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虹色騎士 クールナイツ ~cool knight~  作者: 彼方 菜綾
♮1 クールナイツの誕生
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#3 夢の騎士、クールスター誕生!(後編)

星奈ほしなちゃんの夢は?』

 

 ――わたしの夢はね、特にかっこよくはないよ。

 ――でもね、夢はあるんだよ?

 ――だから、夢を夢で終わらせないでください。


『大丈夫。キミの夢はボクが絶対に守るでしゅ――』


 ――誰?


『キミこそがボクの新たなパートナーでしゅ!』


  突如、水色の光が星奈を優しく包み込んだ――。


 ☆


数多あまたまたたく水色の夢。夢の騎士、クールスター!」


 気がつくと、そう名乗っていた。

 しかも、水色基調のコスチュームに身を包んで――。

 腰には星のコンパクトがかわいく飾られている。

 藍色であった髪は水色に、左下に結んでいた髪は耳元で結ばれていた。

 まるで、流れ星を思わせる髪型であった。


「待て待て待て待て待て待て待て――」


 星奈スターはまるで考える人のようなポーズで考え込んだ。

 

 声がした――。

 その声に質問した――。

 そしたら、変身していた――。


「いや、何で?!」


 ノリツッコミをする星奈スターの目の前で巨大ロボが拳を振り下ろしてきた。

 地面には大きな窪みができており、白い煙が上がった。


 だが、星奈スターはそんな攻撃を危機一髪でよけたのだった。


『早く戦うでしゅ!』

「さっきの声!」


 星奈スターは周りを見渡す。

 しかし、周りは見渡す限り黒一色で誰1人として動く者はいない。


 巨大ロボはそんなことはお構いなしに星奈スターに攻撃を仕掛けてくる。


「こんなのと戦うとか無理だって!」


 星奈スターは半泣きになりながら巨大ロボから必死に逃げた。


 巨大ロボも負けじと星奈を追いかける。

 これではまるでただの鬼ごっこである。


『逃げてる暇があるなら戦うでしゅ!』

「やぁだぁ!」

『今ここの人たちを救えるのはキミだけなんでしゅよ!』


 確かに、今この黒一色の世界で動いているのは星奈スターただ1人――。

 しかし――。


「無理なものは無理ぃ!わたしだってさっきまで黒かったし!ってか、戦うためのアイテムがほしい!アイテムがあったら頑張る!」

『言ったでしゅね?』


 お望み通りと言わんばかりに星奈スターの両手に星形をしたパンチグローブみたいなものが握らされた。


「何これ?」

『アイテムでしゅ』

「えっ何これ?」

『スターグローブでしゅ』

「名前聞いてるんじゃないし!」


 再び星奈スターと巨大ロボの鬼ごっこが始まった。


『言われた通りアイテムを与えたんだから早く戦うでしゅ!』

「使い方わかんなぁい!」

『そのグローブで敵をパンチするんでしゅよ!』

「無理無理!わたしにそんな力ないし!」

『じゃあ自分で好きなアイテム想像してさっさと戦うでしゅ!』

「まさかの逆ギレ?!」


 星奈スターは考えた。

 しかし、鬼ごっこしながら考えてもいい案は浮かばない。

 ふと、黒く染まった千尋ちひろ晶子あきこの姿が視界に入った。


『ところでさ、今日の部活動紹介でのチアリーディング部の演技見た?!めっちゃすごくなかった?!』

『うんうん!両手にポンポン持ってるのにこうフワッと舞う感じがすごいよね!』


 部活動紹介で見たチアリーディング部はミニスカートのコスチュームに少し大きめのポンポンが特徴的であった。

 しかし、それ以上に記憶に残っていたのが華麗なる演技だった。

 空中で1回転などという大技を披露していたが、そのまま翔べるのではないかと感じさせるぐらいに綺麗に舞っていた。


「これだ!!」


 星奈スターはあのチアリーディングの演技を思い浮かべた。

 そんな星奈スターの思いを感じ取ったかのようにグローブがポンポンへと変化した。


 しかし、そのようなことは巨大ロボにとってはどうでもいい話――。

 お構いなしに星奈スターへと攻撃をしかけてくた。


 しかし、星奈スターは逃げて攻撃を交わすのではなく宙に軽やかに跳んで攻撃を交わした。

 そう、まるでチアリーディングのあの大技のように――。


『すごい、とんだでしゅ!』


 今起きた状況についていけない星奈スターであったが、同時に今なら戦えるという気持ちが芽生え始めていた。


 巨大ロボも今の状況を理解していないようだったが、とにかく星奈スターを狙うように拳を向けてくる。

 しかし、何度やっても軽やかに交わされてしまうのだった。


「あれっ?」


 ふと、星奈スターはその場に立ち止まってみる。


 それをチャンスと思った巨大ロボは星奈スターに向かって渾身の一撃をお見舞いしたのだが、またも軽やかに交わされてしまい結果は空振り――。

 拳は地面に向けて落とされていた。

 しかし、先ほどと違って特に地面に大きな窪みが出来ている感じはしなかった。


「やっぱりそうだ!」


 そう、星奈スターは気付いたのだ。

 最初に比べて巨大ロボのパワーが明らかにダウンしていることに――。

 

 そうと分かればこちらのものである。

 星奈は巨大ロボから徐々に距離をとった。


 もちろん巨大ロボは星奈スターと距離をつめようとする。

 しかし次第にその距離は離れていき、とうとう巨大ロボは動きを止めてしまった。


『とりあえず、あの鍵穴を狙うでしゅ!』

「なんかよくわからないけれどオッケー!」


 星奈スターは高く翔び上がり――。


「スター ドリーム・スプラッシュ!!」


 星奈スターは水色の光に身を包み、まるで流れ星のように巨大ロボの鍵穴に向かってて突っ込むとそれを浄化したのであった。

 さて、その浄化された巨大ロボの正体は――。


「これ、シャボン丸2号だ!」


 浄化された巨大ロボを中心にに商店街に少しずつ色が戻っていく。


 黒く染まっていた人々も徐々に色を取り戻していく。

 もちろん、千尋も晶子も――。


 星奈スターは安堵のため息をついた。


 ――皆が無事で本当によかった。


「って、なるかぁぁぁ!!」


 アホみたいに大きな声で叫んだ星奈スターだったから、その叫び声は静かな街に溶けていった。


「どういうこと、これ?!黒く染まってふっかーつってなったと思ったら何で水色のコスチュームなんて着てるの!!こんな姿で帰ったら星ねぇと星にぃにバカにされるぅぅぅ!!というか、その前になんなの、あのセリフは?!『夢の騎士、クールスター』って誰のことだ!!わたしか?わたしのことか?!」

『ごちゃごちゃうるさいでしゅね。そんなにも戻りたいなら今すぐに戻してあげるでしゅ』


 声の主の通り、星奈スターは水色のコスチューム姿からいつもの姿に無事戻った。


 その代わり、目の前には星のコンパクトを持ったイヌが嬉しそうにしっぽを振っているのであった。


「これからよろしくでしゅ!」

「――イヌが喋ったぁぁぁ!!」


 またもアホみたいに大きな声で叫ぶ星奈ほしなだったが、やはりその叫び声も静かな街に溶けていくのであった――。

クールスター

夢の騎士。星奈が変身した姿。スターポンポンを駆使して華麗に戦う。

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