44.アイドル・ストーカー
「アイドル・ストーカー(偶像崇拝)発動。対象はゲヘナ国第三王女・ハルニレ」
そう言って勇者・カーカは地図の上に錘の付いた糸を垂らした。
勇者・カーカにとっては忌まわしい、自分が逮捕された宿の部屋にニドと共にいた。
「これはまた」とニドは苦笑いを浮かべて感嘆した。
錘の付いた糸はギルドの上を指し示した。
「第三王女は冒険者になったらしい」
「さすが『じゃじゃ馬姫』」と勇者・カーカは呟いた。ハルニレは市井では『じゃじゃ馬姫』という不名誉なあだ名で呼ばれていた。
「これは思ったより簡単なクエストかもしれんな」とニドは言った。「ダンジョンに潜った時を狙って行けば事故を装う事ができる」
「あ、ああ。そうだな」と勇者・カーカは言った。
「どうした。随分と弱気だな」ニドは勇者・カーカの雰囲気が変わったのを見てとって言った。
「俺にはもう『剣技』のスキルは無い。並の冒険者と同じくらいの技量になった」勇者・カーカは泣き言を言った。
「普通スキルを持つとその動きを体が覚えているものだ。まあニドには通用せんがな」ニドは慰めるでもなく一般論を語った。
勇者・カーカは錘の付いた糸を懐にしまい、剣を持たずに素振りをした。「本当だ」
「ただスキルの補正がないので今までの剣を使うと重さに体がついていかない」とニドは技術的な指摘を述べた。「軽い剣を使うと良いだろう」
「ああ、そうさせてもう」と勇者・カーカは少しだけ笑顔を浮かべた。「すまないが武器屋に行っても良いか?」
「宿の側にある。だが顔は隠せ」
「罪人ではあるが、俺はお尋ね者ではないぞ」勇者・カーカは腑に落ちないと言う顔つきで言った。
「これからお尋ね者になるからだ」ニドはそう言ってドアに向かった。「行くぞ」
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