側妃様と第一王子様
突然だが、私のお母様とこの国の側妃様は大親友である。子爵令嬢だったお母様と伯爵令嬢だった側妃様はもともと領地が近く、仲が良かった。
さらに、王立学園時代の側妃様と当時王太子だった陛下の大恋愛を陰ながら応援したことで、結婚した今でもお互い頻繁に文通やお茶会を行うほどの大親友になった。
この友情、実は私の出生にも関わっている。何を隠そう私のお父様、ロベール伯爵は側妃様の弟にあたるのだ。正妃様じゃないから外戚とはいえないけど…そんなわけで王家との関わりはかなり深い。
王家や高位貴族においては一夫多妻制が適応されているこの国で、側妃様とは別に正妃様もいる。しかも正妃様の子供より側妃様の子供の方が先に生まれた。それだけで2人の間の権力争いとかを想像してしまうが実際はそうでもないらしい。
側妃様の第一子である第一王子は体が弱く、今まで公の場に姿を見せたことがないからだ。ほとんどの高位貴族はこのまま第二王子が後継者教育を受け、立太子するだろうと見ている。
この長ったらしい王家の事情を説明する必要があったのには訳がある。
「避暑…???」
「そうなの、第一王子様がこの夏は療養と避暑のためにロベール領にいらっしゃるのよ」
社交界にも出ていない私にとって関わりのない存在だった王家の尊い人、それがここにきて突然我が家に泊まることになったからだ!!
「ひぇ…失礼とかあったら…」
「大丈夫よ。側妃様は大らかな方だし、身分を気にしないで済むからって私たちの家にいらっしゃるのだから」
言葉通りに受け取っていいのだろうか。マナー講座で王族相手には特別な敬語を使うとか習ったばかりだから怖すぎる。
「ああ、でも。第一王子様がシャルロットに会いたいと仰っていたわ」
「レ、レオも一緒でいいですか…?」
「ええ、もちろん。第一王子様も護衛騎士と一緒にいらっしゃるはずだもの。」
よかったー!!!!!!!!精神的支柱!!!!!!レオがいてくれたらなんとかなる!
人見知りする方ではないけど、コミュニケーション方法に難がある自信はある。できるだけ落ち着いて話さないとボロが出そうだ。
「第一王子様がいらっしゃるのは1週間後よ。暫くはマナーのお勉強とロティの服の仕立て直しをしましょうね」
こうして王子様が来るまでの1週間は詰め込みのマナー講座と仕立て屋の訪問でわちゃわちゃになった。




