女装とアンリエット様
アンリエット
マックスの母親で側妃様。主人公の叔母。
超 絶 美 少 女
これはシャルロットに並ぶレベルの美少女では?!
長いまつ毛を伏せ恥じらうように頬を赤く染めたマックス様は控えめに言っても国民アイドル級の可愛さだ。
ヴェールに包まれた艶やかな黒髪に青薔薇が彩りを加え、真っ黒なエプロンドレスは彼の華奢な体を引き立ている。
不安げに潤んだ銀の瞳と雪のように白い肌も相まって儚さと色気を両立させた妖しげな魅力を醸し出していた。
「…どう、かな。…見苦しくない…?」
「めっちゃめちゃかわいいです。今からでも花の妖精なれます」
「……あ、ありがとう…?」
「鏡で見てみてください、マックス様もわかります。本当にめちゃめちゃかわいいですから」
戸惑うマックス様の背を押して鏡の前に立たせる。身を固くしてぎゅっと目を瞑っていたマックス様は恐る恐る薄目で鏡を覗いて…。
「…だれ…?…???」
「マックス様ですよ。すごくお綺麗です」
「…わた、私?…私が…???」
すごい混乱してる。かわいいな。
マックス様はきょときょと目を泳がせて鏡に向かって手を振ったり笑顔を向けたりしている。
そのうちに理解が追いついてきたのかぱあっと顔色が明るくなった。
「…こんなに、可愛くなれるなんて…思わなかった。…っありがとう、シャルロット嬢…!」
自分の姿を見て、鏡を見て、「信じられない、本当に私…?」と涙を浮かべている様子を見ると昨夜の夜更かしも報われる。
よかったなぁ…。
「…魔法みたい…!!……見るに耐えない見た目になると、思ってた。」
「ふふ、マックス様にはお似合いになるって申し上げましたでしょう」
「あっ…その、…信じてなかった訳じゃなくて。…ただ、私は不細工だから…こんなに、変身できる…なんて思わなくて。」
うーーーん。
もしかしてこの世界だと女装した姿とかって想像しにくいものなのかな…?
スカート履いたらこんな感じみたいなの。…わかったら男性だけ美醜逆転にはならないか。
「顔立ちは変化していないはずです。メイクもしていませんから。元々マックス様がお綺麗だったんです。」
「…」
信じられない、と言う顔で鏡と私を交互に見つめるマックス様。
そんな中唐突にノックが響く。
「マックス?入ってもいいかしら」
アンリエット様だ。
「…あ、は、はい」
えっ?!まってマックス様いま入ってきたら女装見られちゃう!!!
「ありがとう」
ガチャと扉が開く。マックス様の方を見ると当人も混乱しているらしい。
どっどうしよう、知らない人いるって騒ぎになったら困るよね?!
「マックス様…!」
「貴女は…?」
慌ててマックス様の髪留めを取る。この世界の男女の判別の基準は髪と服装らしい。髪だけでも短髪だとわかれば…!
「あ、…アンリエット、様…」
「マックス?…マックスなの?」
アンリエット様の目が見開かれる。よかった認識されてる!!!!
こくりと頷いたマックス様を呆然として見つめるアンリエット様。
「マックス、なのね…」
アンリエット様はふらふらとマックス様に近寄り、膝を折って彼を抱きしめた。驚愕と安堵?罪悪感もだろうか。複雑な表情を浮かべるアンリエット様の目には涙が浮かんでいた。
…どうしよう、私ここにいていいのだろうか。




