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初めての友達

「流石に酷くない?」

「すまなかった…」

「ぅ…ごめんなさい」


変質者とかいう不名誉すぎる誤解を何とか解いた私は泣き止んだ少女と木刀片手に殴りかかってきた少年から謝罪を受けていた。

申し訳なさそうに頭を垂れる少年の足元にはヒビの入った石畳。私とそう身長の変わらない少年の打撃でこんなヒビが入っているのだから恐ろしい。間一髪で避けられてよかった…


少女を誘拐しようとした男達も顔を引き攣らせて逃げていった。

警察に突き出してやろうかと思ったのに。こっちだと騎士かな?


「まぁ、いきなり腕掴んだ僕も悪かったし。」

「いや…それよりシェリーを助けてくれてありがとう」

とはいえ、街の人の反応をすっかり忘れていた私にも非がある。天使のような私の顔も少女には悪魔のように映ったのだろう。

少年っぽい口調になるように気をつけながらいうと何度目かの律儀な礼が返ってきた。

レオ兄と呼ばれてるこの少年は頭から麻袋を被っていて、何も言われなければ彼の方が変質者だ。


「お礼ももういいよ。あそこの教会に連れてってくれない?」

「教会?ああ、なんだ。もちろんいいぜ」

「私たちも孤児院に帰るところだから」

二人は教会併設の孤児院の子らしい。シェリーが10歳でレオが13歳。


「僕と同い年だ。」

「お前も13歳?」

「うん。なんか嬉しいな、同じくらいの子とあうの初めてだ。」

「初めてって…」

「ずっと家にいたから」


長年の引きこもり生活のせいで悲しいかな、私には友達がいない。だからこそ、事情を察してか同情の視線を向けてくるレオを何としてでも今世の友達第一号にしたい。

シェリーとは今も目が合わないけどレオは麻袋越しにちゃんとこっちを見てる気がするし、私に殴りかかったのもシェリーを守るためだと思うと素直に尊敬できる。

そんなわけで、私からレオに対する好感度は相当高いのだ。


「…なぁ、レオ」

隣を歩くレオをちらちらと見ながら切り出す機会を伺う。なんせ13年のブランクがあるから友達なんてどうやって作るのか忘れてしまった。

「どうした?」

「…友達ってどうやったらなれる?」


生暖かい視線を感じる!!でもここで意地張っても仕方ないじゃん?!


「あー…うーん。そうだな、とりあえずお前の名前を教えてくれ。友達になるならそこからじゃないか」

「ああ、いってなかったね。僕はシャルル。それで、その……友達になってくれない?」

「シャルルな。いいぜ、よろしくな」


差し出された手を取る。硬くて、私より少し大きな手。

こうして私に初めての友達ができた。

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