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マデリーン②

「夢のような粉?」



 元々政略結婚。現在の生活に不満はないが、夫よりも地位もあり、魅力的な男性から何人も言い寄られている。その中で、マデリーンにとって夫というのは、更にどうでもいい存在となっていた。特に情もない。


 そのような状況下で「夢のような粉」と比喩された毒薬の話を聞く事になる。


 話を聞く中で、マデリーンは正に「夢のよう」な話だと思った。


 即効性の致死率ではなく、徐々に蓄積された毒による死亡から、犯行がバレにくい。そしてターゲットにする身近の者になら、継続的に薬を飲食に混ぜて与える事は、そう難しいことではない。

 身内を亡き者にしたい理由のほとんどは、やはり遺産相続関連が多い。


 それ故に「相続の粉」とも呼ばれているらしい。



 マデリーンには自身の夫より若く、魅力的な高位貴族の男性が周りに沢山いる。

 今は男爵夫人の身だが、現在高齢の夫が亡くなれば高位貴族との再婚で、より良い地位を得る事が出来るのではないか。

 では今の婚姻は自分の人生において踏み台に過ぎない。再婚を考えるとなると、なるべく早い方が良い。



 男爵の死後、爵位は彼の長男が引き継ぐが、屋敷の一つは既にマデリーンが貰うことは決まっている。夫が死のうが貢いでくれる男なら、愛人に何人もいる。

 そんな事を考え出すと、正に夢のようだった。



 予定通りマンテルラン男爵を毒薬で徐々に弱らせて、殺害した後の事だった。

 マデリーンの妊娠が発覚したのは。当然夫との子ではないが、一先ず堕胎するか、はたまた誰かに認知を取り付けて更に贅沢をするか。


 自分により良い未来を選ぶべく思案している中、お気に入りの一人。エルランジェ伯爵の妻が邸を出て行ったとの情報を得た。

 夫婦仲が上手くいっていないのと、後継もいないのなら今がチャンスだと思い、女主人不在のエルランジェ邸へと足を運んだ。


 なのにユージオは頑なに子供を認知しようともしない。確かに身体の関係は彼以外にもあったが、それを知って疑われているのだろうか?


 ならば婚姻だけ済ませて、一度ゾフィーに堕胎薬を貰えば良い。伯爵夫人に収まれば、一度子を下ろして、再び彼の子を孕めば何も問題はないはずだ。


 さっさと婚姻を済ませて欲しいのに、エルランジェ邸の客人として、過ごす時間だけが過ぎて行った。

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