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契約

マックス様の女装がアンリエット様に発覚した翌日、私はアンリエット様に呼び出されていた。

しかも人払いして二人きりで話したいとか…。あの、怖すぎるんですけれども。


「シャルロット嬢、来てくれてありがとう。昨日の件も。マックスに衣装を作ってくれたのは貴女でしょう?」

「あ、はい。私が作らせていただきました」

アンリエット様はそうよね、と頷いて一枚の紙を取り出した。


「素晴らしい出来だったわ。これからもマックスの服を作ってくださる?材料費や技術料はもちろん払うわ」

「ありがとうございますぜひ作らせていただきたいのですが、お金をいただくようなものでは…」


アンリエット様が差し出した紙は契約書だったらしい。すでにマックス様にお渡しした花祭りの衣装の代金が…相場に疎い私でも明らかに高すぎるとわかるような代金が記されていた。

アンリエット様に評価していただけるのは嬉しいが流石にこんなにもらうわけにはいかない。そもそも服作りはただの趣味だし。


「口止め料も兼ねているわ」

絶句する私にアンリエット様が一言付け加える。

「口止め…」

「そう、マックスの女装のことは誰にも言わないで欲しいの。貴女の両親にもね。」

アンリエット様の鋭い視線に気押されて思わず息を呑んだ。


「マックスに子供らしい経験をさせてあげたいの。貴女がシャルルになって街に降りたようにね」

え…。バレてる。どうして?

ざあっと全身の血の気が引く感覚がした。

レオに話した時とは訳が違う。アンリエット様は王族だ。貴族家の後継者の偽造って、王家にバレたら…


「そんなに青くならないで。大丈夫、私もマックスに同じようにさせてあげようとしているのだもの」

「あ…」

ひー!!心臓バックバクだったよ!!!

アンリエット様もマックス様に似て親しみやすいのにすごい迫力があるんだもん!


「…マックス様のことは決して口外致しません。衣装の作成についてもお受けします。」

「あら、ありがとう」

「ですが、これほどの高額をいただくわけにはまいりません。」


困ったように眉を顰めるアンリエット様。でもこんなに貰ってしまうと金銭感覚がおかしくなりそうだ。あとなにより…王宮の予算がどう付いているのかはわからないけれど、こんなに多額のお金が親友の娘に払われるのは賄賂とかそんな感じになりそうで怖い。


とはいえ、あんまり意固地に断るのもなぁ…。

素材の入手とか手伝ってもらえないかな。男装にしろ女装にしろ、ワイヤーやカツラ等前世なら簡単に手に入っていた素材が今世では全く見つからない。最悪開発も視野に入れるとして、人脈の広いアンリエット様の協力が仰げるなら心強い。


「熱心ね、もちろん協力するわ。フォンテーヌの商人にも伝手があるから、多少珍しい素材でもきっと手に入るわ」

アンリエット様は快諾してくださり、無事契約を結ぶことができた。私の男装についても黙っていてくださるらしい。

よかった…マックス様のサプライズ計画はまだ遂行可能だ。


「そういえば、どうして私がシャルルだとわかったのですか?」

「簡単よ。シャルルがシャルロットの弟として公表された時期と二人のスケジュールから推測できるもの」

「…そうでしたか」

こわ…。

お母様とお父様が色々偽装計画立ててくれてたのに1日で看破されてしまった。


アンリエット様、油断ならないお人だ…

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