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50.幼馴染5


 ダンジョンに入る前に俺達は誰も来ない荒野で新たな合わせ技を磨いた。

 オキクルミが俺に付与魔法をかけたり治癒魔法で怪我を治したりする後衛を担い、俺が前線で戦うという形態に新たなパターンを増やそうという試みである。


「私が前線に立つのも有りだと思うのよ」オキクルミは力説する。


「駄目だ。オキクルミに危険な真似はさせられない。それに俺は後衛になっても出来る事がない」我ながら情けない理由ではあったが説得力はあった。


「だったら簡単だよ! 二人で前線に立てば良い!」


 それは俺も考えないわけでもなかった。だか例えば二人で敵に対峙すると死界が増える。後ろがガラ空きだ。


「バグズ・ビューアー(偽装複眼)」とオキクルミは唱えて俺の顔に向けて杖を振るった。


「おお! なんだこれは!」俺の視界は広がり背後まで見渡せた。三百六十度見渡せる体験は初めてだった。


「頭に触れてみて」オキクルミは笑いを堪えるように言った。


「なんだ! 耳の上辺りな角が生えている!」固い角を触るとわずかに視界が遮られた。


「ユカラ、牛みたい」と言ってオキクルミは耐えきれずに笑いだした。「その角自体に目の役割があるの」


 笑い終えたオキクルミは自分にも角を生やした。「これなら死界は消えるでしょ?」


「ああ、すごいな。なんで今まで使わなかったんだ?」 


「すぐに分かるよ」とオキクルミが言ってすぐにそれは起きた。


「あれ」俺の視界は揺らいで同時に立っていられなくなった。


「私にも来た」そう言ってオキクルミはしゃがみ込んだ。「脳の処理が追いつかないから酸欠が起きて立ちくらみを起こす。酷い時はブラックアウト、つまり失神する」


 立ちくらみは少ししたら治った。

「つまり使い所は限られるし、二人一緒には使えない、という事か」


「そういう事」オキクルミはそう言ったものの付け加えて言った。「でも訓練すれば使う時間は長く出来ると思う」


 俺は巨大モンスターから出た人型モンスターのスピードを考えこのスキルは役に立つと睨んだ。


「ねえユカラ」とオキクルミは不意に真剣な表情を浮かべて言った。「もう一つして欲しい事があるの」


 そう言ってオキクルミは自らの手のひらを小刀で切った。


「何をしているんだ!」俺が手当てをしようとするとオキクルミは言った。


「ユカラも切って。そして二人の血を混ぜるの」オキクルミは俺に小刀を差し出した。「これは二人が離れ離れになっても生死が分かる『生存の印』。相手が生きている限り絶対に消えない」


 何故そんな事をという疑問はあったがオキクルミの真剣な眼差しに気圧され俺は小刀を手に取る。そして手のひらを切った。「っつ」


 そしてオキクルミと手のひらを合わせた。


「繋いだ血潮は互いの魂の依代となる」とオキクルミが唱えると傷口が熱く脈打ち、血液がまるで生命のように血管を伝っていくのが分かった。


「うっ」心臓に到達した瞬間強烈な痛みを感じた。


「我慢して。もう少しだから」


 オキクルミの言葉に従い耐え忍ぶとスキルが発動して俺とオキクルミの傷口が塞がった。


「そういえばオキクルミにも『エターナル・ゾンビ(無限回復)』が備わっているのを忘れていたな。手当てしようとしていた俺が馬鹿みたいだ」俺は言った。


「例えどんなに私が傷つかないとしてもユカラが手当てしようとしてくれるのはいつも嬉しい」と言ってオキクルミははにかんだ。「ともあれこれで例え互いの居場所が分からなくても生存は確認出来るようにらなったよ!」


「あとは攻撃スキルだな」俺は人型モンスターのスピードを考え途方に暮れる。「あのスピードに対応する攻撃が思いつかない」


「追いつかないならこちらに来るように仕向ければ良いんじゃない?」オキクルミは言ってその方法を言った。


 その戦略に納得して俺たちはダンジョンへと入った。

 サヴァーには悪いが偵察なんて最初から頭になかった。



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