#37 まだ見ぬ仲間に心を踊らせて
「クールナイツが7人もいるなんて初耳なんだけど⁉」
「そうでしゅか?少し考えたら分かることでしゅよ?」
星奈が大声を出すので、ミミは耳を塞ぎながら多少面倒くさそうに答えた。
つまりはこうである。
レインボー・ミレニアムには7人のプリンセスと2人のプリンスがいる。
7人のプリンセスうちミミはスイ、レレはトウ、ララはシィのスピリット・アニマルである。
そして、そんなミミたちと出会った星奈たちはクールナイツへと変身した。
ということは、他4人のプリンセスにもスピリット・アニマルがおり、誰かをクールナイツとして目覚めさせている可能性がある。
勘のいい方なら気づいていた人も多いのではないだろうか――。
「そんなので分かるかぁ!!」
「星奈ちゃん、落ち着いて。ほら、ミミちゃんが苦しそうよ」
あまりに興奮していたのか、知らないうちに星奈はミミを握りしめていた。
そのせいで、ミミはすごく苦しそうであった。
「あっごめん――」
ミミは星奈から解放されると、わざとらしく苦しそうに呼吸をするのであった。
「まぁ星奈が驚くのも分からなくはないよね。いきなり仲間が他に4人もいますとか聞かされたら、さすがに驚くわ」
「だいたい、初期メンバーが水色、オレンジ、紫というのがおかしいのよ。普通は赤、青、黄よ?」
――レレ、そこは触れてはいけないと思う。
そう言いたかったが、日向は黙ってお茶を飲んだ。
「じゃあ、他の4人ももう目覚めてるのかな?」
「うーん、もしかしたら目覚めてるかもしれないしぃ、まだ目覚めてないかもしれないしぃ――」
ララはチラッとミミとレレに視線を送ったが、2匹も詳細は知らないのか首を横に振った。
「ねぇミミ。残りの4人のクールナイツはどんな騎士なの?」
「1人はクールクローバー。癒しの騎士でしゅ」
癒しの騎士――。
きっと皆の心を癒すほんわかとした騎士なのであろう。
「もう1人はクールスペード。守護の騎士よ」
守護の騎士――。
きっと皆を守るために必死になる力強い騎士なのであろう。
「もう1人はぁクールダイヤ。希望の騎士なんだよぉ」
希望の騎士――。
きっとどんな状況でも諦めない前向きな騎士なのであろう。
「最後はクールハート。愛の騎士でしゅ」
愛の騎士――。
きっと皆のことが大好きで明るい騎士なのであろう。
いつ会うことが出来るだろうか――。
意外に近くにいる友だちがクールナイツだったりするだろうか――。
――そんなわけないか。
とにかく、まだ見ぬ仲間に心が踊る。
「よーし、仲間を探しつつこの世界を守り抜くぞー!」
「へぇすごく楽しそうだな?」
声が聞こえ、振り返るとそこには望夢が顔を覗かせていた。
やぁとニコニコしながら手を振ってくる望夢。
「だあぁぁぁ?!」
よく分からない叫び声をあげる星奈。
今、この状況を見られるのは非常にまずい――。
ミミは大丈夫だろうか——。
そう思い、チラッと目を向けたがレレとララとともにちゃんとぬいぐるみのふりをしていた。
ひとまず安心である。
「おまえたちは本当に元気だよな?今日はぬいぐるみのお披露目会か?」
「あーそんなところかな?」
「そんなかわいいぬいぐるみが置いてあるゲーセンなんてこの辺りにあったか?」
「えーっと――」
ダメだ、全く言い訳が思い付かない――。
でも、早く適当なことでもいいから言わないと逆に怪しまれる。
「ごめんなさい、お兄ちゃん。勉強の邪魔しちゃった?」
そんな星奈を見かねたのか、月美が話題を反らすかのように望夢に話しかけた。
――つきみん、ナイス!
「いいや。久しぶりにおまえたちの声を聞けて元気が出たよ。それより、送って帰るよ」
時計を見ると、時刻は18時頃――。
知らない間に鳩時計の鳩は鳴き終えていたようである。
昼庭家に集まったときはまだお日さまは沈んでおらず明るかった。
少ししかお話をしていないはずなのに、そんなにも時間が経ってしまったのか――。
季節は秋なので日が暮れるのも早い。
それに、日が暮れたからだろうか――。
少し肌寒くなってきた気がする。
「でも、ののくん受験勉強は大丈夫なの?」
「こんなの気分転換のひとつだよ。さぁ帰ろう」
望夢から差しのべられた手を、星奈はそっと握った。
その手はすごく温かかった――。
こんなにも優しくて温かい望夢も灰色に染まったと聞く。
――絶対に、ミミたちは渡さない。
――2度と誰も染めさせはしない。
「どうした、星奈?怖いか?」
気付くと、どうやら望夢の手をぎゅっと握りしめていたらしい。
「ううん。ののくんの手、温かいと思っただけ」
「そうか――。せっかくゲットしたイヌのぬいぐるみを忘れて帰るなよ?」
「うん!」
星奈は月美と別れを済ませると望夢同伴の元、日向と共に帰路につくのであった――。
無事に第1章を終えることが出来ました!
第2章をお楽しみに!




