プロローグ
そこは一面モノクロの世界だった。
そこにあるものすべてがモノクロ――。
まるで、白黒写真の中にいるような感覚を思わせるようである――。
☆
場所は移り、この世界にある宮殿内――。
天井にはシャンデリアが吊るされており部屋を明るく照らしている、ように思えたがここもよく見れば白黒である。
その部屋の真ん中に1人の女性が寂しそうに座っていた。
この国のプリンセスなのだろうか――。
このプリンセスも白黒なのだが、髪やドレスの一部分だけ色が残っている。
白黒に目が慣れてしまったせいか、その色がすごく鮮やかで懐かしい。
よく見ると、胸元に1匹のぬいぐるみを抱き締めていた。
しかし、そぬいぐるみもまた白黒――。
ふと、プリンセスが静かに涙を流した。
声を出すこともなく、ただ静かに――。
その涙がぬいぐるみの目許に落ち、流れる。
まるで、そのぬいぐるみも泣いているようだった――。
「申し訳ありません――。私ではもうこの世界を救うことが出来ないみたいです――」
プリンセスはそう言うと胸元からぬいぐるみを遠ざける。
やがて、そのぬいぐるみはシャボン玉のようなものに包まれてゆっくりと浮上していった。
「別の世界で、きっとこの世界を救ってくれる者がいるはず――」
シャボン玉は空高く上がっていき、やがて見えなくなった。
「大丈夫――。きっと素敵なパートナーと出会えますよ――」
そう言うと、プリンセスは力尽きてしまったのか床に倒れこんでしまった。
さっきまで残っていた綺麗な色は白黒へと変わり、とうとうプリンセスもピクリとも動かなくなってしまったのであった――。
お久しぶりです。作者です。
この作品では、後書きで登場人物紹介やプチお知らせを載せようかと思っています。
たまに呟くこともあると思います。
では、またしばらくよろしくお願いいたします。