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変わらない日々

夫の不貞を目撃した日から数日が経ったが、ユージオは今までと、なんら変わらない様子でミレーユに接して来る。


馬車内で向けられた、憎しみの篭った眼差しこそ向けられないが、ユージオと接しているとふとした瞬間にあの顔が蘇ってくる。

それに何故、何食わぬ顔で自分に話し掛けてこられるのか。全く理解が出来ず、夫の事を得体の知れない者のように感じてしまう。


今夜もいつも通り、夫の訪れがない寝室で一人過ごす。

女主人として振る舞う昼間とは違い、夜は特に様々な事が頭を過っていく。


(また夜会であの人に話し掛けられるのかしら……)


次夜会に出席すれば、またマデリーンが話し掛けてきて、そして自分の事を夫と二人影で笑いながら情事に耽るのだろうか。

障害がある程燃える愛があると聞く。ミレーユを障害に見立てて、楽しく盛り上がる二人を思うと、惨めで涙が溢れてくる。


貴族社会において、愛人を持つ事は決して珍しくない。だが、夫婦の間には跡取りも産まれていないまま、閨を拒否されてしまったとなると、話は違ってくる。


愛人が夫の子供を産む事もよくある話だが、正妻が産んだ子以外は跡取りとは認められず、私生児となる。

貴族なのだから、お互い愛人を持つ夫婦も少なくないが、女性の場合は結婚するまで貞淑を求められ、夫以外の男性と関係を持つのは最低でも跡継ぎを産んでから。


ユージオは今後どうするつもりなのだろうか。

体の関係はないまま、夫婦関係を続けていくつもりなのか。


(それとももしかして、離婚したいのかしら?ユージオが何を考えているのか、分かればいいのだけれど……)


直接聞く勇気もなく、分からないまま時だけが過ぎていく。


子を産む事はミレーユの義務ではあるが、二人の関係を知ってしまった現在、もし今後ユージオから求められたら。受け入れる事が出来るのか自信が無かった。



誰にも相談出来ず、一人抱えて悶々としていたが、たった一人だけこの事を知っている人がいる。

ミレーユの親友、リュシエンヌ・ギャロワ。明後日にはギャロワ邸で園遊会が開かれる事となっており、ミレーユも参加する予定だ。


リュシエンヌはミレーユより先に、ユージオの不貞を目撃してしまった人物でもある。

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