49.幼馴染4
プルガトリオからのモンスター殲滅に参加したのは八割くらいの冒険者達だった。
当日遠征したり、休日にしたりしていた残りの冒険者達はことの顛末を聞いてほとんどが町を離れた。
「冒険者が聞いて呆れる」とサヴァーはため息混じりに言った。「まあダンジョン攻略は貴方達二人で事足りていたしね」
俺とオキクルミはギルドのカウンターに座り複雑な気持ちでサヴァーの言葉を聞いていた。
「多分あの人型モンスターはダンジョンに逃げたと思う」俺は行った。
「理由は?」オキクルミは真剣な表情で訊いた。
「オキクルミのセンサーに引っかからない」俺は説明した。「オキクルミには強いモンスターに反応する感覚がある。それはスキルとはまた別の能力なので説明は難しい」
「つまりダンジョンに入られるとセンサーは反応しない、と?」サヴァーはおれの説明不足を補強するように言った。
「巨大なモンスターから出た瞬間に頭痛がするくらいに反応したの。でもしばらくしてその反応が消えた」オキクルミは頭に指を差して言った。「消えたのはあの辺り」
オキクルミが指差すのは最近になって発見されたダンジョンのある辺りだった。
「ギルドとしてはそんなモンスターを野放しには出来ないけれど‥‥、補充の冒険者が来るまで時間がかかりそうなのよね」サヴァーはカウンターに頬杖をついてため息を吐いた。
近隣の町に冒険者の募集をかけたが噂が先に広まり中々集まらないらしい。
「そんなの私達でやっつければいいじゃない!」とオキクルミは拳を上げて言った。
「子供にそんな事させるわけにはいかない」とサヴァーは言い切った。
「でもプルガトリオからのモンスターをほぼ全滅させたのは私とユカラだよ?」オキクルミは得意げに言った。
「それを言われると弱いのよね」サヴァーは腹を割って話し出す。「勿論貴方達が倒してくれるなら素晴らしいことよ。でももし貴方達まで失うとこの町には誰も冒険者はいなくなる」
「死ぬ気はないよ。でも一応言っておくと憲兵はいる」念の為に俺は言った。
「憲兵は人を裁いたり捕まえる役割だからモンスターは範囲外なのよ、‥‥腹立つことに」サヴァーはいつになく愚痴っぽく言った。「まあだからこそ立場が下であるギルドの優位性が確保できるのだけれど」
大人の諸事情を聞かされて俺とオキクルミはポカンとした。
「ごめんなさいね。子供にいう事ではないわね」サヴァーは反省したかのように背筋を伸ばした。「偵察までなら許可するわ」
「やった!」とオキクルミは拳を上げた。
「ただし!」とサヴァーは付け加える。「そのモンスターを確認したら一旦逃げる事! 戦闘は御法度よ!」
「了解!」俺とオキクルミはサヴァーに向けて敬礼した。
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