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1話

読みづらかったらすいません

ふと、意識が遠のいた瞬間まったく見覚えのない光景が眼前に広がっていた。鬱蒼と生い茂る色とりどりの樹木たちは、おおよそ日本では見かけたことのないモノだ。この異様な状況に私の思考能力は低下中…。おかしい私はさっきまでいつも通り仕事を終え帰路につき、いつもご通りご飯を食べ。代り映えのない日常を繰り返すだけの日々を唯一癒してくれる私の大好きなMMORPGゲームをしていたはず…。なにゆえこの様なファンシー空間に囲まれているのだろう。


「…どういうことなんだってばよ。」


つぶやく声は無情にも、樹海張りに広がる森にかき消された。ふと足元を見ると何やら小奇麗な手紙を発見する。…これはなんだろう?


「怪しい、とても怪しい。こんな所に手紙なんて明らかにおかしい。でも確かめなきゃ何もはじまらない。いけ、頑張れ私。きっとこの先に待ち受けるは希望なりっ。」


自分のチキンハートを奮い立たせいざ開封!


【拝啓、ロベリア様。

この度はMMORPGルミナス・ドラグーンこと異世界インフィニットソウルのドキドキ☆㊙転生プロジェクト実験完了おめでとうございます。つきましては前回上位ランク3名の方にのみに宛てたアンケートを参考に感謝の気持ちを込めて。ランキング上位者3名、ランダムにて1名。異世界転生をプレゼントいたします。尚転生された方のステータスや持ち物は全てゲームと同じ仕様の為安心して世界を満喫してください。


流行の最先端を行く女神インフィニティより♡】


は?何言ってんですか。異世界転生はもはや飽和状態ですが?何が流行の最先端なんですか?それともあれですか、人間の尺度とは違うんです的なあれですか?って言うか手紙読んだ瞬間消えた、どうなってるの。ともかく状況確認…。


「ステータスオープン」


そう唱えれば私の目の前に半透明のウィンドウが開かれた…、本当にゲーム仕様だ。


【種族:竜神族 レベル90】

【名前:ロベリア】

【称号:迷子】

【ジョブ:オールラウンダー】

【スキル:女神の抱擁】

【バディ:ピクシードラゴン(リリィ)】

【迷子】?え、【迷子】って称号に入るの?っていうか竜神族ってまさか。ゲームの姿ってこと!?あと、名前変わってるぅ!?え、私の名前…なまえ…?え、ヤバ思い出せないんですけど。


「と、取り敢えず鏡。確か空間魔法で荷物とりだしてたよねぇ。鏡、鏡…コレかな?」


鏡を取り出して自分の姿を確認すると。そこには全体的白い竜神族の少女が佇んでいた。美人さんである。瞳はオッドアイで右眼は碧色、左眼は金色。髪型はウルフカットの白銀色で所々青いメッシュが入ってる。耳の後ろには魚のヒレのような角、顔や額、腕や脚に竜神族特有の鱗が付いる。服装は白い上品な膝丈ワンピース、尻尾が生えている腰には白くて長いリボンが付いており、靴は茶色のニーハイブーツで機能性重視のオシャレ冒険者の格好。正直言って厨二病感ハンパないですはい。だ、だってゲームだったし!?欲望の赴くままにキャラクターメイクするじゃん!?


「…うーわ、うーわー。やばたにえん。まさか転生するって思わないじゃんかー。マジですかー。ひぇ。」


ん?っていうか思ったよりまだ冷静な自分に驚き何だけど。そういや何か、スキルに【女神の抱擁】ってあったな…アレのせいか??確認、確認。


【スキル:女神の抱擁】

常時発動型スキル、一定以上の混乱を防ぐ効果がある。


有り難いのか何なのかよくわからんスキルだけど、発狂しないだけマシってことかな…。

まぁ、前の人生に未練があるかと言われれば正直わからないが答えだ。家族や友達も人並みにはいたが、ひたすら真面目に仕事をし過ぎたせいで恋に現を抜かす暇もなく27歳まで彼ピッピなしの喪女を貫いてしまった。

もうこの際、色々割り切って楽しんしまった方がいい気がしてきた。友人に日本の生活が嫌で海外に移住した人もいたからなぁ。…ぶっちゃけ異世界生活も海外生活もたいして変わらんだろう。


