炭になった。


 キキリに乗ったカンナは通りに降り立ち、そこにハルニレが合流した。

 建物に張り付いていた俺も二人の側へ行く。

 そして人間の姿に戻ったキキリも加えた四人でハイタッチした。


「まあいつもの作戦だけれどな。成功して良かったよ」と俺は言った。


 その瞬間に建物の窓から、あるいは玄関から町の人々が顔を出した。そして何処からか集めた花束とそこから舞い落ちた花びらが俺たちの上に降り注いだ。


「英雄だ! 英雄が現れた!」

「全員女の子じゃないか!」

「ありがとう!」

「あの人はハルニレ王女じゃないか!」

 という歓声が俺たちを包んだ。


「あ! ヤバい! ミミは? ミミはどこ?」ハルニレは慌てて周囲を見渡す。


「ミミはサヴァーとクルクルと一緒にお留守番だ」と俺は言った。「ハルニレ王女」


「知ってたの?」


 ハルニレは恥ずかしそうに顔を隠していた。


「王族だろうなとは思っていたよ。前に姉を探していると言っていたしね」


 ゲヘナの第二王女は行方不明になっているとどこかで聞いたことがあった。


「王女‥‥」カンナは呆然として呟いた。


「別に私は私だから」と言ってハルニレはカンナに抱きついた。「カンナもカンナでしょ?」


「え、うん」そう言ってカンナは笑顔を浮かべた。「そうだね」


「さあ、逃げるか」と俺は言った。


 キキリは一回転して妖狐になり、その背に皆で乗り込んだ。


 キキリの上に乗って飛び去る時に町の人たちを見下ろすと皆笑顔で手を振っていた。


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