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45 オッサン一般スキル「完全記憶能力」


「決闘に向けて何か対策はあるの?」とハルニレは鏡台に座り鏡越しに映るユカラに向かって訊いた。


「実際に対戦する大剣使いに対しては特に何も。あの治癒士と魔術師が妨害してくるのは予想できるからその対策は少し」


「場外からの魔術は防ぎようがないんじゃない?」とカンナは宿の椅子に座って小刀を磨きながら言った。


「それについてはカンナに頼みたい」俺は小狐になったキキリを膝に乗せて背中をさすりながら言った。


「え? 私?」カンナは驚きつつも少し考えてから「あ、うん。なるほど」と言った。


「なんか通じ合っている感じが腹立つんですけど」とハルニレは鏡越しに不機嫌な顔を作って言った。


「もちろんハルニレにも働いてもらう。というかハルニレの方が大変かもしれない」俺は苦笑いを浮かべてハルニレに言った。「頼めるかな?」


「勿論だよ!」とハルニレは俺の方へと体ごと向けて叫んだ。「こう見えて私のレベルは鰻登りなんだから! もうすぐカンナにお追いつくよ!」


「冗談では無いのが怖い」とカンナは複雑な表情で言った。「最近荒野でモンスターを狩りまくっているしなあ」


 カンナとハルニレは俺に内緒で狩りに出かける事が増えた。

 レベルアップの為の雑魚狩りなので心配はしていないが‥‥。

 実はキキリの背中に乗って遠くから監視しているのは内緒だ。もしもの時は駆けつける算段である。


「レベルアップもしたんだから!」とハルニレはステイタス画面を見てそのスキルを読み上げた。


「なるほど。それならさほど苦労なく手伝ってもらえるな」俺は感心して言った。


「やった! ユカラの役に立てる!」ハルニレは拳を握ったまま飛び跳ねている。


 部屋着で飛び跳ねているからバインバインなんですが。下着を付けていないのか?

 俺は一種だけ見て脳裏に焼きつけてから目を逸らした。オッサン一般スキルである「完全記憶能力」だ。


「俺は一応別の武器を持って戦う。ポルターガイストはチートに見えるから勝っても難癖を付けられる可能性がある。それにここにいる皆以外にはポルターガイストの事はバラしたくない。もちろん実戦では要所で使うつもりだ」


「はぇ〜」とハルニレとカンナは子どものような顔つきで俺の説明を聞いた。


「えっと‥‥何かおかしな事を言ったかな?」俺は二人の眼差しに不安視して訊いた。


「いつもそんな事まで考えて戦っているの?」ハルニレは呆然とした表情で言った。


「チームの誰かが失敗した時まで想定するから‥‥、まだこの案も途中だ」俺は不意に恥ずかしくなって小声で言った。


「ユカラ様もいつもそうやって皆のフォローをしていた」とカンナは呟く。「‥‥もしかしてユカラってユカラ様の子供なの? いやいやユカラ様に子供なんていない! 結婚だってしていない! 多分恋人もいなかった! 生涯純潔! そうに違いない!」


 途中から叫び出して怖い。

 しかし、恋人か。幼馴染の事を思い出して胸の奥がキュッと痛くなった。


「大丈夫?」ハルニレは俺の異変に気づいて言った。


「ああ、大丈夫。少し昔の事を思い出しただけだ」


 ーーオキクルミ

 と俺は幼馴染の名前を心の中で念じた。どこにいるんだ?


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