護衛騎士
「レオ、改めて僕の騎士になってくれてありがとう。これからよろしくね!」
「ああ、こっちこそ。つうか話し方ほんとに変えなくていいのか?主人相手に…」
「もちろん。レオに敬語使われるの寂しいし、今は2人だけだもん」
忠誠の儀を終えて正式に騎士になったレオは伯爵家の騎士服に身を包み、私の部屋のソファーに向かい合って座っている。
レオが私の部屋にいるのなんか変な感じだ。けどこれからいつでも会えるのは嬉しいな。
あの後結局レオは'シャルルの'護衛騎士になった。その代わりシャルロットとして出かけるときにはレオと一緒に別の護衛騎士が付く。
騎士団長が強弁していた関係だろうか、シャルロットに付くもう1人の護衛騎士は騎士団長の息子だった。
「そうだ、剣術大会で会ったでしょ」
「シャルルのお姉さんか?替えの剣届けてくれたな」
「うん、そう…で、そのお姉さんというかシャルロットなんだけど。…僕なんだよね」
「言っていいのか?」
「うん、お父様もお母様も言っていいって。」
ここまでは本当の話。それで、ここからは…。
「…本当のお姉様は体が弱くて外出れないんだよね。だからああ言う時は僕が女装して代わりに出てるの」
「なるほどな。…シャルルは、嫌じゃないのか?」
「え」
レオは私の嘘を全く疑わなかった。
「家族のことだから、俺が首突っ込むのは違うかもしれないけど。シャルルが嫌なら…」
それどころか真剣な表情で私のことを心配してくれて。
正直心が痛い…!!!
「あっいや、嫌じゃないよ!!僕女装するの好きだし!女装した僕もめっちゃ美人だし!」
急いで否定するとレオはよかった、と返してくれた。
レオが優しすぎる。嘘ついてごめんなさい…
こうなったのには理由がある。
まず、お父様とお母様に剣術大会の時のことを言ったらめちゃめちゃ怒られた。
ドレスを着た私を見てレオが変な気を起こしたらどうするんだって。
それで、護衛を付けずに抜け出したのは本当にごめんなさい。でもレオは変わらない対応してくれたって伝えたんだけど。
「それはシャルルが本当の姿だと思っているからだろう」
って言われてしまった。
結局、3時間ほど続いた話し合い末に本当の姿をシャルルと偽ることを条件にレオが護衛騎士になる事が決まった。
「…女装のこと、黙っててごめんなさい。友達なのに。
…他にも色々隠し事しちゃってる」
「相変わらず生真面目だな…。
別にいいんじゃないか、友達相手に隠し事があっても。」
良心の呵責に耐えきれずに謝ると想定外の反応が返ってきた。
「え。でも、隠し事は…信用してないみたいじゃない?レオはこんなにいっぱい助けてくれたし、誠実でいてくれてるのに」
「ん〜、そうだな…
シャルルが俺を信じようとしてくれてるのは嬉しいし、実際すげえ信頼してくれてると思う。」
レオは少し思案顔をして再び口を開く。
「それに俺が俺の顔好きになれないって言った時、シャルルはそれでも好きって言ってくれたろ」
「うん」
好き。今も好き。今日もめっちゃかっこいいです。
「あれも俺はシャルルの言葉信じられないって言ったようなもんじゃん。
だからシャルルが今も俺の顔好きって言ってくれるみたいに、俺もシャルルに大して誠実でいたい。」
「…うん」
「つまりだな…好きでやってるだけだから、信用できてないとか考えて落ち込まなくていいってこと。」
レオの手が私の頭を撫でる。
誰か助けて欲しい、切実に。レオがイケメンすぎてやばい。
顔もなんだけど中身がイケメン過ぎて平静を保てない。
「……そっか」
なんとか絞り出した声はそこんじゃそこらの蚊の鳴き声より余裕で小さい自信があったけど、レオはちゃんと聞き取って頷いてくれた…。