そうと決まればこちらで生活基盤を整えなければ。

先ずは【ジョブ】の設定を変更しよう。こちらの世界がゲームでは無くなりリアルとなった今。なるべく目立つ事は控えたい。面倒事はごめんだからなぁ。

もう仕事三昧は勘弁。のんびり生きたいんです。


「ええと、ステータスのジョブ一覧オープンと」


【ジョブ】

騎士、戦士、暗黒騎士、魔剣士、槍術士、暗殺者、狙撃手、吟遊詩人、踊り子、武術太極拳、白魔導士、占星術師、黒魔導士、召喚士


【クラフター】

調理師、園芸師、漁師、錬金術師、薬師、建築士、鍛冶師、裁縫師、木工師 装飾師


おっと、そういえばクラフターの事も考えるのを忘れていた。クラフターに関しては万事屋をやっていると適当に誤魔化すとしよう。

それにしても。うーん、こうして改めて一つに絞るとなると意外と悩むな。なるべく地味で興味を持たれないジョブかつ死ににくいとなると。


「…占星術師かな。」


怪我しても回復できるし防御も出来る。攻撃面は少し頼りないがレベル90ならきっと問題ないだろう。うん、そうしよう。

あ、あと装備も替えておこう。インフィニティドレスは強いからそのままで、他はお星さまシリーズで構成しときますか。


【装備】

【武器】創星のアーミラリ

【頭防具】星屑のサークレット 【耳飾り】流星のピアス

【胴防具】インフィニティドレス

【腕】流星のブレスレットリング【指輪】 流星の指輪

【腰防具】流星のベルト    【脚防具】星渡りのボトム

【足防具】星海渡りのレースアップサンダル


「さて、姿見鏡で確認するか。…何か凄い神々しくなったな。フード付きローブでも羽織るか。」


なるべく顔が見えないようにフードを深く被って。と、よし。紺色のローブを身に着け準備は完了。あとは実戦あるのみとなった。


「そうと決まれば早速試し打ちだね。」


適当に森を歩けば魔物一匹くらい見つけられるだろう。







「…来た。」

あれから約30分くらい森で探知魔法を使いながら薬草採取をしていると。赤くて大きい光が二つこちらに近づいてきているのが見えた。大きさからするにブラッディ・ベアーの番いだろうか。


「さて、異世界初の戦闘無事に終われるといいのだけれど。…っな!スター・アロー!!」


そういうや否や、私は背中に仕舞ってあった武器アーミラリを起動し敵に光の矢を放った。

先手必勝、世の中弱肉強食なのだよ。ふははは。


「悪いね、食べられるつもりは毛頭ないんだ。」


先ほど気配を消して襲い掛かろうとした今は亡きブラッディ・ベアーに声をかけると、もう一体が呼応するかのようにこちらに襲い掛かる。怒りで目を赤くさせながらも鋭い爪は確実に急所に向かって振り下ろそうとしている。


「回復魔法が効くかどうか検証するには当たった方がいいのだけど、痛いのは嫌だなっと。」


流石にどこまでダメージが入るかわからないものを一か八かで当たることはできないので、避けさせてもらい。腰に装着しているアルカナカード起動し攻撃の種類を変える。するとカードが体を守るように周囲に輪を展開し次のカードを指し示す。どうやら表示されるカードがランダムなのは、ゲーム時代と変わらないようだ。


「それじゃ、これで終わりにしようか。…シューティング・スター。」


出たカードの効果を最大限に引き出し空に向かい魔法を放つ。

すると神秘的な星空が現れ、沢山の星座が呼応するかのように光輝き流星群を地上に落とした。

もはや地獄絵図である。私は想像以上の成果に顔を引きつらせる他なかった。…ひぇ。









その後、光の矢で倒したブラッディ・ベアーを空間魔法に回収し、残りのミンチになってしまった。ブラッディ・ベアーはきちんと焼却処分させていただきました。

…証拠隠滅じゃないよ、本当だよ。


それと、有り難い事にマップ機能は健在だったのですぐに街の位置を確認出来た。因みに徒歩は面倒だったので【バディ】にあったピクシードラゴンことリリィちゃんを召喚し、大きくなってもらい騎乗し空を飛ぶ。森の中は少し薄暗い程度だったのでよくわからなかったが、どうやら今は早朝くらいの時間らしい。それにしても流石限定バディ、便利だわー。期間限定イベントで手に入れたかいがあったわー。それに、この何とも言えないグリーンとピンクのファンシーカラーに一目惚れしたのよね。他にも空間魔法に【バディ】の召喚グッズ色々あるけれど、正直1人だからそんなに出す必要が無いので割愛。…多過ぎて面倒なんだ。


「リリィちゃん、あそこに街が見えるでしょ?門兵さんの前に並んでる人達から百メーター離れた所に降ろして貰えるかな。いきなり真ん前だとびっくりされちゃうからねぇ。その後小さくなって私の肩にでも座ってて。」

「クルル!」


あら、かわゆい。

リリィちゃんに指定した場所に降ろしてもらい。小さくなったリリィちゃんを肩に乗せていると何だか門の前が騒がしい事に気づく。すると、門兵の男が1人こちらにやって来た。


「そこの女止まれ!」

「止まってるよ。」

「う、うるさい!貴様何者だ、この街に何のようだ。」

「何者って、ただの旅人だよ。その辺に並んでる人達と同じじゃないか。」

「お前みたいな旅人がいるわけないだろ。」

「いるじゃん、目の前に。」


そう言って気づく。さっきまで街に入るために綺麗に並んでた列が不自然に曲がっている。

そう、まるで私の周りだけが弧を描くようにして…。なんだろうね、このアウェー感。

目の前にいる20代くらいの赤い短髪の門兵は敵意むき出しだし。

おや?コレはひょっとしてまずいのでは?

