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第8話 疑惑

異世界に行くのって案外簡単なんだな。第8話です。


多少過激な表現があるので注意して下さい。

殺戮ヲ楽しみ作戦を成功させた2人は、ベットに、寄り添いながら寝ていた。


しばらくすると、外が騒がしい事に気づき目を覚ました。


「何かしら」


カミルがそう言うと、心は、カミルの部屋の窓のカーテンを少しめくり外を見た。


すると、王宮の門の前に、人だかりが出来ているのが目に止まったのだ。


耳を澄ませて、人だかりがの声を聞いていると、どうやら王宮で働いていた、家族が帰って来ないのでどうしたのかと心配になり、王宮まで来た、市民街の人達だと分かった。


2人は、王宮の関係者の、殺戮の事ばかり考え、その先の事など何も考えて居なかったのだ。


「どうしましょう」


カミルが心に尋ねると、しばらく考えて、口を開いた。


「このまま無視を決め込むのは難しいから、とりあえず、皆んなが納得する様な話をしましょう」


「納得する様な話?」


カミルが疑問系で返すと


「そう、本当の話と嘘の話を混ぜて今は、王宮の人達を家に返す訳には、行かない説明するんだ」


「それが、王位継承権1位のカミルの口からなら、真実性が増すから何とかなるかも知れない」


「なるほど」


「で、その説明は、どの様に話せばいいのですか」


その言葉に、心は、紙に説明文を書き始めた。


それをカミルに渡すと、一通り目を通し、カミルが答えた。


「これなら、いけるかも知れないですね」


「早速門に行って事情を説明して参りますね」


「悪いけど頼めるかな」


その、心の発言に、カミルは、勢いよく部屋を飛び出し、門へ向かった。


門へ着いたカミルは、堂々たる佇まいで、門の前にいる市民達に向かって喋り始めた。


「皆様、静粛にお願いいたします」


その堅苦しい貴族の様な言い回しに、一瞬でその場は、静まり返った。


「まずは、市民の皆様にお詫び申し上げます」


「早急な説明をしていればこの様な騒ぎには、ならなかったと王宮関係者一同反省しておりますのでどうかご了承下さい」


「今、王宮では、一大事が起きております」


「昨日、王宮内で我が国の国王様が何者かに殺害されました」


その言葉に、市民達は、ざわついた。


「王宮内で犯行のため、王宮関係者が、犯人の可能性が非常に高いので、関係者を、王宮の外に出す事が出来なかったのです」


「そのため、皆様のご家族が家に帰れなくなってしまいました」


「でも、安心して下さい」


「皆様のご家族は、今の所無事ですので」


「また、犯人が捕まるまでは、関係者を王宮の外に出すことは出来ないのでもうしばらくの間は、家には返せない事、その点をご了承の程よろしくお願いします」


その言葉に、市民達は納得したかの様で、次々と王宮を後にし始めた。


それもそのはずだ。


国王の死を知った今、実質次の国王になるカミルが市民への説明をした。


これは、市民達からすれば、国王の声明なのだから従う他無いのだ。


市民達が、帰るのを確認すると、カミルは、心の待つ自室に戻った。


「お疲れ様」


部屋に入ったカミルに心が優しく言った。


少し疲れたのか、カミルは、ソファーに座った。


「とりあえず一時凌ぎには、なりましたがこの先どうしましょうか」


「確かに、どんなに長くても持って1週間が限度だろうね」


その心の言葉に、2人とも行き詰まる。


そうこうしてても、しょうがないので、とりあえず昨晩の殺戮の証拠を消すべく念入りに広間の掃除をした。


「これでよし」


「これだけ綺麗にすればここで、あんな事が起きたなんて誰も思いませんね」


「そだね」


「それにしても昨日は、楽しかったわ」


「最後に拷問して殺した人、本当嫌いだったから、血のあぶくを吐きながら死んだ時は、とても興奮しましたわ」


昨晩の殺戮の事をにこやかに話すカミルに心は、嬉しく思った。


自分以外にも、殺人と言う快楽を理解してくれる人がいる事に。


