フェ・デ・フルール
「シャルル、今大丈夫かしら?」
「お母様。ええ、もちろん。どうなさいましたか?」
いつものようにお父様と一緒の執務室で書類の整理をしているとお母様がやってきた。
「花祭りの件なのだけれど。ロティ、花の妖精役をやってみない?」
「ああ…そろそろ領民へ顔を見せてもいい頃だからな」
花祭りには花の妖精と呼ばれる祭りの華がいて、毎年年頃の美しい娘が数人選ばれている。
彼女達は春の精霊の眷属に見立てられ、その代役として人々から感謝の花を受け取るのだ。
お父様が言う通り、今まで体が弱いという理由で姿を見せなかったシャルロットのお披露目にはいいタイミングかもしれない。
「いいのですか?当日運営のお仕事ができなくなってしまうかもしれません」
「構わん。当日はお父様に任せなさい。」
「ありがとうございます!でしたら、ぜひ」
これなら私も花祭りに参加できる…!久しぶりに女装で人前に出るのは緊張するけど、祭りの日はいつも以上に警備も厳重だからきっと大丈夫なはず。
何より…
「お母様、今年の剣術大会の表彰も花の妖精の役割ですよね?」
「ええ、そうよ。もし嫌なら貴女だけ外すこともできるけれど…」
「いえ!やります!やりたいです」
花祭りのもう一つの華、剣術大会。
騎士職についていない全ての領民から身分を問わず出場者を募集して、トーナメント戦で行われる大規模な大会だ。
この大会で好成績を残した人は衛兵隊や護衛として引く手数多になるし、中でも上位三位までの入賞者は伯爵家の騎士団からスカウトがくる。
レオは騎士になりたいと言っていた。間違いなくこの大会に出るはず。レオの実力ならきっと表彰台にも登れるだろう。晴れ舞台をすぐ近くで応援することができる絶好のチャンスだ!
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