第2話 異世界移動開始
異世界に行くのって案外簡単なんだな第2話です。
暇潰しにでも読んで下さい!
家に着いた心は、早速本を読み始めた。
「えーと異世界への行き方は…」
頭の中ではこんな本を読んでも異世界なんかには行けない事は、解っているのに何故かその本に釘付けになってしまった。
本にはこう書かれている。
1 この本はあなたを異世界に移動させるための本です。
2 異世界移動の仕方はこの本を持ちながら最後のページに書かれている言葉を読み上げるだけです。
3 異世界移動後は、この世界でのあなたの存在は無かった事になります。
4 異世界移動後はこの世界には、戻る事ができません。
5 異世界移動をする際は、特典として、何かしらの能力等を与えられます。
6 異世界移動後もあなたの記憶や身体能力はそのまま引き継がれます。
7 それでも異世界移動したい方は、最後のページにお進み下さい。
心はこれらの説明を読み終わると迷う事無く最後のページに進んだ。
「えーと」
そう呟くと心は、最後のページに書かれている言葉を読み上げた。
「異世界移動開始」
その瞬間、心の周りを神秘的な光が包んだ。
「うわー」
その余りにも現実離れした光景に思わず叫んでしまった。
「これって本当に異世界に行けるのか」
今までに感じた事の無いなんとも言えない感情を抱きながらもそれ以上に異世界に行けるかも知れない喜びがその感情を勝った。
そんな事を思っていると、目の前に誰か居るのに気付いた。
「誰だ!」
心はそう喋りかけると返事が聞こえた。
「神じゃ」
その予想を遥かに超える返事に思わず固まった。
「えーと神様?」
「そうじゃ神じゃ」
神と名乗る人物は話を続けた。
「君はあの本を使ったのだな」
その言葉に心は確信した。
これは本当に異世界に行けるのだと。
心を包んでいた光が消えていくと神と名乗る人物の姿が薄ら見えて来た。
だが姿が見えた瞬間心は絶句した。
「あなたが神様…」
その姿は余りにも見窄らしく神と言うより浮浪者みたいだった。
「あのーあなた本当に神様なのですかw」
初対面で失礼なのはわかっていたがちょと馬鹿にした感じで言ってしまった。
とっさに今の失言に気付き慌てて謝罪した。
「ごめんなさい。イメージと違いすぎて」
そう言うと神様は笑いながら許してくれた。
「大丈夫じゃよ。良く言われるから」
「酷い時は自称神様とか言われたし」
そう冗談話しを終えると神様が言った。
「そろそろ本題に入ろうか」
神様の顔が今までの表情とは違った真面目な顔になった。
「憂鬱心君これが最後の選択じゃ」
神様は続けた。
「君はこの世界には未練は無いのだな」
「今ならまだワシの力で元の世界に戻すことも出来る」
その言葉に心は息つく暇もなく即答した。
「有りません。異世界移動を望みます」
その喋りに神様も納得したのかそれ以上追求はしなかった。
「では早速異世界への移動準備をしようか」
神様はそう言うと心の近くにゆっくりと近づいて来た。
「まずあの本に書いてある通り君に特殊能力を授けよう」
その言葉に心は、胸が爆破しそうなほど興奮した。
「一体どんな能力なんですか?」
心のその言葉に神様は答えた。
「超作成じゃ」
「超作成?」
心は疑問系で返した。
「そうじゃ。超作成じゃ」
「超作成とは、君が今までに見た物やこれから見た物なんでも頭の中で想像しながら作成と言葉に出す事によってその物をその場に作成する事が出来る能力じゃ」
「さらに作成したい物は君が見た物なら記憶が曖昧でも完璧に作成して現物化出来る」
「また作成物に必要な付属品も同時に作成されるのでかなり便利な能力じゃよ」
「なるほど…」
心は不満げに言った。
「正直ステータスmaxとかなんかチート的な能力くれると思ったのでちょっとがっかり」
その言葉に神様は笑いながら言った。
「何を言っとるんじゃ。かなりチート能力じゃよ」
「まぁ異世界に行けばわかるさ」
心は内心納得出来なかったが神様の言葉を信じる事にした。
「では憂鬱心よ異世界に行く準備いいな」
心は即答した。
「はい。お願いします」
神様は頷くと心の前に杖を向けて本に書かれていたあの言葉を言った。
「異世界移動開始」
神様のその言葉と同時に心は気付いたら見た事の無い広い草原にポツリと立っていた。
「ここが異世界」
そう呟いた心は異世界に来た喜びと興奮を抑えきれず大声で叫んだ。
「異世界に行くのって案外簡単なんだな」