そんな事を思っていたら列の中から2人組の男女がこちらに近づいて来た。どうやら私と同じお仲間の竜神族のようだった。男性の方は肩に掛かるくらいの緑色の髪と紫の瞳を持ち鱗や角、尻尾などは黒色をしており爽やかな青年の印象だ。女性の方は緑色の長髪に紫の瞳を持ち同じ色の鱗や角、尻尾をしており。此方は可憐な印象だ。兄妹かな?二人とも美人さんである。


「おい、何があった。」

「どうかしたのですか?」

「貴方がたは、輝鱗の刃のお二人。いや、ちょうど良かった。この怪しい女が竜に乗りやって来たので、捕縛しようとしてまして。よかったら手伝って頂きたい。何しろ竜を操るなど只者ではない。」

「濡れ衣過ぎて草。」

「く…草?うるさいぞ!女!」


門兵と楽しくお話してたら2人組の男性の方がぎょっとした目で此方を見てきた。え、やめろください。怖いんですけど。


「おい、お前。ひょっとして肩に乗ってるのもしかしてピクシードラゴンか!?」

「あ、知ってるの?可愛いでしょ。うちのリリィちゃん。」

「な、何でそんなレアモンスターここにいるんだよ!」

「何でって言われてもなー。バディだから?」


などと、話していたら今度は女性の方からも話が飛んできた。


「あ、貴女様はもしや竜神族の方でいらっしゃいますか!?」

「え、フード被ってるのによく分かったね。というか君たちも竜神族でしょ?」

「お、俺とコイツは竜人族であって。竜神族ではない…です!」


んんー?何だか知らない間に知らない種族が出来てる。これはあれか、ゲームとの違いってやつなのかな。


「取り敢えず、街に入りたいんだけど。…やっぱりだめ?」


そういうと、男性の方はさっきの門兵と何やら話し込み少しお待ち下さいと言い離れていった。女性の方は私に用があるのか。此方に近づき深々とお辞儀した後に話かけてきた。え、なんだよう。何もしてないよう。


「あの、少しよろしいでしょうか。」

「んー?どうしたの緑の子。」

「み、緑の子…。はじめまして私の名前はコノハといいます。失礼を承知でお伺いしますが竜神族の方が何故このような場所に?貴方がたは霊峰ルミナスに居るはずでは?」


へー、他の竜神族はゲームと同じで霊峰に住んでるんだ。全然知らなかった。まぁ、寿命長くて名前の通り神様扱いのレア種族だからな。私もイベントガチャで種族変更券を勝ち取ってなったからなー。あの時は財布が危なかったな、本当に。それよりどうしよう。正直に突然、異世界転生したした☆とか言えないしなー。よし、ここは話に乗っておこう。


「特に理由は無いけどなんとなく?強いて言うなら暇つぶしかな。」

「な、なるほど?」

「いやー、長生きだとたまにこうしてお散歩したくなるのよ。」

「左様でございますか、差し支えなければ私どもが街へご案内致しますがよろしいでしょうか。」

「本当に?!助かるよー。あ、私はロベリアって言うの。よろしくね、コノハ。」

「はい、ロベリア様。よろしくお願い致します。ご案内出来てありがたき幸せに御座います。」

「普通に話してくれたら良いよ。様も無しで。」

「いえ、尊き御方にそのような無礼は出来ません。」

「気にしないのに。」

「平にご容赦を。」

「じゃあ慣れたらで良いよ。」

「ありがとうございます。」


その後、コノハと色々話をした。

コノハ達はやっぱり兄妹だった。コノハは兄のキリヤと2人で冒険者をしていてAランクらしい。凄いね、よくわからんけど。ゲームには冒険者にランクなんて無かったからな。違うランキングはあったけど。


「コノハ、門兵と話してきた。輝鱗の刃はこの御方の保証人になると説明してきたからもう問題無く入れるぞ。」

「兄様ありがとうございます。」

「ありがとうね、2人とも助かるよ。」

「いえ、勿体なきお言葉。」

「君も普通に話したらいいよ。話し辛いでしょ?あ、私ロベリアよろしくね。」

「ご紹介が遅れ申し訳ありません。俺はキリヤと申します。ロベリア様ですね、ありがとうございます。じゃあ遠慮なく普通に話すよ。」

「兄様!」

「いいんだよ。私がそうして欲しいと頼んだんだから。」

「…畏まりました。」


妹ちゃんは硬いなー、本当に気にしてないのに。って言うかお兄ちゃんをそんな眼で見ちゃ駄目でしょ。この子視線だけで人を殺せそうだな。そんな事を考えながら門をくぐる、初めての街はどんな景色なのか楽しみだ。

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