お茶会(準備編)
「…ダンマルタン家のご令嬢、アンジェリーヌ様。ダンマルタン家の魔法は火属性。直系男子はいないので跡取りの話はタブー…。
うーん。僕のもこういうふうに書かれてるのかな。」
書いてあるとしたら引きこもりしてた10歳ころからの話は振らないことって感じかな。気遣いなんだろうけど文章にして残してるの傷口に塩塗り込んでるようにしか見えないな。
ロベール家に伝わる貴族名鑑には社交界での情報をもとに、それぞれのお家事情やらタブーやらが書き込まれている。
お茶会や夜会で話すときに失礼をしないための攻略本だ。
内容はかなり赤裸々に書いてあるので読んではいけないと言われているページがあるし、もちろん本を図書館から持ち出してもいけない。
どうしてそんな本を読む羽目になっているかというと…
「ロティもそろそろお茶会に出てみない?」
「お茶会、ですか…」
「もちろんロティのペースでいいのよ?一応、15歳くらいまでにほとんどの令嬢は顔見知りになるから…。この夏のうちに我が家で一度開いてもいいかと思って。」
「王立学院の入学が16歳ですものね。…わかりました、お母様」
お茶会を我が家で開くことになったからだ…!!!!えーん!!!!!!
レオも護衛で来てくれるよね?!来てくれなかったらちょっと緊張で死んじゃうかもしれない。今回貴族令息も結構参加するんだって…。
とはいえ逃げてもいられない。そろそろ社交界に出ないと王立学院に入学した時完全に孤立してしまう…!!!あとできたら女の子の友達欲しいな。シャルロット、友達いないんだ…レオだけはシャルルとシャルロットの友達でいてくれるけど。
招待状出してわざわざ来てもらうので開催は半後になる。マックス様もまだ伯爵領に滞在してくれているかな?
多分避暑なら1ヶ月後の火祭りまでいてくれるはず。
お茶会の対策はマストだけどマックス様の衣装も間に合うように仕上げたいな。
それで、もしできそうなら花祭りの衣装とは別にもう1着作って一緒に火祭りに着ていきたい。
この火祭りというのも花祭りと同じ、季節の精霊を送るお祭りだ。夏の精霊は暑さからか火に関係すると思われているらしい。街では前世でいう灯籠流しのようなイベントをするし、伯爵家でも深夜に大きな火を焚いて儀式を行う。
お盆みたいな風習も混ざっていて死者の魂を弔うという面もあるので、花祭りの剣術大会のように娯楽系のイベントは基本的に行わない。
だけど、仮面をつけて水路に灯籠を流しに行くというのは非日常的で楽しいらしい。
花祭り同様備品やら警備体制やらの打ち合わせを実行委員会としなくてはいけないので、これから1ヶ月はまたとんでもなく忙しくなりそうだ。
「…まずは目の前のお茶会からかな。」
やれることからやっていこう。今年の夏もあと半分。去年とは段違いに充実した夏になりそうだ。




