47.幼馴染2
初めてのダンジョン攻略で俺たちはボスを倒した。その噂はギルド内でも噂になりサヴァーの助言で俺たちは名義人を架空の人物にした。
そしてその後いくつものダンジョンを攻略した。ギルド内でダンジョン攻略をしたのはほぼ俺達だけだった。
「契約に守秘義務を付けた。これでダンジョン攻略をしたのが貴方達と知るのは私だけになった」とサヴァーは言った。
「助かる。モンスター相手ならなんとかなるが人間が群がるのは困る」俺はオキクルミを心配して言った。
「この変な頭巾はユカラが作ってくれた!」とオキクルミは嬉しそうにサヴァーに自慢した。
「愛されているのね、羨ましい」とサヴァーは言った。
「愛され、‥‥って。え?」とオキクルミは意味を理解出来なかったらしい。
「あなた、可愛いのよ。だから変な頭巾や体型を隠す格好をさせてユカラだけのものにしているの」とサヴァーはオキクルミに耳打ちした。「ユカラはあなたが好きって事よ」
「よ、余計な事は言うな!」俺は動揺して叫んだ。
「ユカラ‥‥」オキクルミは真っ赤になって俺の背後に引っ付いた。「わ、私も」
オキクルミが何かを言いかけた時にそれは起きた。
「ヤバいぜ! プルガトリオの方から大量のモンスターが襲来してきた! 近くにいた冒険者が応戦しているが間に合わねえ!」ギルドに駆け込んできた男は叫んだ。
「ギルド規約第九条、国家の危機に面した時はギルド所属の冒険者は無償で問題に対処しなければならない、ね。まさか本当に発動する時が来るとは」サヴァーは呟いた。「貴方達は隠れていて。第九条は18歳以上の冒険者だけの規約だから」
「なんだ? 何が起きている?」俺はギルドを見渡した。冒険者達が装備を付け出した。
サヴァーはギルド内にいた皆に聞こえるように言った。「プルガトリオ付近にいるモンスターを排除してください! これはギルド規約第九条案件になります!」
おぉー! と冒険者達の雄叫びがギルド内に響きわたった。
「サヴァー、俺達も戦う!」俺はサヴァーに言った。
「ダメ。ユカラはオキクルミを守って」サヴァーは強い口調で言った。
「私も戦う」とオキクルミは言った。
「あなたが死んだらユカラが悲しむのよ? あるいはユカラが死ぬかもしれない。それでも良いの?」サヴァーはオキクルミの肩を掴んで言った。
「それは‥‥」オキクルミは顔を伏せて言葉に詰まった。
「以前ここからほど近い村にもプルガトリオからモンスターが襲来して一人を除いて全滅した事があった。その一人はギルドを、そしてこの国を恨んだそうよ。誰も助けてくれないって。その時はギルド規約がまだ制定されていなかった。でも今は大人たちが皆助けてくれる」サヴァーは努めて明るい声で言った。「大人を信じて」
あっという間にギルドは受付以外もぬけの殻になった。
俺とオキクルミはギルドから出て冒険者達の行く先を確認した。
「どの道、モンスターが町まで来たら戦うことになる」と俺は言った。「最近武器屋で弓矢を手に入れた」
「私の付与魔法『摩擦軽減』を付ければかなり遠くまで飛ぶね」オキクルミは目を輝かせて言った。
「あの尾根の辺りに冒険者は向かったと思う。手前に川があってそこで足止めできる」俺は言った。「と冒険者は考えるだろう」
「つまり私たちは尾根が見渡せる場所に行けば良いのね」オキクルミは俺が思いつくであろう戦術を言い当てるのが好きだった。「冒険者にたどり着く前に尾根を降りてくるモンスターを狙い撃ちだね!」
「あの物見櫓は今冒険者たちが出払って誰もいない」俺は町外れを指差して言った。「普通は誰かしら残るものだが」
「ああして我先に行くからダンジョン攻略も出来ないって分からないのかねえ」腕を組みつつふざけてオキクルミは言った。「大人は信じているけれどせめて実力がないとね」
「おかげで拠点を得られた」
行くぞ、と俺はオキクルミに合図した。
「うん!」オキクルミは元気よく答えた。
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