心は、その感情を吐き出すかの様に、何を言ったかわからない程度の声で呟いた。


「ありがとう」


聞こえても居ないはずのその言葉にカミルは、何か察したのか、小さく頷いた。


一方その頃、市民街では、ある噂が、流れ始めていた。


「ねぇ知ってる噂で聞いたんだけど、王宮の人達もう皆んな死んでるらしいよ」


「私も、聞いたわ」


そんな、話で、市民街は、持ちきりになっていた。


そもそも何故そんな噂が、流れ始めたのかと言うと、それは

昨日の殺戮の時まで、遡る。


最近の市民街の子ども達の遊びで、王宮に忍び込む悪戯が流行っていた。


昨晩は、王宮の兵士などの皆が広間に集められたため、王宮に忍び込むのは、子ども達にとって用意だったのだ。


そして、王宮に忍び込んだ、子ども達は、見てしまった。


広間に横たわる大量の死体と、それを眺める2人を、1人は、カミル様だとわかったが、王宮に来たばかりの心の事は、誰かわからなかった。


子ども達は、慌てて、王宮を抜け出し、その様子を、家にいた家族に話したのだ。


勿論、そんな話誰も信じなかったが、王宮関係者が昨日から帰ってきて居ない事を知った時、その話が現実味を帯びている事に気づき始めたのだ。


そんな事など、全く知らない2人は、今後について話あっていた。


「まずは、殺した王宮関係者の家族になんて説明するかだな」


「そうですわね…」


表みは、考えていそうな、雰囲気を醸し出していたが、心の内心は、違った。


その事を今のカミルになら伝えても、大丈夫だと思った心は、話を切り出したのだった。


「カミル、話したい事があるから聞いてくるかな?」


「どうしましたの」


「正直、殺戮の隠蔽とか市民がどうだとか、この国の未来とか途中からどうでもよくなってしまったんだ」


「どう言う事ですの」


「俺は、王宮に来る前にある村で盗賊を10人程殺しているんだ」


「その時は、村人の食料とかを奪って村人を餓死寸前まで追いやった盗賊に、腹が立ったから殺したのだと思っていた」


「でも、昨日国王様を殺して、王宮の皆んなを殺して、それが確信になった」


「それとは?」


「恐らく俺は、快楽殺人者なんだと思う。」


「快楽殺人者?」


「そう、殺す事に快楽や興奮を感じる人の事」


「俺は、国のためとか市民のためとかじゃ無くて殺しが楽しいから昨日の殺戮を実行したのだと思うんだ」


「だから素直な事を言えば、誰でもいいから殺したいんだ」


「今思えば、盗賊を殺した時から、毎日モヤモヤしていた」


「でも、昨日国王様を殺した時にそのモヤモヤが取れたんだ」


「殺戮の時もそうだ」


「人を殺めている時が1番楽しくて、生きてる感じがして、興奮する」


カミルは、その話を聞くと、優しく言った。


「わかっていましたわ」


「心は、気付いて無いかも知れませんが、人を殺めている時の貴方は、いつも笑っているの」


「そうなの?」


「私が心の事を気に入ったのは、お父様を殺したからじゃ無い」


「お父様を殺していた時の心の表情が可愛くて愛おしくて堪らなかったからなの」


「それにね、私も多分、その快楽殺人者だと思うの」


「昨晩、初めて人を殺してから、さっき心が話してくれたのと同じ感情なの」


「だから、ちゃんと話してくれたの嬉しいよ」


その言葉に、心は、自然と涙が溢れた。


「大丈夫」


そう言うとカミルは、そっと心を抱きしめて眠りに落ちるその時まで抱きしめた手を離さなかった。


そんな最中、市民街の人達は、噂の真相を、確認すべく再び王宮へ出向く準備をしていた。


噂が本当ならば、王宮関係者は、全て死んでおり、その犯人の1人は、確実にカミルだからだ。


そうそれは、カミルが国王と関係者を殺したと言う疑惑である。


この行動が更なる悲劇を生み出す事など誰も知る由が無かった。


再び始まる殺戮の再来が。


















ご覧頂きありがとうございました。

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